小学四年生の頃だったろうか、夏のことだった。近くのアパートで独り暮らしをしている大学生(社会人?)が、私と弟(或は友人?)を市民プールまで連れて行ってくれた。車はどこからか借りて来たのかも知れない。特に親しかったわけでもないが、どうして誘ってくれたのだろうか。いくらヒマでも近所の子ども達をわざわざプールに連れて行くなんて、余裕がないとできることではない。ふっくらとした顔つきで、眼鏡の奥の細い眼はいつも優しげだった。プールでは子供たちだけで遊び、お兄さんはプールサイドでのんびりと寝っ転がっていた(一度も水には入らなかったようだ)。
またある時、お兄さんは友人達とアパートの前の庭でバーベキュ―をして、焼いたものを持って来てくれた。
時は過ぎ、私が新宿に近い「笹塚」のアパートに住んでいた頃、同じ階に双子の少年がいた。少年たちはユニフォームを着て時々野球をしていた。特に親しかったわけではなかったが、アパートを出る時に、彼らにバットをあげた。そのバットはジャイアンツで通訳をしていた時に、同期の選手からもらったものだ。
何故、大事なバットを彼らにあげたのだろうか…
あのお兄さんがあの夏に、小さな子供を連れて行ってくれた思いがボクの中に残っていたからかも知れない。
またある時、お兄さんは友人達とアパートの前の庭でバーベキュ―をして、焼いたものを持って来てくれた。
時は過ぎ、私が新宿に近い「笹塚」のアパートに住んでいた頃、同じ階に双子の少年がいた。少年たちはユニフォームを着て時々野球をしていた。特に親しかったわけではなかったが、アパートを出る時に、彼らにバットをあげた。そのバットはジャイアンツで通訳をしていた時に、同期の選手からもらったものだ。
何故、大事なバットを彼らにあげたのだろうか…
あのお兄さんがあの夏に、小さな子供を連れて行ってくれた思いがボクの中に残っていたからかも知れない。