慈雲寺(山梨県中萩原)にある一葉碑。
撰文は幸田露伴によるもの。
露伴は鴎外とともに一葉作品のよき理解者であり、
その日記公刊には大いに貢献した。
しかし、一葉が「ゆく雲」のなかで、
わが養家は大藤村の中萩原とて、見わたす限りは
天目山、大菩薩峠の山々峰々垣をつくりて西南に
そびゆる白妙の富士の嶺は、をしみて面かげを示
さねども冬の雪おろしは遠慮なく身をきる寒さ、
魚といひては甲府まで五里の道を取にやりて、
やうやう鮪の刺身が口に入る位……
と書いたこの地を一度も訪れることはなかった。
おそらく父母に幾度となく聞かされた光景が、
まるで見たように記憶されていたのだろう。
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