津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■「旦夕覺書」--風・13

2014-10-24 06:55:02 | 史料

                        一、江戸御供にて参候時袋井と申宿一里程手前にて御意被成候は最早袋井は近きかと御意ゆゑ一里斗
                          と申上候へはいつも出候親に孝行成乞食今日も可出と思召、奉行共に鳥目をとらせよと被仰付候定て出
                          ておるへきそと御意被成候 はつと申其儘落涙仕御跡に少しより扨々乞食にても孝は天の御恵と申せ
                          は明らか成事と存奉落涙仕候御覧不被遊候にて其儘下り候へ共跡にも御供衆居申いかゝ可存哉と致
                          迷惑候 惣別拙者は十一二の時より涙もろく下々出替りに暇もらひ出候時人により名残おしく落涙仕
                          候恥敷存候

                        一、又道中藤澤の宿一里半斗手前になんごちやとだんこなと賣申茶二三十間有之候 御供代村井に替り申
                          候御意被成候 替り候へは村井申者早追そ御意と申候 拙者存候は皆共は代り有之歩行より下は皆々毎
                          日々々の儀御存被成候てとふ仕候事かと無勿躰奉存候て御供仕候 藤澤十町斗此方へ入江又右衛門出
                          居被申候故申上候へはとれ々々と御意被成又右衛門出か御口上は申すな宿にて聞ふそと御意被成扨
                          拙者に御意被成候は扨々能所へ又右衛門は出申候いつも 清高院殿より一宿前へ御肴被下候 明日は
                          精進日ゆゑ暮ぬ先にと思召今日は御急き被成候 最早静に参候様に申付候へと御意被成候 其時もはつ
                          と奉存扨も々々御尤成儀不存前にいな事と奉存候事は扨々無勿躰儀と奉存候 後に左に林兵助居申拙
                          者同きに奉存候と申候 扨江戸御着座の時芝御屋敷表御門御はいり被成候時御玄関に 與一郎様御十
                          一二の比にて扨も御盛長被成御機嫌と御駕の内奉見候へは御落涙にてはつと奉存誠に是は 清高院
                          様へ御對面可被遊被思召たるよと老母事を存出し上下共に母を思ふは乍憚同し事と落涙仕候て無
                          程御駕すへ申候へは大友殿壽命院其外御心安き衆参今日は天気能扨々目出度奉存と被申候へ共しか
                          と御あひさつもなく御刀を御取被成早く御通被成候 御側衆其外大勢罷出居被申候へとも頭を下ケ居
                          被申扨拙者にむき何も傳夘目出度と被申候へとも右者も右申合故頭を下ケ兎角の返答もなく居申
                          唯今も落涙仕候 

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