蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

東京プリズン

2015年10月11日 | 本の感想
東京プリズン(赤坂真理 河出書房新社)

出版以来、世評が非常に高いし、東京裁判をテーマにしているということで、いつかは読もうと思っているうち何年も経ってしまった。

で、読んでみて「え、何でこれがそんなに??」という感じ。テーマに対する掘り下げもたいしたことないし、それ以外の部分は著者の夢日記みたいだったし、ヘラジカを神格化するところはジブリの映画みたいだし・・・何より肝心のディベートが全然ディベートっぽくないんだけど。

アメリカでの留学生活での異邦人としての違和感(高校生が友達を誘ってステーションワゴンに乗って鹿狩りに行っちゃうとか)はうまく伝わってきた。
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駄作

2015年10月11日 | 本の感想
駄作(ジェシー・ケラーマン ハヤカワ文庫)

ベストセラー作家の友人が死んで葬式に参列した主人公は友人の仕事場で未完の原稿を見つけて持ち出し、少々手直しして出版エージェントに持ち込むとこれがベストセラーになる。早速次回作を求められるが・・・というあたりまでは普通?のミステリ小説っぽいのだが、そこから先は・・・

文庫本の作品紹介の最後に「本書には奇想天外な展開があることを警告しておきます」とあるし、「駄作」という題名(原題POTBOILERは「通俗小説」くらいの意味)、序盤にやたらと売れ筋のミステリ小説の批判が出てくる、等から、中盤以降の怒涛の展開にもなんとかついていける(多分これは一種のパロディ、ベストセラー批判なんだろうなと思いつつ読める)が、全く予備知識なしに読み進むと「ふざけんなよ」って放り出しかねない筋書だった。

剽窃、昔の恋人とのロマン、「そんなことあるわけないだろ」的な国家的陰謀、平凡な主人公が突如スーパーマン化する短期集中訓練、社会主義体制をしく不思議の国への侵入、裏切りと友情、過酷な任務の後の隠遁生活、トンデモ展開の後のわけのわからないラストシーン・・・などなど確かに通俗的ベストセラーの要素をこれでもかというほど詰め込んでいる。
父母ともにベストセラー作家という環境に置かれたら、普通の小説は書きづらいし、両親への反抗的な気分が生じるのもわからないではないし、「あるある」的な面白さもけっこうあるのだけど、日本語で500ページの大長編?に仕立てるほどか?というのが正直なところだった。
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