例年この時期になると近所を流れる川の水が切れる。切れた水は所々で小さな水溜りになり、日毎に小さくなっていく。水溜りに近づいて観ると、そこには地上とは別の世界があり、小さな魚が勢いよく泳いでいた。私たちが彼らの生活を知らないように、彼らもまた私たちの生活を知らない。
サギの漁は簡単だ。ただ雨が降らないことをいのり、水溜りが小さくなるのを待つ。有名なピュリツァー賞の写真では、ハゲタカが餓死寸前の少女の後方で待っていた。このサギには同じ血が流れているのだろう。
干からびるか、サギに喰われるか、いずれにしても小魚に明るい未来はないが、限られた水の中をピンピンと泳ぐ姿は、躍動するいのちそのものである。明日を信じるサギは今を生きる小魚には敵わず、明日を怖れる人は明日を知らない小魚に敵わない。
土手を歩く人は着膨れし、憂いのある内側を隠している。
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