life goes on slowly

或る大阪近鉄バファローズファンの
偏愛と放浪の記録

六本木で薩摩切子

2009-05-17 00:19:56 | 【旅】ぼちぼち放浪
 さらに本日の最終目的は、サントリー美術館にて「一瞬のきらめき まぼろしの薩摩切子」です。

 名もない職人たちの、薩摩の衿持を担った一時代。その隆盛は幕末~明治初期と短いものだったようですが、島津家による推進のもとで江戸ものとはまた趣きを異にした作品となった薩摩切子。
 深みのある深紅の色は江戸切子にはない独特なものだそうです。特にその紅色被のものに多いですが、ぼかし(グラデーションというよりは、水墨のにじみみたいな感じがしました)
 紋様も江戸切子からさらに発展、ヨーロッパの影響も受けたそうです。魚子に蜘蛛、麻葉などなど、表情豊かです。いくつもパターンを組み合わせた作品があるのも薩摩切子ならではだそう。
 白眉はなんといっても雛道具! ミニチュアだけど技術は変わらない。むしろ小さいからこそなお光る技術。しかも数が多いので、並んだ姿はまさに壮観。眼福です。

 色彩も、藍・紅・紫のみならず、数は少ないながらも鮮やかな緑青や澄んだ水色、黒を含んだ渋みのある黄色なども見られます。個人的には薩摩切子後期(と言っていいのか?)の少し薄めの藍色が好みでした。
 無色のものもそうですが、色被のものは特に、照明で反射する影もまた違う表情のある模様と光を描き出してとても綺麗でした。あと、透明度の高い染めだと向こう側が透けてこちら側の紋様と混ざり合う感じになるので、複雑な輝きになるのが楽しい。例えば杯なら、中に何かを注いだらまた違う雰囲気になるんだろうなぁと想像してみたり。

 欲を言えば、切子がどうやって作られるのかがわかるような展示があると更に良かったと思うんですが。ワークショップはあったみたいなんですけどね。
 でもやっぱりこういうテーマは個人的に大好きなので、今度は是非とも江戸ものと一緒に展示してほしいです。