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蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

夢分けの船

2024年02月28日 | 本の感想
夢分けの船(津原泰水 河出書房新社)

22歳の秋野修文(よしふみ)は、映画音楽の作曲家をめざして、新居浜から都内の音楽専門学校に入学する。学校から紹介されたアパートの部屋には、先住者だった久世花音の幽霊がでる、といわれる。修文は同じ学校の嘉山(あだ名は岡山)らのバンド:ストーレンハーツに誘われる・・・という話。

夏目漱石風の文体や用語で書かれている、とのこと。現代の若者の物語とフィットしているとは思えないが、趣があるような、ハイブラウであるような雰囲気は感じられた。

著者の主なジャンルとして、SF風のミステリと青春音楽モノがあると思うのだが、やはり「五色の舟」が有名すぎて、世評が高いのは前者だろうか。
後者の方の代表作は「ブラバン」になろうか。音楽モノというより、そこにさほど熱心にでもなく携わる醒めた感じの登場人物たちが(本作をふくめ)ユニークで面白いと思う。