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てらまち・ねっと



 昨日の夜はニュースを見なかった。今朝のニュースで、最高裁の初の判断を知った。
 裁判員裁判で無罪となったけれど、裁判官が審理する「控訴審で逆転有罪」という事件の上告審判決で、
 最高裁は、「事実の認定がよほど不合理でない限り、裁判員裁判の結論を尊重すべきだ」とする初めての判断をしたという。

 「対象の事件は3年前の裁判員制度導入後、市民が加わった一審で初めて全面無罪の判決が出たケースだった」という。
 今回の最高裁判決により、裁判員らの結論をより尊重する流れが強まるのだろう。

 ただし、拡大解釈されてはいけないとの指摘も強い。

 今日は、最高裁判決の全文にリンクしつつ(ブログ末)、報道を比較してみた。
 こういう時は、結構、社によってポイントが違うことかあるから。

 さらっと流しているところから、じっくりまとめている記事へと順に記録しておく。

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●裁判員初の無罪事件、最高裁が再逆転の無罪判決
         (2012年2月13日15時16分 読売新聞)
 裁判員裁判で初の全面無罪判決を受けながら、2審で逆転有罪となった覚醒剤密輸事件の被告の上告審判決で、最高裁第1小法廷(金築(かねつき)誠志裁判長)は13日、裁判員制度の導入を踏まえ、「2審は1審と同じ立場で審理するのではなく、事後的な審査に徹するべきで、1審判決が不合理な場合にだけ破棄できる」との初判断を示した。

 その上で、2審判決を破棄した。無罪が確定する。

 裁判官5人全員一致の結論。2009年5月の裁判員制度導入の際、控訴審に関する法律の規定は変更されなかったが、今回の判断は1審判決を尊重する姿勢を高裁に求めており、刑事裁判のあり方に大きな影響を及ぼしそうだ。

 相模原市の会社役員安西喜久夫被告(61)は09年11月、覚醒剤約1キロの入ったチョコレート缶3個をボストンバッグに隠してマレーシアから成田空港に持ち込んだとして、覚醒剤取締法違反(営利目的密輸)などで起訴された。公判では「土産として預かり、中身は知らなかった」と無罪を主張し、薬物を運んだ認識の有無が争点となった。

 1審・千葉地裁は10年6月、一貫して薬物の認識を否認しており、被告の弁解も信用できなくはないとして、無罪とした。一方、昨年3月の2審・東京高裁判決は「被告の捜査段階の供述は変遷して信用し難い」と逆の見方を示し、懲役10年、罰金600万円を言い渡していた。

●裁判員初の全面無罪判決、確定へ 最高裁が二審有罪破棄
        朝日 2012年2月14日
 裁判員らが導いた無罪の結論をプロの裁判官だけで審理する控訴審が覆すのに必要な条件は何か。
裁判員裁判で無罪、控訴審で逆転有罪となった覚醒剤密輸事件の被告の上告審判決で、最高裁第一小法廷(金築誠志裁判長)は13日、事実の認定がよほど不合理でない限り、裁判員裁判の結論を尊重すべきだとする初めての判断を示した。
そのうえで有罪とした控訴審を破棄。被告の無罪が確定する。

 対象の事件は2009年5月の裁判員制度導入後、市民が加わった一審で初めて全面無罪の判決が出たケースだった。裁判員裁判の控訴審のあり方は制度導入前から論点となってきた。今回の最高裁判決により、裁判員らの結論をより尊重する流れが強まりそうだ。

 無罪となるのは09年に覚醒剤約1キロをチョコレート缶に隠してマレーシアから営利目的で密輸したとして起訴された会社役員・安西喜久夫被告(61)。一審・千葉地裁の裁判員裁判で無罪とされた後、二審・東京高裁で懲役10年、罰金600万円の判決を受け、上告していた。

●国民の常識反映し強いメッセージ 最高裁、裁判員無罪判決支持
        産経 2012.2.13 23:33
 控訴審(2審)は「事後審」との位置付けを明示した最高裁判決。これまでの刑事司法の大原則を改めて明確にしたものだが、裁判員制度の導入とともに、国民の判断を尊重すべきだという最高裁の強いメッセージとも受け取れる。

 三審制では、1審の判決が控訴審や上告審で変わることはあり得る。だが、裁判員の判断をプロの裁判官が覆すと、制度の意義が薄れるのでは、といった声が制度導入前からあった。同時に、1審判決は破棄されない、といったことになってもおかしなことになる。こうした点は常に議論の対象となってきた。

 注目された今回の最高裁判決は、(2審の)裁判官が判断に誤りがあるという心証を持っただけでは足りないとし、一般常識で考えて不合理な点を具体的に示す必要があると判断した。

 個別意見で白木勇裁判官(裁判官出身)が「裁判員裁判はある程度の幅を持った認定、量刑が許容されるべきで、その了解なしには制度は成り立たない」と指摘。1審の事実認定が一定の「幅」で収まっていれば、1審判決を尊重する流れができたといえる。

 だが、「心証」による破棄と「常識」に照らした破棄の違いは明確ではなく、今回の事件とは逆に1審の有罪判決が控訴審で無罪になったケースもあり、多くの論点は残されたままだ。

 裁判員制度の施行から間もなく3年。国民の健全な常識を反映させるという制度の根幹にかかわる問題であり、さらなる議論が求められる。(上塚真由)

●裁判員裁判:裁判員判決2審が破棄、最高裁「不合理を示せ」 初判断、再逆転で無罪
            毎日新聞 2012年2月14日 
 裁判員裁判で初の全面無罪となり、2審が逆転有罪とした覚醒剤密輸事件の上告審判決で、最高裁第1小法廷(金築誠志(かねつきせいし)裁判長)は13日、刑事裁判の控訴審について「事後審査に徹すべきで、1審判決を破棄するには論理則や経験則に照らして不合理だと示す必要がある」との初判断を示した。その上で「1審判決が不合理とはいえず検察の控訴も理由がない」として2審の有罪判決を破棄した。被告の再逆転無罪が確定する。(3面にクローズアップ、27面に関連記事と判決要旨)

 判決は、国民の社会常識が反映される裁判員裁判の判断を、裁判官だけで構成する控訴審も尊重すべきだとの姿勢を強く打ち出したといえ、控訴審審理に大きく影響しそうだ。

 小法廷は控訴審について「事実誤認の審査は、1審判決の証拠評価や総合判断が論理則や経験則に照らして不合理かの観点から行うべきだ」とし、この観点は、裁判員制度が導入され、法廷での直接のやり取りが徹底されるようになったことで「より強く当てはまる」と強調した。

 その上で、運んだ缶の中身を「覚醒剤と知らなかった」という被告の供述を信用できないとした2審判決を「(信用できないと判断した根拠が)十分と言い難い。1審判決のような(知っていたとは言えないとの)評価も可能」と指摘。1審の破棄は、刑事訴訟法の解釈を誤る法令違反に当たるとして、被告が有罪か無罪かの事実認定はせずに、1審の無罪を採用した。

 無罪が確定するのは、覚醒剤約1キロの入った缶を成田空港に持ち込んだとして覚せい剤取締法違反で起訴された会社役員、安西喜久夫被告(61)。一貫して中身を知らなかったと主張し、1審・千葉地裁判決(10年6月)は無罪(求刑・懲役12年、罰金600万円)としたが、検察側が控訴。2審・東京高裁判決(11年3月)は懲役10年、罰金600万円の逆転有罪とした。補足意見で白木勇裁判官(裁判官出身)は「裁判員裁判では、ある程度幅を持った認定や量刑が許される。1審をできる限り尊重すべきだ」と述べた。【石川淳一】

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 ◆最高裁判決の骨子◆
・2審有罪判決を破棄する。1審無罪に対する検察の控訴を棄却する。
・刑事事件の控訴審の性格は「事後審」。1審を破棄するには、1審判決が論理則や経験則に照らして不合理だと示す必要がある。
・1審無罪判決に不合理な点があるとはいえず、検察の控訴も理由がないことになり、小法廷で自ら判決するのが相当。


●クローズアップ2012:裁判員裁判、最高裁が再逆転無罪 国民の視点、尊重
         毎日新聞 2012年2月14日
 ◇過度の事実審理、2審に戒め
 国民が参加する裁判員裁判の判決を、プロの裁判官だけで構成する控訴審がどこまで変えられるのか。13日の最高裁小法廷判決は刑事裁判の控訴審の位置づけについて「事後審査に徹するべきだ」との初判断を示した。国民の視点や感覚を組み入れた刑事司法の流れを重視し、2審が事実審理に介入しすぎて1審の事実認定を独自に見直すことを戒めたといえ、下級審や検察の実務に影響が広がりそうだ。【石川淳一、篠原成行、鈴木一生】

 「これまで刑事事件の控訴審は、事実認定や量刑について、まず自らの心証を形成して1審と比較し、差があれば自らの心証に従って変更する場合が多かった。この手法ではピンポイントの事実認定や量刑審査になりやすい」。この日の判決の補足意見で、東京高裁長官などを歴任した白木勇裁判官は従来の控訴審の判断手法を批判的に取り上げた。その上で「控訴審も(1審を)尊重すべきだ」と指摘した。

 控訴審はどうあるべきかという議論は、裁判員制度の導入前から法曹関係者の間でかわされてきた。控訴審が1審同様に証拠調べを続けるばかりか、独自の心証形成で1審判決を破棄する傾向が課題として指摘されていたからだ。日本の司法制度では、民事裁判の控訴審は1審に続いて事実を審査する「続審」とされるが、刑事裁判は原則的に、新たな証人尋問などをせず1審の認定に誤りがないかを点検する「事後審」とされる。

 刑事裁判の「続審的傾向」について、裁判官の間では「控訴審裁判官の自負心」や「真相解明に万全を期す責任感」が理由として語られてきた。しかし、1審に国民がかかわる裁判員裁判の導入で、この傾向が真正面から議論されるようになったといえる。

 裁判員裁判を中心とする司法制度改革を巡る議論では、控訴審について▽自ら判決を下せる条件を限定する▽控訴審にも国民を関与させるべきだ--との案も挙がった。結局、現行法通りとなったものの、司法制度改革推進本部の「裁判員制度・刑事検討会」は「あくまで裁判員の加わった1審を尊重する」と言及した。最高裁司法研修所の研究報告も09年、裁判員裁判の控訴審を「客観的な事実を見落として不合理である場合などを除き、国民の視点や感覚、社会常識が反映された判断を尊重すべきだ」とした。

 今回の判決は、こうした議論の積み重ねを背景に、裁判員が加わらない裁判も含め、控訴審の方向性を改めて鮮明にした形だ。しかし、小法廷が示した「論理則や経験則(科学法則や一般常識など)に照らして(1審無罪が)不合理であると示すこと」ができれば、控訴審での逆転有罪が上告審で支持されることは十分想定される。

 実際、今回と同様の覚醒剤密輸事件で「経験則に照らし、明らかに不合理」と述べて東京高裁が無罪判決を破棄(昨年12月)したケースが上告中で、審理の行方が注目される。また、控訴審が逆転無罪とした場合は、無罪推定の原則とのかねあいから、最高裁が今回と異なる判断手法を示す可能性もある。

 ◇識者や捜査当局、評価と戸惑い
 ◇裁判員裁判の趣旨に合致/高裁は萎縮しないで
 判決に対し識者や捜査当局からは評価と戸惑いの声が聞かれた。

 裁判員制度の設計に関わった国学院大法科大学院教授の四宮啓弁護士は「市民が参加する裁判員裁判の趣旨に則した判決」と評価。一方で「控訴審の審査は1審判決の判断が論理則、経験則に照らして不合理といえるかどうかの観点から行うべきだ」とした点について「1審判決を安易に覆してはならないと受け取るのではなく、適用範囲を慎重に検討すべきだ」と指摘した。今回とは逆に1審が有罪だった場合、裁判の無罪推定の原則が崩れる恐れがあるという理由だ。

 元東京高裁部総括判事の木谷明・法政大法科大学院教授も「1審無罪を控訴審で逆転有罪にした事案への判断としては正しいが、あくまでそういう事案に関するものと理解すべきだ」と強調する。証拠を絞って審理する裁判員裁判の導入で、従来に比べ厳密な事実認定が難しいとされることを踏まえ「真実は神様と被告以外に分からない。市民を代表する裁判員の判断であっても無実の者を処罰してよいことにはならない。高裁は萎縮せず1審判決を是正してほしい」と付け加えた。

 一方、ある検察幹部は「薬物密輸事件の有罪立証のハードルが上がる。今回の事件が無罪になるようでは、他の同種事件はほとんど無罪。結果的に治安の悪化につながってしまうのでは」と懸念する。別の検察幹部も「組織的犯罪の薬物密輸は、そもそも裁判員裁判にそぐわない。法定刑を低くして、薬物の認識がなくても罰することができるようにすべきではないか」と戸惑いを見せた

 09年5月の制度開始以来、全国の裁判員裁判で言い渡された全面無罪判決13件のうち覚醒剤密輸事件は6件。専門家の間には「凶悪事件の審理に国民感覚を取り入れるのが制度の趣旨だ」として、国民感覚になじみにくい密輸事件を裁判員裁判の対象外とすべきだとの声もある。

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 ◆裁判員裁判の全面無罪判決◆
   年  月 地裁  罪名    求刑     地裁判決の主な判断
●10年 6月 千葉  覚醒剤密輸 懲役12年※ 覚醒剤の認識に疑問
○   12月 鹿児島 強盗殺人  死刑     証拠不十分
◎11年 1月 東京  覚醒剤密輸 懲役13年※ 証拠改ざんの可能性
○    1月 大阪  覚醒剤密輸 懲役18年※ 「共犯」の供述に疑問
◎    2月 浜松  殺人    懲役13年  正当防衛
◎    5月 神戸  強盗致傷  懲役8年   目撃証言に疑問
○    6月 千葉  覚醒剤密輸 懲役13年※ 覚醒剤の認識に疑問
●    7月 東京  覚醒剤密輸 懲役15年※ 「共謀」の証拠不十分
◎    7月 大阪  傷害致死  懲役4年   誤想防衛(正当防衛などと思い込んだ行為)
○    9月 仙台  殺人    懲役13年  「共犯」の証言に疑問
◎   10月 東京  傷害致死  懲役5年   正当防衛
○   12月 千葉  覚醒剤密輸 懲役13年※ 覚醒剤の認識に疑問
 12年 2月 神戸  組織的殺人 懲役25年  事件の「指揮」に疑問

 ◎は検察が控訴せず1審無罪が確定、○は検察による控訴中、
 ●は2審で逆転有罪、無印は控訴期限前。地裁の「浜松」は静岡地裁浜松支部。
    ※は罰金600万~800万円の求刑も

●最高裁判例
              最高裁判例/判例
事件番号 平成23(あ)757
事件名 覚せい剤取締法違反,関税法違反被告事件
裁判年月日 平成24年02月13日
 法廷名 最高裁判所第一小法廷
 裁判種別 判決
  結果 破棄自判
  原審裁判所名 東京高等裁判所 原審事件番号 平成22(う)1488
  原審裁判年月日 平成23年03月30日
 
判示事項  裁判要旨
 1 刑訴法382条にいう「事実誤認」の意義
 2 刑訴法382条にいう「事実誤認」の判示方法
 3 覚せい剤輸入等被告事件について,被告人の故意を認めず無罪とした第1審判決に事実誤認があるとした原判決に,刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例

判決全文




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