公務員の勤務中の選挙運動のこと
● 関係者ら
2001年1月28日投票の岐阜市長選挙に関して、同年2月13日に岐阜市環境部リサイクル推進課長が県警に逮捕されました(同3月6日/罰金刑20万円)。
ここから、岐阜市の自治体職員が「その地位を利用して現職市長を当選させる目的をもって各種の選挙(事前)運動を行っていた」ということが発覚し、続いて、幹部らが逮捕などされました。
同3月10日に環境部次長逮捕(3月30日/罰金刑30万円)、3月13日に市長室参与兼秘書課長逮捕(4月25日/罰金刑50万円)、4月3日に(当時の)市長室長が逮捕されました(4月25日/禁固1年)。ほかに、税務部長・土木部長・農林部長・水道部長を4月24日に書類送検(4月25日/起訴猶予処分)しました。
● 内容=実態
当該市長選挙における事前運動は2000年途中より2001年1月20日まで、選挙運動は2001年1月21日以降です。
行為の行われた主たる場所は、岐阜市役所内の各所。
職員らが行った主な行為の内容は、「紹介者カードを市役所内などで配布しその記入、提出を暗に求めた。もって選挙対策用の各種名簿の作成等につとめた」「市役所内の選挙体制についての調整や、職員らの選挙対策運動の調整」「後援会(選挙)事務所への職員の動員等」「電話掛けの依頼」「職員の家族への電話掛けや事務所への顔出し・当番要請」その他の選挙のための諸々の準備と調整などである、とされています(各種報道)。また、紹介者カードや各種文書等の印刷に市役所内の印刷機を用いた、とも指摘されています。
なお、「市と関係する外部団体への職務関係を前提にする当選のための働きかけ」も、リサイクル推進課長、環境部次長らの逮捕理由とされています。
前市長室長は、今回の現職市長の選挙対策の中心人物であり、役所の内部ではもっとも強い権限を有していたとされています。市長室長を筆頭に部長らが、勤務時間中に庁舎内で入会カードを職員らに配布したもの。職員は、昇進や配置等人事への悪影響を心配して、応じたものも多かったとされます。
このように、岐阜市としての組織的背景が歴然としています。
● 市民
私たちは、このようなことが再び行われてはいけないと、その年から、この問題に取り組みました。
一つは、関与した市の職員の給与の返還を求める住民訴訟。
もう一つは、その行為を調査した市の記録や聴取内容などの文書の非公開処分取り消しを求める行政訴訟。
● 裁判所
曲折がありましたが、先日2005年8月18日付けで最高裁が非公開で良いと高裁判決を確定させました。その決定書が21日に届きました。
最高裁は、私たちの上告のころ、他県の例で、「停職は,地方公務員法29条に定める懲戒処分の一つであって,職員が懲戒処分を受けたことは,公務遂行等に関して非違行為があったということを示すにとどまらず,公務員の立場を離れた個人としての評価をも低下させる性質を有する情報というべきであるから,私事に関する情報の面を含むものということができる」(最高裁平成15年11月21日判決/平成12年(行ヒ)第334号)としたところです。
この種の訴訟をしていて、強く感じるのは、「裁判官も同じ公務員」「身内意識」ということ。
ともかく、これらのまとめや記録は岐阜市長選挙違反のページ
非公開判決が確定したからといって、岐阜市が喜んでいいことではありません。市長が変わっても、未だに、ひたすら隠し続けていることを恥ずべきです。
| Trackback ( )
|