年の暮れともなるとどちらの御宅も物入りで、藩庁に対して御拝借(借金)の申し入れをすることになる。
それは大身の御宅とて同様で、ご家来を沢山お持ちの御宅は大変であり、「御銀拝借願」の文面をみるとなんとも深刻である。
2,000石取りのT家の例である。
一銭弐拾貫目 ■■■■
高三百五十石差上 此米五拾六石
但 下地御取立稜々有之 右之出来六ヶ敷候得
共 先々取・先取米請取方無之 且又小物成方
拝借之稜も現上納にして年賦を省キ 差引余米
を以 来年以後取続別紙之通ニ御座候 此度之
引取米ハ備り候得共辛キ積前ニ而御座候 極々
被差支候様子ニ付 右之通拝借可被仰付哉
この例は文化二年十二月のことであるが、家禄二千石の内三百五十石を差上ての「御拝借」である。
三百五十石の手取り五拾六石とあるから、手取り率は16%とと深刻である。この五拾六石を以て銭弐拾貫目を借り入れたことになる。
御連枝とて同様で長岡姓 I は、弐百五拾石差上(此米四拾弐石五斗)を以て、銭拾五貫目を拝借、以下高名な御宅の名前がずらりと並んでおり、この時期の生活の困難さを見る思いがする。ならば100石の御中小姓の生活は如何だったろうか・・・・
いつの時代も我が家の経済はあまり変わっていないという事か。
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