蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

二流小説家

2013年07月31日 | 本の感想
二流小説家(デイヴィッド・ゴードン ハヤカワミステリ文庫)

死刑執行を待つばかりの連続猟奇殺人事件の犯人が、売れない小説家のファンだといって、その小説家に事件の真相を告白する本の執筆を依頼してくる。小説家は犯人に面会しにいって、犯人が示した常識から隔絶した条件に驚く。小説家が着手したとたんに、その犯人と同じ手口の殺人事件が相次いで起こり・・・という話。

国内でも各種人気投票で上位を占めており、今さら言うべきこともないけれど、確かにミステリ小説の王道を行くような筋立てと二転三転する結末は評判通りだった。

小説家が主人公であること、途中で作中作が何度も挿入されることから、正統派ミステリの上かぶせで、大仕掛けな叙述トリックがあって、最後の最後で大どんでん返しがあるんだろうなと、期待していたが、そういうのは全くなくて、著者の独白のような小説論・人生論で幕を閉じたのは、かなり残念(というか、私が勝手に思い込んでいただけだけれど。しかし、作中作にどういう意味があるのか、どうしても理解できなかったが・・・作中作のうちSFものはいただけなかったが、ヴァンパイアものはそれなりに面白そうだった)。

あと、登場人物のキャラとしては、主人公の秘書役の女子中学生?のクレアが魅力的だったのに、尻切れトンボ風の扱いだったのも、ちょっとがっかりだった。
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