トヨタ 現場の「オヤジ」たち(野地 秩嘉 新潮新書)
中卒(後、トヨタの訓練校を経た)の河合満さんは、工場勤務の叩き上げで、トヨタの副社長まで上り詰める。若い頃から鍛造部門にいて勤務前後に会社の風呂にはいるのが習慣で、それは今でも変わらないという。
技量とリーダーシップに秀でた工場勤務者をトヨタでは尊敬を込めて「オヤジ」と呼ぶそうで、河合さんも副社長になった後も工場に行けば「オヤジ」と呼ばれるそうである。
近年、組織の改革・改善のために、外部者の意見を取り入れることの重要性が説かれている。コーポレートガバナンス改革で、社外取締役の導入が必須とされていることなどが一例だ。同質な人ばかり構成された組織は硬直化し陳腐化するので、いろいろな意見を取り入れる多様性や開放性を維持することが必要だという。
レスリングとかアメフトといったスポーツ界でも清一色に染められた同質性から来る弊害が顕著である。※
本書を読むと、トヨタは、昔ながらの体育会体質でモノ作り精神で凝り固まってしまっているように思えなくもない。
世界中に工場と販売網を持ち数十万人従業員がいて、販売台数世界一を競うような会社なので、経営陣は高学歴エリートばかりになってしまいそうなものだ。あえて中卒はえぬき社員を副社長にしたところが、むしろ多様性の一環なのかもしれない、とも思った。
※(蛇足)
同質性が極めて濃厚なスポーツとして大相撲が挙げられると思う。
近年、たびたび選手(力士)の不祥事や経営陣(相撲協会、親方)の内紛などが明らかになったが、外部の人やその意見を受け入れようという姿勢はほとんど見られず、かたくななまでに力士と力士OBである親方のみによる運営にこだわっているようだ。
ところが、一方で大相撲は、外国人選手の受入とその育成という点では日本で最も開放的なスポーツ界でもある。なにしろ、有力選手のほとんどが外国人で、日本人が優勝することはめったにないのだから。
それでいて、チケットを取るのが難しいほど、興行としても大きな成功をおさめている。
閉鎖性・同質性と開放性・多様性の奇妙な融合・・・
人事マネジメントの研究者にこの不思議な世界の謎解きをしてもらいたいなあ。
中卒(後、トヨタの訓練校を経た)の河合満さんは、工場勤務の叩き上げで、トヨタの副社長まで上り詰める。若い頃から鍛造部門にいて勤務前後に会社の風呂にはいるのが習慣で、それは今でも変わらないという。
技量とリーダーシップに秀でた工場勤務者をトヨタでは尊敬を込めて「オヤジ」と呼ぶそうで、河合さんも副社長になった後も工場に行けば「オヤジ」と呼ばれるそうである。
近年、組織の改革・改善のために、外部者の意見を取り入れることの重要性が説かれている。コーポレートガバナンス改革で、社外取締役の導入が必須とされていることなどが一例だ。同質な人ばかり構成された組織は硬直化し陳腐化するので、いろいろな意見を取り入れる多様性や開放性を維持することが必要だという。
レスリングとかアメフトといったスポーツ界でも清一色に染められた同質性から来る弊害が顕著である。※
本書を読むと、トヨタは、昔ながらの体育会体質でモノ作り精神で凝り固まってしまっているように思えなくもない。
世界中に工場と販売網を持ち数十万人従業員がいて、販売台数世界一を競うような会社なので、経営陣は高学歴エリートばかりになってしまいそうなものだ。あえて中卒はえぬき社員を副社長にしたところが、むしろ多様性の一環なのかもしれない、とも思った。
※(蛇足)
同質性が極めて濃厚なスポーツとして大相撲が挙げられると思う。
近年、たびたび選手(力士)の不祥事や経営陣(相撲協会、親方)の内紛などが明らかになったが、外部の人やその意見を受け入れようという姿勢はほとんど見られず、かたくななまでに力士と力士OBである親方のみによる運営にこだわっているようだ。
ところが、一方で大相撲は、外国人選手の受入とその育成という点では日本で最も開放的なスポーツ界でもある。なにしろ、有力選手のほとんどが外国人で、日本人が優勝することはめったにないのだから。
それでいて、チケットを取るのが難しいほど、興行としても大きな成功をおさめている。
閉鎖性・同質性と開放性・多様性の奇妙な融合・・・
人事マネジメントの研究者にこの不思議な世界の謎解きをしてもらいたいなあ。