蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

マージンコール

2012年07月28日 | 映画の感想
マージンコール

アメリカの大手証券会社でポジション管理の責任者がリストラされる。

この責任者は、会社が不動産証券化商品?の過大なポジションを抱えすぎてしまったことをほぼつきとめていて、残る同僚にデータを提供する。
その同僚はデータをもとに会社がヤバいというレポートを完成させて上司に報告する。
会社の命運がかかっていることを察して、上司は主要役員を召集する。深夜の役員会は、即日ポジション解消を命じるが・・・という話。

と、いうあたりまでは、緊張感もリアリティ(即日ポジション解消はありえないが)もあったが、その後は間延びした感じ。
トレーダー達がポジションを解消するために悪戦苦闘する様子がクライマックスシーンなのかと思ったら、そこは軽くスキップしてしまった。
ケビンスペイシー(クビになった管理責任者の上司役)が役員に慰留されて会社に残る決断をするところも不自然というか、説得力がなかった。
ロケは本物の証券会社のフロアらしく、暗闇に数多くのスクリーンが浮かび上がるシーンはいかにもそれらしかったし、ある種の美しさもあった。

リストラされた管理責任者が、会社が危機にあることがわかって助けを求めに来た上司に対し、その昔自分が橋の設計に携わっていたことを話すシーンが印象的だった。
橋ができたことによって周辺住民が節約できた時間は膨大なものになったと言う。(それに比べて証券会社の仕事はむなしいと間接的に言っている)
いわゆる「地図に残る仕事」論だが、「じゃ、なんで証券会社に来たの?」と訊かれたら「それはまあ、おカネがね・・・」ということなるわけで、まあ、ないものねだり とか 隣の芝生は青い にすぎないと思った。
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ラストダンス

2012年07月28日 | 本の感想
ラストダンス(堂場瞬一 実業之日本)

プロ野球 東京スターズのかっての主戦投手・真田は40歳になり、シーズン途中で今シーズン限りの引退を宣言し、残りのシーズンを派手にしめくくろうとする。
真田の同期入団のキャッチャー・樋口は引退を勧められているが、シーズン終盤にレギュラー捕手がケガをしたことから一軍でプレーすることになる。樋口は真田よりドラフト順が上だったのに、一軍半でたいした実績がなかったことが、いつもひっかかりになっている。真田と樋口は相性が悪く、バッテリーを組んだ実績は1回しかなかったが、リーグ戦最後の試合で組まざるをえなくなった。そして真田から思いがけない依頼を受けるが・・・という話。

悪者が登場せず、真田や樋口はやたらと恵まれた環境にあり、「そんなにうまくいくわけないでしょ」という筋書きではあるのだけれど、同じ野球小説の「BOSS」とは違って散漫な感じはなく、ラストまで一気に読めたので、エンタテイメント小説として高品質だったと思う。タイトルが悪くて損してる感じ。

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