当時は練習中に水を飲むことができなかった。先生(監督)がそういうことを言ったことはないのだが、それを当然として練習は続けられていた。ある時、ボールがトイレの方へ飛んでいき、私はそれを拾いに行ったついでにトイレに駆け込み、水をがぶ飲みした。それを先輩マネージャーに見つかりグラブで叩かれた。「皆が飲まずに頑張っているのに、お前だけ飲むのか!」と。確かにその通りである。しかしあの喉の乾きを抱えながら、冷静にいるのは大変なことである。大汗をかいているのに水を飲まないというのは、何とも身体に悪いことをしていたものだ。からだに無理な負担をかけてまで求めるものなどあるのだろうか。たとえ根性や精神が鍛えられたとしても、それは偏ったものになる。身心の成長は抑圧された厳しい環境ではなく、落ち着いた自由な環境で初めて実現されるのである。
3年生が抜け、新チームになって初めて練習試合に出場した。初打席は代打である。左ピッチャーの初球をとらえ、右中間スリーベースヒットを打った。試合後、嬉しいことが2つあった。1つは相手チームのキャッチャーに「ナイスバッティング!」と言われたこと。実はその人は、中学(シニアリーグ)時代の先輩だったのである。もう1つは先生(監督)にほめられたこと。
「白石が走っている姿を見て、涙が出そうになったよ」と言われた。普段から練習している姿を見ていてくれたのである。
3年生が抜け、新チームになって初めて練習試合に出場した。初打席は代打である。左ピッチャーの初球をとらえ、右中間スリーベースヒットを打った。試合後、嬉しいことが2つあった。1つは相手チームのキャッチャーに「ナイスバッティング!」と言われたこと。実はその人は、中学(シニアリーグ)時代の先輩だったのである。もう1つは先生(監督)にほめられたこと。
「白石が走っている姿を見て、涙が出そうになったよ」と言われた。普段から練習している姿を見ていてくれたのである。