蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

クヒオ大佐

2014年06月25日 | 映画の感想
クヒオ大佐

日系アメリカ人がアメリカ空軍のパイロットだと名乗り、結婚の支度金を用意しろ、などとして金を騙し取った実在の結婚詐欺師をモデルにした映画。
「桐島、部活やめるってよ」(映画)がよかったので、同じ吉田監督の作品を見てみた。

コミカルな映画なのかと思っていたら(確かにそういうシーンもあるのだけれど)全体にけっこうもの悲しいムードの話になっていた。
クヒオ大佐が子供のころ、父親に虐待されていた(ので、今でも子供をいじめる人を許せない)というエピソードがそのもの悲しさをさらに高めているのだけれど、それが結婚詐欺師になったこととどう結びつくのかは、わからないままだった。

クヒオ大佐役の堺さんの付け鼻がよくできている、

堺さん、華奢な感じなのに腕立て伏せを高速で50回もできる(もしかしてスタント??)、

満島さん、どうもどんな役をやっても同じ人に見える、

クヒオ大佐に騙される松雪さんの弟役の新井浩文さん、よく見るような気もするけど、じっくり見た出演作品は初めて。けっこういい感じの演技だった、

などという点が印象に残った。
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臆病者のための億万長者入門

2014年06月25日 | 本の感想
臆病者のための億万長者入門(橘玲 文春新書)

著者の(小説以外の)評論とかエッセイのほとんどを読んでいるので、本書の内容は、その多くが既読のものでした。
約めて言うと、「ウマい話にはウラがある」というのが著者のメッセージで、
「資産運用より、むしろ、人的資本(自分自身や家族)のコントロールが大切」という、この手の本(のうち、比較的マトモな内容の本)に共通の結論が述べられています。

それでも時々顔をのぞかせる、クールでアイロニカルな寸言がとても快く感じられました。
例えば、次のような部分。(P47~48)
***
私たちは誰でも、こころのどこかで自分が世界の中心だと思っている。「私」が見たり聞いたり触れたりすることで「世界」が存在するのだから、その臨場感は圧倒的で、自分はいつも〝特別″なのだ。
だが、いうまでもなく、これも一種の錯覚だ。地球上には70億人のひとびとが暮らしており、「私」はそのなかの一人に過ぎない。ささやかな名声を手に入れたとしても、死後10年もたてば「私」を話題にするひとなど誰もいなくなるだろう。
これは客観的には真実だが、それをありのまま受け入れると生きている理由がなくなってしまう。完全に合理的だと人生は無意味になって、ひとは死ぬか狂うかしかなくなるのだ。
***

金融関係の会社に長年勤めているので、株式とか金融資産運用についての説明は(基礎的なところを丁寧に説明しているせいで)私にとっては退屈な内容でした。
しかし、
私が門外漢の不動産運用のパートは、(たぶん、斯界では常識であろう)業界構造?と素人が手を出してはいけない理由がとてもわかりやすく説明してあり、納得性があったので、
金融資産運用に関する部分も、(本書のターゲットであるはずの)入門者にとっては、(おそらく)とても役に立つ内容なのではないかと思います。
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陽だまりの彼女

2014年06月25日 | 本の感想
陽だまりの彼女(越谷オサム 新潮文庫)

幼なじみの女の子と営業先で再会した主人公は、かつて成績が悪くていじめられていたその子が美人でやり手のOLに成長していることに驚く。やがて二人はつきあい始めるが、女の子は幼少時の記憶をなくてしていたことがわかり・・・という話。

私が持っている文庫本の奥付を見ると、なんと41刷。
本屋の店先でも特徴的な表紙のイラストをよく見かけるような気がするし、幅広く人気がある作品のようです。

幼少時の記憶を喪失した原因をさぐるのが、本書のテーマで、その提示の仕方はミステリ風になっているので、極甘の恋愛小説部分から一転、意外な結末が・・・というサスペンスフルな展開を予想しつつ読んだのですが、その、謎の解決というのか、オチが(私にとっては)「こんなのアリ?」と言いたくなるような内容だったので、ちょっとがっかりしました。(少なくとも、ミステリ的な解決ではありませんでした)

でも、世間ではこういのがウケているんですよねえ・・・トシのせいでしょうか、ギャップを感じます。
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