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或る大阪近鉄バファローズファンの
偏愛と放浪の記録

「ブラックアウト(上)(下)」(著:コニー・ウィリス/訳:大森 望)

2017-01-20 23:59:20 | 【書物】1点集中型
 ウィリス長編にとりかかるのは「犬は勘定に入れません」以来。大戦中のイギリスへ降下する史学部生3人それぞれのドタバタが繰り広げられている。
 コメディ度で言うと「犬は……」ほどの騒ぎではない(気がする)けど、ポリーがアンファン・テリブルどもに散々振り回されたり(笑)、降下の計画が何だか知らないところで微妙に狂っていたり、ダンワージー先生も何だか怪しげな動きをしていたり……学生たちが無事、大戦下の各々のトラブルを切り抜けられるかはそれはそれで見どころだけど、上巻ではまだ学生間の動きがバラバラだから、この物語全体をどう収束させてくれるのか今は全く予想がつかない。

 下巻に行ってみると、今度はオックスフォードに戻るシーンが全くない。何せネットが開かないのだ。回収チームも来訪の気配がない。その理由がわからないどころか混迷の度が増すまま、学生3人がそれぞれの地で奮闘し続ける様子が延々語られる。ほとんどタイムトラベルの物語であることを忘れそうになるような、戦時下の人々の生活がとてもリアルに感じられる描かれ方。どれだけ取材したんだろう。
 で、学生たちはそれぞれに、自分がオックスフォードに戻るには誰かの降下点に便乗するしかないという同じ結論に達する。何度もすれ違いながらいよいよ空襲真っ只中のロンドンで何とか互いを見つけ出すのが、やっと最終盤……ってとこで話が終わる。そうか、ここで一段落せずに謎は謎のまま「オール・クリア」に続くのか、と今さら気づいた次第。

 ダンワージー先生も出てこず、オックスフォードで何が起きているのかも全く語られていない今は、物語全体についての感想が言える状況ではない。ということで、「オール・クリア」を読み終わってからまた考えることにする。


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