一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

世の中のたえて……

2014-04-06 02:18:38 | 雑記


      ことさら花見と気負わなくても
      ちょっと出かければ車窓から、電車の窓
      からも、また歩いていても桜の花がぱあ
      っと目に飛び込んでくる。

      都心では所によっては散ったよう、
      昨日藤沢方面にいったら、ほとんど葉桜
      になっていた。
      ちょっと遅い鎌倉は昨日今日が見ごろ。

      
      「世の中のたえてさくらのなかりせば
           春の心はのどけからまし」
                   在原業平

      ご存じ、
      世の中に桜などなければ、春の心は穏や
      かでのんびりしたものであろうものを、
      なまじ桜があるばかりに、
      いつ咲くか、咲けば咲いたで今度はいつ
      散ってしまうか……と気が気ではない
      という意味です。

      業平は天皇の嫡流に生まれ、学究にとみ、
      文才にもめぐまれ、歌人としても昇りつ
      めた。
      さらに容姿端麗で、天下一のモテ男。
      希代の浮気者とも噂された業平。

      彼の移り気な恋はまこと桜の花のように
      散りやすく、桜の木のように実りが
      なかったのです。

      そしてこの歌は、
      高貴な娘たちの業平にたいする恨みがま  
      しい恋歌でもあります。

      一体、いつ逢えていつ去ってしまうの?
      不安といらだたしさのない混じった想い。
      恋する乙女たちの叫びなのだ。

      日本人は古来から桜に人生をかさねて
      見てきたのです。

 
      ※ 鎌倉・源氏池の桜