映画「カプリコン1」(米英合作,1977)を鑑賞。
血気盛んな頃、なんでもかんでも斜に構えて見てしまう時分にこの作品を見ていたとしたら、「人類は月に行っていない、月面着陸の映像は国家的な「やらせ」でありすべてはアメリカが世界に誇示する威信のための陰謀」などと、まことしやかにふれまわっていたかもしれない(笑)。しかし、映画のように閉鎖している軍の施設を使って「火星に着陸したというやらせ映像」を生中継して国家の威信を保とうとするようなことはなくとも、現実の世界でも国家の権力でもって「やらせ」でもって既成事実や世論をつくってしまうことは実際にあってしまうから性質が悪いし、この映画を完全にネタとして感じられないところもあると思うとなんだか悲しい。
それはさておき、作品は政治・サスペンス性が強いものの、飛行士や記者が置かれた立場(苦境)に対しブラックジョークな自嘲ネタで鑑賞者を笑わせるセリフもけっこう多く、「やらせ」を決行せざるを得なくなった博士の不満の吐露もなんとかにも三分の理で同情せざるをえない内容で笑えたりと、ユーモアと笑いの要素も豊富だったので見ていて楽しかった。車が細工されて暴走してしまうツッコんだら負けな場面も、映画なんだしこれでもいいじゃないかと思って見れた。
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