デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



前回の記事を一部撤回する。その理由は簡単に言うと、私が間違っておりました、気づきませんでした、に尽きる。
前回の記事の後半で、私は

それに私が見逃したのかまだ確証はないのだが、第16巻で触れられているフィッツパトリック氏にウェスタン令妹が送った手紙って、いつこしらえられたのか分からなかったし、それを送ろうと決めた記述は第16巻以前のどこに出てきたのだろう? 送ろうとする動機を二人とソファイアの従姉との過去から推察することは、わずかではあるが可能かもしれぬと思いはするものの、もし手紙が無いとしたらストーリー的に破綻し致命的とはいわぬまでも、話のつじつまが合わないお粗末さを露呈していることになるのでは???
まぁ私も集中力を切らしていたので、また分かり次第、またはそれを教えてくれる人が現れたら、後日の記事で触れるかもしれない。
(2010-12-18 00:14:43)

と書いたが、この部分を撤回する。昨日、何気なく『トム・ジョウンズ(四)』(岩波文庫)を繰っていたら、以下に引用する箇所を見つけたのである。

第16巻の4
 「いや、おまえがそう思うのなら、心からおまえの健康の為に一杯乾そう。わしは時々少し怒りっぽいが、悪意なんか毛頭持っちゃいない。――ソフィー、おまえもおとなしくして叔母さんのお指図通りするんだぞ。」
 「いえこの人は大丈夫ですよ、」と令妹、「目の前に、私の忠告を無視して身を誤ったあのハリエットという馬鹿な従姉の例も見ていますからね。あぁそうそう、兄様、どうでしょう。兄様がロンドンに旅立たれて、まだ呼んだら聞こえそうな頃に、あのいやなアイルランド名前の図々しい男がやって来たのですよ――あのフィッツパトリックが。前ぶれもなしにいきなり私の所に飛込んで来たのです。そうでなきゃ逢やしませんけど。家内のことをなんだか長々とわっけもない事をしゃべって、無理矢理私に聞かせるのですよ。けど私は殆ど返事はせずに、家内からの手紙を渡して、自分で返事してやれって言ってやりました。きっとあの女も我々を探すでしょうが、私は絶対に逢いませんから兄様もお逢いになっちゃ駄目ですよ。」

フィールディングにも、翻訳者にもぬかりはなく、単に私が気づかなかっただけであった。ウェスタン令妹は手紙を送ったのではなく、渡したのだ。ここは私がほぼ気づかなかった。
ただ、『トム・ジョウンズ(四)』をずっと読み続けていて

第16巻の10
 フィッツパトリック氏はウェスタン令妹から前に述べた手紙を受取り、そのお蔭で妻の引籠った先を知って、早速バースに帰り、そこから翌日ロンドンに旅立った。

この箇所が、先に引用した令妹の言を指していると、すぐに気づける人ってどのくらいいるのだろうと正直思う。それに「ウェスタン令妹から前に述べた手紙を受取り」ってなんだ? これを見ると、あたかも送られてきたみたいではないか。ウェスタンの領地を訪ねた際、氏によるハリエットへの愚痴をさんざん聞かされて辟易としていた令妹から直接手渡されたハリエットの手紙をもとに、だったら分かるのだが、状況説明としては舌足らずというものじゃないかなぁ。
令妹の言は百歩譲ってもフィッツパトリック氏にハリエットのとこへ直接会いに行けと、暗に示したという風に読むのは困難だと思うし、文脈からすると手紙でハリエットに訊ねたらどう?と読めてしまう気がするのだ。それに、フィッツパトリックはアプトンの宿の出来事以降、第16巻まで出てきてないやろ?(笑)。再登場がいささか唐突すぎる。
それでも気づかなかった君が悪いよ、ハハッ、と言う人もいるかもしれないが、そう言われても思われても甘受する。しかし、人様から指摘される前に自分で気づけてよかった(笑)。

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