蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

サピエンス全史

2024年01月03日 | 本の感想
サピエンス全史(ユヴァル・ノア・ハラリ 河出書房新社)

本書がベストセラーになったは5年以上前で、今さら・・・ではあるものの、とても面白くよめた。興奮を誘うような戦争描写やありがちな列伝風の偉人伝ではなく、サピエンスが地球上の他の生き物よりも繁栄?しているように見える理由をうまく説明している。

認知革命(サピエンスだけが共同幻想を持てた)→農業革命(余剰物の発生で人口が増加)→書記革命(法典や宗教の発生)→貨幣や帝国という共同幻想がドライブ要因に→資本主義の自己増殖性(将来への信頼〜信用拡大〜経済成長というサイクル)→科学革命(帝国が科学の発展をサポートし成果を利用する)→産業革命とはエネルギー抽出法の革命→国家と市場経済による平和
というそれぞれの主題の間の連接が自然で、まるで因果関係があるように思えるように叙述されていることが人気の要因かな、と思えた。

終盤にある「幸福とは何か」を考察した章も興味深かった。結局幸福感はセロトニンの分泌によって決まり、その濃度には上限があることを考えると、一定限度以上にサピエンスは幸福になれない、とか。どうも著者は仏教びいき?のようで、その考え方が詳しめに紹介されている(渇愛こそが不幸の源・・・みたいな)
コメント
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