「鹿おどし」別名「バッタンコ」。
バッタンコとは何か。
「山彦(やまびこ)や茂みの中の
バッタンコ」
相島虚吼(きょこう)
つまり、竹筒に水がたまると一気
に傾いて音の出る仕掛けのこと。
「鹿おどし」とはのどかな名称だ
が、文字通り、鳥獣を追いはらう
のが目的であろう。
歳時記には他にも「案山子」「鳴子」
「鳥おどし」などがあり、
「鹿垣」は木や竹で編んだ獣よけの
垣根のことをいう。
はるか昔から鳥獣の害を避けるのに
ありとあらゆる知恵をこらさなけれ
ばならない山里の暮らしであった。
それがどうだろう、近年では電気柵
などが設けられ、先日は流れた電流
により、二家族7人を死傷させると
いう事故が起きてしまった。
設置者は川辺の花壇を鹿から守る
という、ごく単純な発想であったが、
まさかこんな惨事になろうとは思わ
なかったであろう。
しかし、起きてはならないことが
起きてしまったことは事実。
しかも……
「申し訳なくて死んでお詫びしたい」
と語っていた当事者が2~3日前、
本当に自殺してしまった、というの
である。
近年の鳥獣類の作物への被害は、
昔日のようなものではない。
どこでどうなったか、人間も必死
なら鳥獣類も生きるのに精一杯なの
である。
犠牲に遭ったご家族が最大の犠牲者
であることはいうまでもないが、
自殺した設置者だけを責めて済む
問題ではあるまい。
自然の破壊、人間と動物との共生を
どうしていくか、地球規模で考え
なければならないだろう。
※ いつだったか奥多摩方面に旅行
したときに見つけた看板