谷山浩子の「カントリーガール」は定番のストーリーだが、4番まである「さび」が全く変わらないことが、変わって行く少女のココロを浮かび上がらしている。
「にぎやかな都会の景色は 変わる万華鏡」
「いつでもきみを驚かせる 七色プリズム」
「都会の景色」が変わっていくのではなく、自分のココロが変わっていく。万華鏡の絵柄が変わるのも、プリズムの光線の色が変わるのも、自分の観方によって変わっていくのだが、本人(彼女)は、そうは思ってはいない。
「おふるのスカートはじらうよう」な人は、往々にして
「長い煙草を きざにくわえた 若い男」のことを追いかけ、
「たった七日目」に捨てられるのだ。
この歌の主人公は、
「はじめから終わりまで きみを見ていた」
「真赤なルージュ そっとひいてみて すぐにふきとったのも」
彼女が恋をしてウキウキしているときも嫉妬することもなく、捨てられることがわかっていても、何の助言もすることもなく見守っていた男が、最後になってようやく登場する。
「ぼくが書いた あの手紙の言葉をもう一度きみに贈ろう」
ここで初めて1番の歌詞は、実は彼が書いたのだということがわかる。
4番まであるこの歌のさびはすべて同じである。
「カントリーガール きみの目の中で 夕焼けが燃える
カントリーガール きみのほほえみは 草原のにおいがする 好きだよ」
すべて同じ歌詞を並べたわけは意味の強調ではなく、彼女が、ココロの成長と共にどのように受け止め方が変わっていくのかという定点観測である。
1番では、主人公にそう言われても彼女のココロには響いていなかったが、4番になって初めてそれがわかるようになる(歌詞には具体的には書かれていないが)。もちろんそれは2番・3番の経験によって、彼女の感受性が変わったからである。
4番が1~3番までと違って力強く歌い、演奏されているのは、彼女のココロに迷いがなくなったことを現わしている。
傷つかないと大人になれないのは、少女だけではないだろう。