●色素増感型太陽電池 太陽光発電・太陽電池用語集 2008-12-03 11:25:47
色素増感型太陽電池とは、二酸化チタンとある色素を使って発電する太陽電池である。
1976年に大阪大学教授の坪村宏氏の研究グループが開発したのが一番最初で、91年になってスイス連邦工科大学のグレッツェル博士が、二酸化チタンを使用した方式で発電効率を高めたことから実用化への研究熱が高まった。
発電原理は、太陽光が透明ガラス電極に当たると、二酸化チタンに付けた色素が光を吸収し、電子を放出する。電子は二酸化チタンに移動し、電極に渡される。電極に到達した電子は対極に回り、三ヨウ化イオンに電子を渡して(還元)、ヨウ化物イオンにする。還元されたヨウ化物イオンは色素に電子を奪われる(酸化)。色素増感型太陽電池に使う二酸化チタンや色素、ヨウ素溶液はこの反応によってほとんど劣化しないため、半永久的に続くという優れものである。
色素増感型太陽電池の強みは、コストが安いことがあげられる。結晶シリコンのように高度の技術はいらないし、また、化学系のように希少金属を使用しないので資源高騰に悩まされなくてすむ。
さらに、製造技術が印刷技術で行えるので、既存の印刷機で製造できてしまう。そのため、設備投資額がほとんど無きに等しいという驚くべきメリットがある。製造コストはシリコン系の10分の1ぐらいといわれている。
また、結晶シリコンと異なり、熱に強い。
逆に、色素増感型太陽電池の弱みは、発電効率が低いことである。試験段階で9%ほどで、実用化は8%~10%がめどとみられている。セルの大きくすると変換効率が落ちてしまうので、改良する研究が続けられている。
発電効率のキーポイントは、どんな色素を使用するかにある。可視光線と赤外線を多く吸収する色素を使用できれば発電効率がよくなる。そのため、大日本印刷、三菱製紙など印刷会社の保有する色素の特許に注目が集まっている。
量産化した企業はまだない。2010年の量産化を目指してソニーや日立など各社がしのぎをけずっている。
(2009/5/31追記)
ソニーによると、試作段階ではあるが世界トップの発電効率である8.2%を達成したという。
(参考)
・シリコンを使用しない色素増感型太陽電池
・色素増感型太陽電池のキーポイントの増感色素の特許を有する三菱製紙をソニーは提携しないのか |