気を感じながら暮らす

からだや自然について思うことなどを気ままに

文字を削ると生まれるもの

2011-01-28 18:18:30 | 

  国際会議などで使用する同じ内容の文書を、各言語で作成すると、中国語で書かれたものが一番短いと聞いたことがある。このことが何を意味しているかと言うと、一文字あたりに含まれる内容が他の言語よりも多いということだ。

 中国には、古代漢語と呼ばれる古文もある。論語も史記も三国志も杜甫も皆、古代漢語である。この古代漢語、現代の中国語よりも、相当短い。短いことは、伝達が上手く行けば、便利だが、情報量が少ないが故に、理解しづらい。

 昔の中国人は、文書をできるだけ短く書こうとしていたようだ。韻を合わせたり、対句にしたりもするが、何よりも短さにその意識が向けられているようだ。省略できる文字はとことん削り、最後に残ったものだけで勝負するという感じである。

 読んですぐにわからないということは、読み手側の情報不足と、感受性(察する能力)の鈍さが原因である。逆に言えば、それを磨けば少しづつでもわかるようになる。

 現在の世の中では、文字(言葉)をできるだけ多く使う方向にあるようだ。テレビ然り、小説然り・・・

 文字を削っていくことで生まれるものがある。それは美かも知れないし、自分の能力かも知れない。それを楽しみにしている。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

インスピレーションという力

2011-01-20 15:46:24 | 

Photo

丁度一年前にこの本「極北コルィマ物語(ヴァルラーム・シャラーモフ 高木美菜子訳)」を図書館で借りて読んだ。絶版だったこの本を最近古本で手に入れた。

 作者はラーゲリと呼ばれる収容所で二十年過ごし、後に奇蹟的に生還した。収容所での過酷な日常を観察し、極限状態に置かれたときに人に現れる姿を描いた。裏切り、略奪、絶望・・・こんな状況でも生きて行かれたのは、作者には「詩」があったからである。

 詩は生気を与える力だ。~詩のために生きているのではない。詩によって生きているのだ(24頁)。

 詩は文字になる前には、頭の中にある。インスピレーションによって頭の中に生じる。

 インスピレーションは生だ。生はインスピレーションだ(25頁)。

 インスピレーションは自由だ。誰がどんなことを閃こうともそれは尊重されるべきである。それは何人にも侵されてはならない。

 詩だけは疲労にも、厳寒にも、飢えにも、際限のない圧力にも屈しなかった(40頁)。

 人権問題は、社会制度の問題だけではない。もしマスコミが作り出す世論や、常識などが個人のインスピレーションを発露させない雰囲気を創っているのならば、それもまた人権問題なのではなかろうか。また個人がインスピレーションを持ち続けることができれば、それは自分を虐げようとするものに対して、大きな力を持つことになる。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

この本に出会うまで20年

2011-01-07 16:39:27 | 

089

 20年前の日記(1991年6月4日)を開くと、「ミハイラ(ミカイラ?)・ブルガコフ」と書いてあり、その横に「ギョルギおすすめのロシア人(作家)」とある。

 ギョルギはブルガリア人で、北京体育大学(当時は学院)留学中、最も深く印象に残る友人だ。ハンサムな彼はブルガリアでは役者だったらしいが、私にとっての彼は詩人だ。時々詩を作り、作りたての詩を私に聞かせてくれた。

Photo ギョルギ(右)と私

 北京から帰国した私は、ギョルギが教えてくれたロシア人作家のことなどすっかり忘れてしまっていたが、今回20年ぶりに調べることができた。そして「ミハイル・ブルガーコフ」という作家がいることがわかった。私の耳では「ミハイラ」或いは「ミカイラ」と聞こえたのだが、日本語表記では「ミハイル」となるのである。

 この本「巨匠とマルガリータ」はとても面白く、正月を利用して一気に読んだ。言論の自由のないスターリンの統制下で、作者は何を一番伝えたかったのか・・・そんな話をギョルギとしてみたいものだが・・・彼は現在、何をしているだろうか・・・この写真のように女性の足元に膝まづいてはいないだろうか・・・(冗談)

 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする