一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

ところ変われば

2016-12-24 10:32:50 | 


        今日はクリスマス・イヴ。

        わが家はそれどころではないのだが、
        クリスマスにふさわしい話題を。

        「フランダースの犬」の物語は今の季節に最終章を
        迎え、クリスマスに終わる。

        子どもたちが幼稚園か小学低学年の頃、TVアニメ
        を見て、親である私も涙をさそわれたものだ。

        貧しい祖父と二人で暮らすネロは、同郷のルーベンス
        にあこがれ、画家への道を夢みていた。
        しかし、アロアと遊ぶことを禁じられ、おじいさんは
        亡くなり、放火の疑いをかけられて仕事も失い、
        住んでいた小屋を追い出され、すべての望みを託した
        絵のコンクールにも落選。
        
        ついにはルーベンスの絵の前で、愛犬のパトラッシュ
        と共に力尽きる。
        ネロの最期のことばは
        「パトラッシュ、疲れたろう。僕も疲れたんだ……。
         なんだかとても眠いんだ……パトラッシュ……」
        というものだった。

        そして、パトラッシュが寄り添うと天使たちが舞い
        降り、ネロと愛犬の魂を天国へ誘(いざな)う。

        このシーンは今でも思い出すと涙が出る。


        原作は英国の作家ウィーダで1872年に書いたもの。

      
        ところが、所変われば品変わる。
        米国ではこの悲劇がハッピーエンドに変わるのだとか。

        日本では「他人の悲しみに共感する能力」や「感動的
        な自己犠牲」が尊ばれ、悲劇的な結末が好まれる。

        一方、「厳しい状況から抜けだして幸運をつかむことや
        自己実現の大切さ」を重んじる米国では、
        ネロが裕福な家庭に引きとられ、幸せに暮らすという
        映画になったそうだ。

        果たして……
        悲劇かハッピーエンドか、
        子ども向け云々をいう前に、文学作品としての価値は
        どうか。
        意見が分かれるところである。

        ※ 家にあった絵本より