高校生の時にラジオで中島みゆきの「夏土産」を聴いて、ファンになった(と言っても5、6枚のアルバムを聴き、深夜のD.Jを聴いていたくらいであるが)。シングルにもなっていない「夏土産」を偶然聴いたことが、中島みゆきを聴くきっかけになった。ヒットした「悪女」や「ひとり上手」・「時代」が流れても、「きっかけ」にはならなかっただろう。
さて、当時は高価なLPレコードはなかなか買えず、「貸しレコード屋」に通った。そこでレコードを借りてきて、カセットテープに録音して聴くのである。「夏土産」は「予感」というアルバムに入っていて、聴いているうちに他の曲も好きになっていった。最初に「誰のせいでもない雨が」「この世に二人だけ」などを気に入り、最後に(数年経ってから)好きになったのが「テキーラを飲みほして」である。ロック調のこの曲は、ギターで弾き語ると湿っぽい歌詞が、カラッとなるから不思議だ。テキーラは昔飲んだことがあるが、味は憶えていない(旨ければ憶えているだろう)。何故「テキーラ」なのだろう?試しにサビの処にバーボンや、ブランデー、ワイン・ジン・ウォッカ・ラムなど入れて、歌ってみれば「テキーラ」が一番音符に乗ることが分かる。
男に心底惚れている女は、強い。その男が自分のことを見てくれないことくらい、どうってことないし、自分が選ばれないことくらいで諦めたりはしない。
「おまえの惚れた あの女を真似て」髪型を変えるくらい簡単なこと。本当は最新の自分を出したいのだが、それは男の好みでないから「使い古しの女っぽさ」を演じることだってできる。プライドなんか何時でも捨てられるのだ。
「待てと言われもせず」追いかけて6年目、「風の噂」で聞いた。「身を固めるんだってね」。男が結婚を一番に考えるような男に成り下がったとき、それは女にとってたった一つの価値=「惚れるほど魅力的な男」が、そうで無くなった時であり、そうなればもう「こちらから Say good bye」するしかない。
18歳の頃、留学先で知り合った20代半ばのお姉さん2人が、「中島みゆきは振られる人ではなく、振る人だよね」と言っていたが、この歌を聴いて、そうかも知れないと思った。