デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



ざっと、今年読んだ主な本や見た映画をふりかえろう。順不同。

・『インテリジェンス人間論』 佐藤優
図書館でふと題名に目が行っただけで読みはじめたが、はまった(笑)。今年の読書は「ローマ」に関する書き込みと、この人の本との出会いで方向付けられたかもしれない。特に印象的だったのは『ユダの福音書』の記事であった。

・『ユダの福音書』 ロドルフ・カッセル他編
上掲書の影響から勢いで。この福音書でのイエスはよく笑うが、その理由や解釈は個人的に最高。また信者をより思慮深くさせると思う。しかし、ある意味、今日の宗教にとっては受け入れは厳しいか…。

・『国家の罠-外務省のラスプーチンと呼ばれて-』 佐藤優
佐藤氏の有罪(執行猶予あり)は確定してしまったが、それでも私はこの本を一読することをおすすめしたい。

・『自壊する帝国』 佐藤優
ソ連で起こった革命を目の当たりにした佐藤氏ならではの本。本に描かれている世界は正直理解しがたい世界ではあるが、外交の世界は緻密さと臨機応変さで成り立っていることが分かる面白い本である。

・『ロシア 闇と魂の国家』 佐藤優・亀山郁夫
文学青年と実地人との対話みたいだった(笑)。しかしその内容は博覧強記に満ちていて、また物事を多面的に見れるきっかけのような対談である。この二人のタルコフスキー映画の感想は非常にためになった気がする。

・『ローマ人の物語(全15巻)』 塩野七生
今年もっとも印象に残った一作品を挙げよ、といわれたら何だかんだ言ってもこの作品だろう。近年、面白い世界史や古代史は散見されるが、塩野氏は国や歴史は人間が動かしているものであるという視点を忘れないし、あらゆる点でも個人の筆による通史のなかでは最高のものの一つではないか。しかし私などはかなり塩野氏なりの物言いの影響を受け、性格的によりシニックになったかも!?(笑)

・『ガリア戦記』 カエサル
上掲書の参考資料として読んだ。訳の文体がちょっと古めなので厳しかったが、これを読めば「ローマ人」もより面白く読める。

・『カラマーゾフの兄弟』 ドストエフスキー
3度目の読了だが、今回は亀山訳で読んだ。A・マンゾーニの『いいなづけ』の初読の印象を大事にしたいので、あえて今年読んだ小説のなかで最も印象に残った作品の一つとしておくが、それにしても読むたびに新たな発見がある作品であることは間違いない。おのれの生涯を客観的にかつ持病すらネタにしてしまったり、完璧な人間に見える人物に心酔せずちょっと泥を混ぜるリアルさを盛り込んでいたりと、今回も参りましたという感じである。

・『冷血』 カポーティ
ノンフィクション・ノベルの金字塔。描かれている二人の犯人のうちの一人にカポーティは素性の上での親近感を覚えているように思うが、やっぱりそういった動機付けがないと徹底して事件を検証したり書き続けることなどできないのだろうか…。

・『いいなづけ』 マンゾーニ
たった一つの作品で文学史にその名を永遠に刻むことに成功した作品といえるかもしれないが、内容はけっして一発屋ではない。長編なので一気に読める作品ではないが、小説の王道とさえいえることは間違いないだろう。それに音楽が主題で無いにもかかわらずこれほど音楽的な作品も珍しい。読めばきっと音楽を付けたくなるそんな作品である。

・『赤と黒』 スタンダール
 今からすると、必要以上に小技なアクションが散りばめられているかつ荒めの作品であると思う。印象に残る作品ではあるが、モームはなぜこの作品を「世界の十大小説」に採り上げたのだろう。

途中のままの本、フィールディング『トム・ジョーンズ』、佐野眞一『誰が本を殺すのか』、セリーヌ『夜の果てへの旅』。

見た映画

・『ノーカントリー』
・『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』
・『インサイダー
・『チェンジリング』
・『ハスラー』
・『エルミタージュ幻想』
・『会議は踊る』
・『サブウェイ123』
・『グラン・トリノ
・『おくりびと』
・『フレンジー』
・『女だけの都』

例年より見た本数は少ないが、辛口で濃密な名作が多かった気がしている。個人的にはC・イーストウッド監督の作品がよかったと思う。
 
来年も、すばらしい本や映画に出会えますように。

  ***

2009年も残すところわずかとなりましたが、本年も弊ブログをご愛顧いただき、心から御礼申し上げます。来年もみなさんにとって良い年になりますように。



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