啓蟄もとうに過ぎた今頃は
「菜虫化蝶(なむしちょうとけす)」
というのだそうだ。
つまり青虫が蝶と化す候ということ。
こちらは青息吐息している間に足元はすっかり
早春の装いを呈しており、今年は地面から感じる
春となった。
このタンポポ、在来種の日本タンポポは消えて、
いまや、ほとんどが帰化した西洋タンポポだという。
見分け方、花のしたの萼片が反り返っているのが
日本タンポポらしいが、実際に区別できたことは
ない。
ありふれていて、さほど意識もされない花。
それでも花が終わって、風のふくまま気のむくまま
落下傘のように飛んでゆく種子には、なぜかハッと
して、詩情をそそられるものがある。
そこで新聞で見つけた句を。
たんぽぽの ぽぽのあたりが火事ですよ
坪内 稔典
若くない美人でもない たんぽぽ黄
近藤 千雅(ちが)