円空の仏像は魅力的だ。実際に観たのは6体、あとは作品の写真集を眺めてそう思う。円空仏は素材である木をそのまま活かして彫るという。木の個性を見抜く力があったのだろう。木目や形状など物質としての個性を見極めることはもちろん、木の勢いというか、成長しようとする方向のようなもの(非物質的なもの)まで感じ取っていたのではないか。こうして木を読み、作品を作り上げたのではないか。
円空彫はダイナミックに鉈とノミをふるい、その彫りあとも生々しく残すのが特長であるが、円空その人はとても繊細な感情を持っていたのだろう。木の個性(気と言ってもいい)を大切にする気持ちがあったから荒々しくならず、こんなに生き生きとした仏像に仕上がったに違いない。