一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

長生きはリスク?

2017-10-01 07:40:14 | 読書


       先日の大雨の後、急に秋の気配が深まってきた。
      
       朝晩は上着が欲しいほどだし、
       ここ何日かはお天気にも恵まれ、
       八百屋さんの店頭の果物もおいしそう。


       必要があって芥川龍之介を読んでいたら、
       「秋」という短編があった。

       愛する従兄を妹にゆずった姉の、揺れ動く心情を
       描いた作品だ。
       それは最後の「秋ーー」という表現にあらわれている。

       「ーー」には、人それぞれに育む感情が籠められていて、
       感慨深いものがある。

   
       そんな折、私は、
       「長生きはリスクなの?」
       という新聞記事が気になって仕様がない。

       脚本家の橋田寿賀子さんはこういう。
       「80歳を過ぎた頃から、もし認知症になったら
        安楽死がいちばんと思っています」
                 (文藝春秋2016.12月号)
    
      橋田さんは現在、92歳。
      先日TVにも出ておられたが、かくしゃくとして、
      とても90歳を超えたとは思えないほど元気だった。

      経済的にも生活面でも自立し、仕事をお持ちの橋田さん
      だからと、うなずける。
      でも、 一般にはこのようにはいかないだろう。

      これまでは、長生きは幸せだと思われてきた。
      しかし、
      昨今では、果たしてそうか、
      必ずしもそうではない現実も、そこここで見聞きする。

      シニア世代アンケートを取ったら、
      「長生きはしたくない」
      と半数以上が答えたという。

      理由は、
      「体力のおとろえ」
      「認知症」
      「健康への不安」
      「老人病院に送られるのがイヤだ」
      「自分のことができなくなってまで生きたくない」
      等々、切実だ。

      私も娘たちには日頃から、
      「延命治療はしないでほしい」
      といっているが、
      その場になったら、この意思が病院で通じるかどうか、
      心もとない。

      しかしながら、
      「理想の死に方」を考える前に、
      「いまの生き方」を考えるべきだろう。

      いまを充実させないで、
      「理想の死」など、訪れないのだから。

      秋は、シニア世代どっぷりの私の心も千々に乱れる