気を感じながら暮らす

からだや自然について思うことなどを気ままに

友と「香山」に行く

2011-09-29 17:31:49 | 中国

 北京に留学していた頃、中国人のY君が時々遊びに来た。彼はいつも、うつむき加減でボソボソと話をした。私の知る中国人の中で、一番声が小さい。中国語の教師をしていたが、上手く行かなかったようだ。

 「彼の書は素晴らしい」と、彼を知る中国人から聞いた(中国人同士はあまり褒め合わないので、確かな情報だといえる)。彼にそのことを言うと、「書がかけても何にもならない」と言った。それは、恐らく「書がかけても良い仕事が見つかるわけではない」という意味だろう。

 ある日、彼が「香山」に行こうと言った。「香山」は北京の郊外にある低い山で、紅葉の名所である。私の居た北京体育学院(現北京体育大学)から、自転車で1時間くらいかかる。香山に着くと、Y君はどんどんと前を歩いた。いつもの前かがみの姿勢では無い。腰が伸び、堂々と前を見据えて、歩いている。黙々と景色も観ずに進んで行く。私も遅れないように彼の背中に付いて行く。一心不乱に歩くことで、何かを吹っ切ろうとしているのか。いつの間にか彼は、歌を唄い出した。大きな声で。こんな大きな声が出せるとは、驚いた。彼の歌声は山の中へ、気持ち良く響いていた。

 「そろそろ帰ろうよ」と言わなければ、彼はもっと前に進んでいたに違いない。終わりを予感させない足取りと、歌声だった。Y君の背が伸びたのも、歌を聴いたのもその時だけで、翌日には再び元の彼に戻った。あの時、もう少し彼に付き合えれば良かったと、いま思っている。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

台風前にちょっと

2011-09-01 16:32:18 | 渓流・鮎釣り

 今日は朝から釣りに行くかどうか迷っていた。天気予報では、山梨県に大雨注意報が出ていた。午前中くらいなら大丈夫だろうと、取りあえず8時過ぎに家を出た。電車から桂川を観ると、濁流である。本流を諦め、支流で竿を出す。一昨日、山で捕まえて置いたミミズをハリに付ける。昨晩の雨で水が多く、条件は良いがアタリが無い。先行者がいるのかなと、不安になる。沢を20分程歩いてから、ようやく25センチ上の岩魚が続けて2匹釣れた。暫くして山女魚が掛かった。小さな滝つぼを暴れ回ったそれは29センチあった。1時間で3匹、下手な私にしては大漁である。

Photo


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする