過日、故郷のSさんから寒たまごを送っていた
だいた。
この欄でも2度ほど取りあげたことがあるが、
餌に添加物や薬剤をいっさい使わず、緑餌を
うまく調節して、およそ190日目に(ヒナか
ら数えて)産ませるという、渾身のたまご
なのだ。
ふつう市場に出回るのは、動物たんぱくなど
の添加物や薬剤を豊富にあたえて120日で
産ませるというから、段違いなのである。
いわば自然のリズムを大切にして鶏を育てる
にはそれなりのご苦労があって、大事に育て
ていたヒナを野良猫にやられたこともあると
いう。
こんなSさんはなかなか情熱的で、かなりの
読書家でもある。文化会館の理事や図書館の
仕事を離れた現在でも、本への情熱は枯れる
ことなく、ことあるごとに人に本の魅力を
語っておられる。
晴耕雨読というのはSさんのような人をいう
のだろう。足がしっかり地について、理想と
実践がともなっている人。
(おそらくご本人は自覚しておられないかも
しれないが)
ともすると地方が疲弊しているといいがちだが、
こんなSさんがいる限り、大丈夫だと心強く思
うと同時にうれしくなる。
(写真は今年の年賀状にあったSさん家の鶏舎)