一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

さるのひとりごと

2015-03-22 13:46:23 | 読書


     児童文学者の松谷みよ子さんが
     先般、亡くなられた(89歳)。

     モモちゃんとアカネちゃんシリーズ
     は子どものため、というより自分の
     ために読んだし、
     ここで紹介するのは「さるのひとり
     ごと」という民話(再話)である。

     一匹のサルが群を離れ、海を見に
     ゆく。
     「海はいいなあ」
     独り言をいったら「うん」と相槌
     を打つやつがいる。
     小さなカニ。

     なぜ勝手に返事した?
     イライラしたサルはびしゃんとカニ
     をつぶしてしまう。
     ところがカニの声が聞こえなくなると、
     サルは途端に寂しくなり、つぶれた
     カニを丸めて団子をつくり、坐らせる。

 
     「海はいいなあ」
     「うん」
    

     サルはその声がうれしくて何度もやり   
     とりを繰り返すのだ。

     何だかこの関係、思春期の男の子と
     母親に似ていません?
     口うるさい母親をウザがって、ひどい
     言葉でつぶしてしまう男の子。


     それでもいずれは寂しくなって、声を
     聞きたがる。
     母親は母親で、
     つぶされて団子になっても「うん」と
     こたえ続ける。


     卒業式のシーズン。
     学生服に身をつつんだ中学生をみて、
     そんなことを思った。