蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

金の仔牛

2013年04月16日 | 本の感想
金の仔牛(佐藤亜紀 講談社)

18世紀のフランス、追剥稼業の主人公は、故買屋の娘に一目ぼれ。娘にいい思いをさせてやりたいと、追剥より効率良く儲けられそうな商売をさがす。追剥の獲物だった怪しげな金融ブローカーとしりあい、1カ月で5割増にして返すという約束で資金をかき集めてブローカーの元へ運ぶ。このブローカーは、バブル史に残るミシシッピ事件の首謀者の一人で、集まった資金で国営会社の株を買い集める・・・という話。

主人公は大成功するが、金主の貴族は主人公が破たんするまで金をつぎ込むつもりで、相場の成熟とともに主人公は追い詰められていく。その主人公が、ある日、儲けた金で買っただだっ広い屋敷の、その無駄な広さ、豪華さにかえってうんざりして、貴族に金を返して株から手を引くことを決める場面が、印象に残った。

いつものように、時代背景が良く調べられている感じがしたが、「天使」シリーズとか、「ミノタウロス」に比べると、ちょっとうす味だったかな、という感じ。
コメント
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