蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

ステップ

2010年10月31日 | 本の感想
ステップ(重松清 中央公論新社)

主人公の武田健一は、妻を亡くし、残された二歳の娘・美紀を一人で育てていくことになる。その美紀が、中学生になるまでを描く連作集。

雑誌連載時のタイトルは、「恋まであと三歩」だったそうで、各編とも主人公が淡い思いを抱く女性が登場し、最後の「ナナさん」(職場の同僚)と再婚することになる。

主人公やその娘をとりまく環境はある意味恵まれすぎていて、ほとんど何の苦労もなく娘はすくすく育つ。だから、主題は子育てじゃなくて主人公の恋物語だったのかもしれないが、それじゃあ売れないということで、単行本にするときに改題したのかも。

昔の重松さんなら、娘がグレたとかいじめられたとか、主人公がひどい女にひっかかったとか、いろいろな試練を用意したのだろうが、あまりに忙しすぎて毒気が抜けてしまったような感じ。
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