蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

アフターデジタル2 UXと自由

2022年01月28日 | 本の感想
アフターデジタル2 UXと自由(藤井保文 日経BP)

UXというのは、ユーザエクスペリエンスのこと。自社で作ったストーリーに顧客をオンボードさせて長期的な収益獲得を目指すことがビジネスの本質であり、DXはそれを補助する一手段に過ぎないとする。

本書でも(良い実例として)紹介されている百貨店は、中興の祖である父親が亡くなって、息子が経営を引き継いだ。父親は写真でみてもそれとわかる油っこい?梟雄タイプだったが、息子は細身で坊ちゃんっぽくて、正直「大丈夫かな」って感じだった。
その息子が打ち出したのが「共創経営」とか「売らない店」といった方針で、株主向けのディスクロも、夢物語っぽい内容に一変した。
その後、業績は堅調に推移したが、それ以上に株価は高値を保っている。業績がいいのは、小売を見切って不動産(場所貸し)と祖業の割賦(クレジット)に集中させたからで、夢物語が実現したからではないのだが、高株価を維持しているのは、息子社長の夢物語に(例えそれが夢であるとわかっていても)説得力があるとマーケットが評価しているからだろう。
息子社長は大株主でもあるわけで、彼の株主や市場向け(消費者向けではない)UX戦略は大成功だった、と個人的には思っているのだが、多分本書の主旨とは異なっていると思う。

EVの充電時間を短縮するために(充電済電池を用意しておいて)電池ごと入れ替えるという乾電池っぽい?サービスが中国にはあると、本書で紹介されていた。これっていいんじゃない?とおもったのだが、どうなのだろう。初期投資もガソリンスタンド作るよりは安そうだし。
コメント
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