私にとってバッハの音楽は「鎮静」に誘うものである。「平均律クラヴィーア曲集」も「無伴奏チェロ組曲」も然り。その最たるものが「フーガの技法」である。シンプルな音の流れは、高まった感情を虚無の手前まで引き下げ、自我の意識を薄め、万物との融合を促す。そこに生じる静寂は「死」を想起させるが、不思議なことに恐ろしくはない。
「生」と「死」は同体であり、それぞれ単体で存在することはできない。「フーガの技法」には「生」と共に「死」が描かれている。私はこの曲に自然のあるがままの姿を感じ、時々そこに帰りたくなってしまう。
「生」と「死」は同体であり、それぞれ単体で存在することはできない。「フーガの技法」には「生」と共に「死」が描かれている。私はこの曲に自然のあるがままの姿を感じ、時々そこに帰りたくなってしまう。