デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



どういうわけか今年はスクリーンで映画を見たのは1回だけだった。今年日本で公開された映画には、話題性と内容の充実度がともに高いとされた作品もあったのだが…。
新しい作品にもいいものがあるのだろうが、今年に限っては既視感のもとを形成するような作品ばかりを見たように思う。(ネタ割れ注意)

『幌馬車』…西部劇に属すが、ガンアクションは二の次で、西部に自分たちの町を作り移り住もうとする教団、その信者・家族達と、彼らを道案内する二人のカーボーイの物語。これはある意味ロードムービーじゃないかなと思う。自らの信仰心に凝り固まっているような教団のリーダーと、主人公のカーボーイの心の溝が、少しだけ埋まるところがよかった。

『オクラホマ!』…ミュージカル映画。最後の手っ取り早いハッピーエンドは、まるで『トム・ジョーンズ』みたいだった(笑)。個人的には嫌われ役を演じたロッド・スタイガーの演技がよかったと思う。

『戦場に架ける橋』…テーマ音楽は有名だが、見たことの無い映画だった中の一つ。『ドクトル・ジバゴ』などを撮ったリーン監督らしい、いい作品だなぁと思った。捕虜たちの精神の荒廃を避けるための「方便」だったとはいえ、共に作業をすることで出来上がった「作品」が、一瞬にして水泡に帰すのは切なかった。

『フィッシャー・キング』…NYが舞台だが、見たことのある風景がたくさん出てきて、妙に嬉しかった。

『間諜最後の日』…ヒッチコックのスパイもの。ラストの無傷はありえんやろ(笑)。

『愛と哀しみの果て』…映像の美しさは評価する。以前に感想あり

『トパーズ』…ヒッチコックのスパイもの。時代背景を考えると見ていて緊張を覚えるし難しい内容だが、外交における裏事情をヒッチコックはかなり深く知っていたことをうかがわせるような気がする。

『ローズ』…昔見たとしたら、ひどく感動していただろうなぁ。ジャニス・ジョップリンを彷彿とさせないこともないが、ジャニス・ジョップリンの出身地とその生い立ちからくる性格形成や苦悩みたいなものを、もう少し主人公に投影させてもよかったように思う。

『バベットの晩餐会』…今年見た映画の中のベスト8の1つ。以前に感想あり

『泥棒成金』…正直、ヒッチコックのグレース・ケリー好みが分かる映画だという気がする。ただ単に彼女を出演させたいという恣意的な意図しか感じられなくもない…。

『或る夜の出来事』…以前に感想あり

『フレンチコネクション』…今じゃ描けないぐらいハードな捜査過程、アクション満載でそれだけで充分楽しめた。

『レニー・ブルース』…これも、今年見た映画の中のベスト8の1つ。以前に感想あり

『未知との遭遇』…今年見たSF映画のなかでは一番。ってSF映画、これしか見てない。以前に感想あり

『雨に唄えば』…本当に古きよき時代の映画だなと思う。以前に感想あり

『クレイマー、クレイマー』…今なら分かるなぁという映画。今年見た映画の中のベスト8の1つ。以前に感想あり

『真夜中のカーボーイ』…ダスティン・ホフマンの変身ぶりに、俳優って本当にすごいなぁと感じさせる映画だった。

『オール・アバウト・マイ・マザー』…二度目の鑑賞。以前に感想あり

『ザ・マジック・アワー』…今年見た映画の中のベスト8の1つ。ビリー・ワイルダーへのオマージュに満ちている。そして、吉本新喜劇を映画にしてやったぞといわんばかりなところがアンチテーゼっぽくてよかった。

『私は告白する』…犯罪を目撃した神父が、犯人の告解を黙秘することで、かえって警察や世間から追い詰められていくという異色サスペンス。今年はヒッチコック作品をいくつか見たが、彼の異色作ではあるものの、私はこの作品が一番好きだ。

『オデッサファイル』…はじまってしばらくすると、主人公の真の動機と結末がわかってしまった(笑)。

『レジェンド・オブ・フォール』…映像美だけは評価する。

『麻雀放浪記』…今年見た映画の中のベスト8の1つ。バクチにのめり込んでいる姿は決してかっこよくないが、戦後の裏社会を生き抜こうとする泥臭い生命力に潜む、失われない慈愛の感情や人情を描き出しているところがよかった。

『その男、ゾルバ』…ゾルバは主人公の災厄かと思った(笑)。でも、いるよなぁ。酒と女と人生を謳歌し、失敗も多い憎めない、普通の人がどこかであこがれているような人。ゾルバのような、という例えとか会話で使えそう。

『波止場』…マーロン・ブランドとロッド・スタイガーの即興の演技がいまなお語り草になるというのは分かる気がした。M・ブランドの繊細さもこの作品の大いなる魅力だろうと思う。

『最後の晩餐(大食い)』…今年見た映画の中のベスト8の1つ。マルコ・フェレーリ監督、マルチェロ・マストロヤンニ, ミシェル・ピコリ, フィリップ・ノワレ, ウーゴ・トニャッツィ, アンドレア・フェレオルというキャストを見ただけで大体映画の内容の想像がつくかも(笑)。
食慾と性欲を充たすにも、その究極までいってしまおうとする、子供っぽいおじさんたちが出てくるグロテスクな作品。食の快楽と食べすぎによる苦痛はまさに頽廃の具現じゃないか、と思う。

『夜の大捜査線』…今年見た映画の中のベスト8の1つ。現在の刑事ドラマからするとテーマや事件の設定がいささか古いが、公開された当時のことを考えると、リアリズムに満ちていたように思う。

『キング・オブ・コメディ』…今年見た映画の中のベスト8の1つ。ロバート・デニーロはやばい一途すぎる人間のキャラを演じるのが巧いが、それに改めて感心した作品。冗談では許されないことが、コメディにとって最も人を惹き付け楽しませる要素に満ちていることを描いるところが秀逸。ジェリー・ルイスは役柄とはいえ、ラストの場面をどう見ていたことだろう?と少し興味を覚える。

『サンセット大通り』…これって、ブラックユーモア?(笑)。だよなぁと思う。映画の内容もさることながら、出ている俳優の往年の作品や、経歴を知ると、こわいぐらい濃い作品だとわかるだろう。パラマウントが、自身をこの映画の舞台にしていいよ、とOKしたのは、英断だと思う。

『欲望という名の電車』…「オール・アバウト・マイ・マザー」で劇中劇として触れられていたこともあり、いつかは見たいなと思っていた。内容が内容なだけにああいう役柄になるんだろうが、ちょっとギャーギャーやかまし過ぎないか(笑)。

『傷だらけの青春』…原題と日本語版タイトルと乖離している作品だが、ボクシング映画としてはおもしろかった。

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