デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



トレヴァー・ノートン(赤根洋子訳)『世にも奇妙な人体実験の歴史』(文藝春秋)読了。

今年読んだ理系のノンフィクションで最高のものになるのではないか。
世界には未知なる疫病を解明や、特効薬の効果の研究や、放射線の研究や、海洋生物の生態の研究や、さまざまな環境下での肉体の限界の研究などで、自分を被検体にして文明を前進させてきた少なくない人々が存在する。そういった最初の一歩を踏み出した人々、そのうちの多くが歴史に名を残しつつもほとんどの人にその名を知られることはない人々を、著者はよく採り上げてくれたと感心する。この本で紹介されている人々の最初の一歩、マッドサイエンティストたちの知的好奇心の高まりぶりは驚くべきもので、その実践内容は興味深くかつおもしろいことばかりなのだ。
現在の珍味は食べられるものと分かっているものがほとんどだが例えば人が納豆を初めて口にすることや、ホモ・エレクトスがアフリカを脱出したのち、現在の南アフリカの狭い範囲内に閉じ込められたような形になったホモ・サピエンスが貝類などの海産物を初めて口にするような一歩は、まさに最初の一歩であり、人体にとって害のない物に関する知識を得るまでにはどれほどの困難やおびただしい犠牲があったことだろう、この本を読んで太古の昔の人々の最初の一歩に思いをはせることもできるように思う。

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東洋館には古代エジプトの博物品も展示されていた。まさか外国の博物館の名を冠した特別展以外の機会で、古代エジプトのミイラと容器が見れるとは思わなかった。


セクメト女神像

アメンヘテプ3世の時代のもの。アメンヘテプ3世といえば確かツタンカーメンの祖父に当たるファラオじゃなかったかと思う。アメンヘテプ3世の次のアメンヘテプ4世(アクエンアテン)時代に宗教改革に失敗し、その余波がツタンカーメン治世時代を襲ってしまった歴史の経緯は時々テレビでツタンカーメンの財宝とともに紹介されることがある。
アメンヘテプ3世の時代はエジプトが絶頂に達した頃で、セクメト女神像もその時代に大量に作られたのだそうだ。

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銀製耳杯・鍍金支座


こういった豪華な容器を見ると、司馬遷の『史記』にある漢王朝成立のときの劉邦のブレーンだった人物の言葉が頭をよぎる。

高祖(劉邦)は帰還して、宮殿や宮門の壮麗なのを見てはなはだ怒り、蕭何(しょうか)にいった。
「天下は、ものぐるおしく戦いに苦しむこと数年、その成敗はまだわからない。それなのに、どうして度を過ごした宮殿などをつくるのか」
 だが、蕭何が、
「なるほど、天下はまだ定まっておりません。ですからこそ、壮麗な宮殿をつくりあげるべきです。かつまた、天子たるものは四海をもって家となさるべきです。壮麗でなければ重々しい威厳がありません。また、わが後世の君主がこれ以上壮麗になさる必要がないようにしておくのです」
 というと、高祖は悦んだ。
  『史記(上)中国古典文学大系10』(平凡社)野口定男 訳
『史記』の「高祖本紀」のこの箇所を読んだ時、なんの逸話だったか記憶がおぼろげではあるが、戦勝国の権限を委任された者を迎える時に、敗戦国側は「我々にはまだ力がある」ということを態度及び建物や部屋の威厳でもって示すことが戦後処理の結果を大いに左右するという記述を思い出した。刀や銃で傷つけあうことのみが戦ではないと展示を見て思った。


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甲骨文字




教科書や図版にあるものじゃない本物の甲骨文字を見れるとは。東洋館は今自分が見ておきたい考古学的資料が多かった。

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137年前に工事始まったサグラダ・ファミリアにようやく建築許可

この世に一国の政府、行政、法律家ですら空を見上げつづけさせ地上の法律を意識させないようなプロジェクトが進行・存在していたことが貴重なことのように思える。

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動物形竿頭飾(どうぶつがたかんとうしょく)



春秋戦国時代の剣

青銅製の剣だが、春秋戦国時代にこの殺傷力のありそうな剣がつくられた。戦争が剣をつくらせるのではあるが、この時代の時点でこのような剣をつくっていたことに驚く。
秦の時代には現在でいうクロムメッキを施された剣もつくられていた。詳しい製法はまだ研究段階だが紀元前の段階でおそるべき技術力だ。


龍文方鼎(りゅうもんほうかなえ)の内側



龍文方鼎

殷の時代の祭祀や儀礼の神前にささげる肉料理を乗せるためのもの。左右対称に龍が彫られているのがわかる。二匹の龍の間に動物の頭部が簡略化されたかたちで表現されている。

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