二〇六
一當國より他國え参候百姓、立歸り田作候得は尤ニ候、左
無之候ハヽ荒地を被遣、家のため竹木・種子籾、又は人
ニより作食借被遣、開米納所之儀も所ニより相對ニて定
有付候様可被仰付候間、何ほとも肝煎呼戻可被申候事
一山薮萬事至迄、諸侯所如在なく悪敷成候ハヽ、諸侯年を
越て此方へ受取可申候、以上
寛永十年四月七日 田中 兵庫
宗像清兵衛
牧 丞大夫
御郡奉行中
ニ〇七
一急度申觸候、馬草かしき之儀は、牛馬養ひ・田畑之肥ニ
相成候ニ付、御先代之通、諸相互催合候て剪候様可申渡
候、恐々謹言
寛永十年六月ニ日 田中 兵庫
宗像清兵衛
牧 丞大夫
御郡奉行中
二〇八
急度申觸候
一御浦手にて田畑之役儀は、其御郡之井手・堤・道普請可
被申付候、餘之両郡へ参候筈ニてハ無之候事
一夫米・薪米何ニても、出る物は上村同前可被仰付候事
一船ニて通し候ハて不成所は、舟加子共召仕可被申候事
右之外ハ諸役被仰付間敷候、恐々謹言
寛永十年八月十六日 田中 兵庫
宗像清兵衛
牧 丞大夫
御郡奉行中
二〇九
被仰渡候御印之寫
一兵粮を遣し國中を召仕候人足之事、兵粮を遣し候儀、郡
奉行加判形、其者/\之手前え慥ニ届候様、可申付候事
一我等取候て以来一國豊前にてのことく、墨・筆・紙・油
惣庄屋手前其郡より割賦仕候様、郡奉行可申付候事
一惣郡奉行より其郡ニ新敷仕候事、又山札ニ至迄申付候日
限、目録ニ仕候て可申上候、印を可遣候、扨郡役仕様之
上中下可為存候、毎年如此可申付候、以上
田中 兵庫
寛永十年八月廿一日 宗像清兵衛
牧 丞大夫
御郡奉行中
二一〇
一百姓六ヶ敷無之様ニ加仕候、隙をふさき候様仕間敷事
一百姓走申候事、隣ニ参候て居可申候、此御意少も疑申間
敷候事
一御所務之時無油断様、奉行を堅可申候事
一御百姓彌一人も不召仕候様、可申付候事
一來年より物成口米を納可申由、被仰出候事
一鉄炮札銀ニて、はをりを彌誘置可申候事
一御國中、夫米・薪米迄可被召上候、來年之所務より被召
上間敷事
一諸御郡河札銀被成御赦免候、其段可申渡候、但託麻郡江
津之池・玉名之丸池・河尻御茶屋之前川、此三ヶ所は御
慰被成所ニて候間、堅留可申事
一御小物成、當年も如去年半分被成る御赦免候、彌此以後も
半分被成御赦免候間、此旨御百姓中へ可被申渡候事
寛永十一年閏七月七日 宗像清兵衛
牧 丞大夫
御郡奉行中
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