気を感じながら暮らす

からだや自然について思うことなどを気ままに

太極拳の選び方

2020-03-07 07:31:18 | 太極拳
 数年前、銀座の某ギャラリーで抽象画を観て、おそらく初めて「いいな」と思った。それまでの私は抽象画を理解したり、味わったりすることができずにいた。在廊していた90歳を超えた作者にその旨を問うと、「好きか嫌いでいいんじゃないですか」という答えを頂いた。素人の私に対して簡単に答えてくれたのだろうが、確かにそういう観方も「あり」だ。
 
 太極拳は学ぶ目的の違いから三つに分類することができる。大会に出場することを目指す競技用太極拳。決められた姿勢をキッチリしようとする外形重視の太極拳である。実践太極拳は実際に戦うことを前提に練習していくもので、強さを求める太極拳。健康太極拳はまさに健康を目指したもの。私は健康太極拳を教えているが、ふつうの健康太極拳とは違い、「型」を重視せず「立ち方」を大事にしている。
 人は誰でも自分の学んでいるものが一番良いと思うものだ。私自身は、1993年に北京で太極拳を始めたときには「競技用太極拳」だった。入門者の私にとってそれはとても魅力的で、習っていて楽しいものだった。数年後、最後に陳式太極拳を教えてくれた先生は「実践太極拳」を専門としていたが、私は「型」しか教わらなかった。実践に興味がなかったわけではなかったが、踏み切れなかった。先生の実践的なテクニックとそれに裏打ちされた「型」は、何よりも美しかった。私は現在太極拳を「理想の立ち方を身につける」ことの手段の一つにしている。
 
 太極拳は年齢や出会い方によって、どの太極拳を学ぶのかが決まる。これから学びたい人は、それぞれ体験してみて、「好き嫌い」で選ぶのも良いのではないかと思っている。目的で選んだとしても、好きでなかったら長続きはしないだろうから。

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習い方・辞め方

2019-02-23 10:42:46 | 太極拳
 「太極拳を学ぶのに大事なことは何だ」と問われたら、「思い込みを減らすこと」と答えるだろう。「思い込み」とは、自分はそれが正しいと勝手に思っていることである。もちろん誰でも多かれ少なかれ「思い込み」はあるのだが、減らすことはできる。私は22年間ほど太極拳を教えているが、上達しない人は、「思い込みの強い人」である。
 他の教室で習っていた人も時々来るが、以前のクセが抜けない人がいる。そういう人は以前のそれが良いと思っているから変わらないのである。からだに付いたクセでも意識を変えれば案外簡単に抜けるものだ。太極拳は全身を使うものだが、初心者の多くは、腕が他処よりも多く動き過ぎる。それは腕こそ太極拳だと思っているからだ。意識が腕ではなく丹田や足に行くと動きの質が変わってくる。
 私が最後に付いた太極拳の先生は「今まで習ったことをすべて忘れてください」と最初に言った。数年間自分が良かれと思い練習してきたものをすべて捨てるということに若干の困惑があったと思うが、先生の言ったことは正しかった。自分を空(カラ)にしなければ、「教え」がキチンと入って来ないからだ。先生の教えを取捨選択できるレベルではないのに、自分の思い込みを持っていたら邪魔にしかならない。
 自分を「空っぽ」にさせてくれる指導者に出あえれば幸せだ。その時、習う方は指導者の一挙手一投足、すべてを受け入れるという姿勢になる。他者に対してそういう思いで向き合うことは、一生のうちにそう何度もあることではない。清濁併せのむことの弊害もあるが、技術の習得がそれを上回る。
 続けて行くうちに、指導者の考えと自分の考えの「違い」を感じることがあるかも知れない。そういう「ずれ」は意識よりも先にからだで感じるものだが、その時はあっさりと辞めればいい。それは自分が確立してきたという成長のしるしなのだから。

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「腕」を使わなければ太極拳は良くなる

2018-07-29 13:54:47 | 太極拳
 太極拳が上手くならない要因の一つは、「腕」を使い過ぎることにある。腕に使う力が、足や腹などより大きいのだ。五体と言ってもからだは繋がっているのだから、一体感のある動きが理想である。腕だけに力が入れば、からだのバランスを失うことになる。
 何故、腕に力を入れてしまうのか。本人の意識の問題である。本人が、太極拳をそう(腕を使ってするものと)理解しているからである。また腕は足や腹よりも動かしやすいから、そこに意識が偏りやすい。
 私が提唱するのは、腕を使わずに型(套路)をする練習。丹田の上下運動は、胸の上下運動を伴いながら、同時に胸を左右に開閉する。その力は肩から二の腕・肘・手首・掌と伝わっていく。捻る動作も、足首を捻れば、その力は股関節に伝わり、肩を動かし、腕の旋回になる。腕を止めておくと、力が伝わってくるのが分かる。伝わってくるとウズウズして動きたくなる。それから動けばいいのである。腕と腰や足を一緒に動かそうとすると、かえってバラバラになるのだ。
 そういうからだの内部を伝わる力が分からない人は、「立つ」だけの練習をして、からだを敏感にするといい。
 

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最近の太極拳教室から

2018-06-16 05:44:45 | 太極拳
 生徒から、太極拳のビデオを撮らせてほしいと言われ、教えたところまでなら良いですよとオッケーした。数日前、今度は「腕なしの太極拳を撮らせてほしい」と言われた(腕を使わない太極拳を見せたことがあったので、それを憶えていたのだろう)。私は、彼が基本練習に関心が向いていること嬉しく思った。腕なしの型をした後に、基本練習を幾つか足した。片手を胸、もう一方の手を丹田に当てて、上下の開合(からだを伸ばす・丸める)。両手を胸の左右に当てて、丹田の上下に合わせて、左右に開く。それに捻りを足したもの…。手があるとそれが目印になって開いたり閉じたりしていることが良く分かる。
 教室で時々、私の掌の形が見えないと言われることがある(生徒たちは総じて「腕」に関心がある)。しかし手の形や腕よりも大事なことがある。たとえば開合。それは背中を見れば分かる。丹田が上がれば背中は丸くなり、下がれば伸びるからだ。ちなみに、私の教室では手の形は、従来のものから変えて練習することもある。たとえば拳で打つ動作を、掌でやってみる。そうすると全身のバランスが良くなり、気持ちよくできることがある。拳だと力み易いのだろう。
 開合ができるようになったら、「立ち方」にも関心を持ってもらいたい。「立ち方」が良くなると、(良い意味で)力強さが減り、落ち着いた太極拳になる。

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太極拳 個人レッスン

2018-05-18 09:37:21 | 太極拳
 ピアノは個人レッスンが当たり前ですが、太極拳はジムやカルチャーセンターなどで習うのが一般的です。もちろん教室には一緒に学ぶ楽しさもありますが、型やからだの使い方を深く追求していくには限りがあります。そこで個人レッスンをはじめることにしました。
 関心のある方は、ホームページをご覧ください。
 
 私の教室に長く通われている人は必要はありません。教室と「理想の立ち方を身に付ける会」で私の伝えたいことはすべて伝えていますから。

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