からだを物質的な面から見れば、それは「自然」そのものであるが、外見は「自然」とは言い難く、周りの動植物とは明らかに違う何かを漂わせている。周りと調和していないことを「不自然」と言うが、まさに人の姿勢(外見)には、周りの自然とは調和できない「不自然」さがある。
その原因は、緊張と弛緩のバランスが整っていないことにある。からだのある特定の場処に力が入り(或は抜けて)、バランスが崩れているのである。からだが歪むのは、からだそのものの使い方の問題よりも、「意識」の使い方によるものの方が大きい。意識が、物事をどう受け止めているのかということがそのまま、からだの上に現れるからだ。喜怒哀楽、不安・心配・憂い・・・すべてが緊張・弛緩となって現れる。だからたとえ外的な要因があったとしても、姿勢の責任は自分(の意識)にある。
人の姿勢や動作は他の動物と比べて、百人百様で(悪い意味で)個性的である。動物は、同類であればよく似た姿勢で動くものだ。人は大脳の発達と引き換えに、からだを歪ませたと言える。
「意識」によって歪ませた姿勢を、元に戻すには「意識」をきちんと使うことだ。例えば私の主宰している気気、立つ練習或は野口整体、坐禅、瞑想などをする時間を持つことだ。その時にからだがどうなっているのかを感じてみればいい。
社会生活の中でいつも平常心でいることは大変に難しいが、せめて短い時間でも、意識をきちんと使う時間を持てれば、自分をリセットすることの手助けになるだろう。