2006/12/5(火)
★数日前、私は、音大や音高志望者のご本人、ご両親、先生を対象とした
講座に出席しました。
ソルフェージュについて、あるお母さまから質問を受けました。
「3人の子供のうち、音楽の好きな一人が、音大進学希望です。あとの2人は、絶対音感があるのに、
音大希望の子供だけ、絶対音感がありません。大丈夫でしょうか」という内容でした。
私は「絶対音感は、もっていますと便利ではありますが、不可欠なものではありません。
お子さんは、相対音感(移動ド)で音を聞いていると思われます。
すなわち、楽曲がすべてハ長調、または、イ短調に移動して聞こえる、ということです。
これは、西洋音楽が身に染み付いているということです。
大変に音楽的な方なのですから、自信を持って勉強を続けてください」とお答えしました。
★<絶対音感>とは、なんでしょうか?
例えば、NHKの時報で聞かれる<ラの音>、1点イ音のピッチ(音高)を、
記憶して聴き分けられるか、ということです。
その<ラの音>から、短3度上の<ドの音>2点ハ音が、ピアノで奏されたとき、
即座に<ド>とこたえられるか、ということでもあるのです。
しかし、その基準となる1点イ音も、実は、ピッチがまちまちなのです。
NHKの時報「ポ、ポ、ポ、ポー」の最初の低い「ポ」音は、440ヘルツです。
しかし、現在のピアノは、普通、442ヘルツに調律しています。
さらに、オーケストラでは、さらに高く調律することもあります。
絶対音感の人たちは、これらをすべて、聴き分けているのでしょうか???
質問された方のおっしゃった「絶対音感」とは、<ラ>に近い音がそれなりに分かる、
ということを、指していらっしゃるのだと思います。
★「大雑把に」いいまして、バロック時代は、
ピッチが、現在より約半音(短2度)低かったと、いわれます。
(これも、諸説あり、本当のところは不明ですが・・・)
約半音とした場合、バロック時代の調律で、
ハ長調の<ド、レ、ミ、ファ、ソ>を演奏しますと、
現代のロ長調の<シ、ド♯、レ♯、ミ、ファ♯>と聴こえます。
★私は、昨年、バロック時代の調律をしたチェンバロの作品を書きました。
バロック調律のチェンバロを使って作曲しました。
私は、いわゆる「絶対音感」をもっていますので、
作曲中に、≪ドの鍵盤を押して出たこの音は、一体、ドなのか、シなのか≫と、
混乱したものです。
しかし、暫くしますと、低い調律になれてしまいます。
この時点で、いわゆる<絶対音感>が“消えた”、と言っていいのかもしれません。
チェンバリストの中には、「毎日、バロック調律など現代と異なる調律の楽器を弾くため、
<絶対音感>をなくした」という方もいらっしいます。
しかし、全く、不都合はありません。
★つまり、『絶対音感』という言葉が怪物のように一人歩きして、あたかも、
特別に重要であるかのように、錯覚させられていることが、問題なのかもしれません。
『絶対音感』という言葉に惑わされるのは、もういい加減に止めにしたいものです。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
★数日前、私は、音大や音高志望者のご本人、ご両親、先生を対象とした
講座に出席しました。
ソルフェージュについて、あるお母さまから質問を受けました。
「3人の子供のうち、音楽の好きな一人が、音大進学希望です。あとの2人は、絶対音感があるのに、
音大希望の子供だけ、絶対音感がありません。大丈夫でしょうか」という内容でした。
私は「絶対音感は、もっていますと便利ではありますが、不可欠なものではありません。
お子さんは、相対音感(移動ド)で音を聞いていると思われます。
すなわち、楽曲がすべてハ長調、または、イ短調に移動して聞こえる、ということです。
これは、西洋音楽が身に染み付いているということです。
大変に音楽的な方なのですから、自信を持って勉強を続けてください」とお答えしました。
★<絶対音感>とは、なんでしょうか?
例えば、NHKの時報で聞かれる<ラの音>、1点イ音のピッチ(音高)を、
記憶して聴き分けられるか、ということです。
その<ラの音>から、短3度上の<ドの音>2点ハ音が、ピアノで奏されたとき、
即座に<ド>とこたえられるか、ということでもあるのです。
しかし、その基準となる1点イ音も、実は、ピッチがまちまちなのです。
NHKの時報「ポ、ポ、ポ、ポー」の最初の低い「ポ」音は、440ヘルツです。
しかし、現在のピアノは、普通、442ヘルツに調律しています。
さらに、オーケストラでは、さらに高く調律することもあります。
絶対音感の人たちは、これらをすべて、聴き分けているのでしょうか???
質問された方のおっしゃった「絶対音感」とは、<ラ>に近い音がそれなりに分かる、
ということを、指していらっしゃるのだと思います。
★「大雑把に」いいまして、バロック時代は、
ピッチが、現在より約半音(短2度)低かったと、いわれます。
(これも、諸説あり、本当のところは不明ですが・・・)
約半音とした場合、バロック時代の調律で、
ハ長調の<ド、レ、ミ、ファ、ソ>を演奏しますと、
現代のロ長調の<シ、ド♯、レ♯、ミ、ファ♯>と聴こえます。
★私は、昨年、バロック時代の調律をしたチェンバロの作品を書きました。
バロック調律のチェンバロを使って作曲しました。
私は、いわゆる「絶対音感」をもっていますので、
作曲中に、≪ドの鍵盤を押して出たこの音は、一体、ドなのか、シなのか≫と、
混乱したものです。
しかし、暫くしますと、低い調律になれてしまいます。
この時点で、いわゆる<絶対音感>が“消えた”、と言っていいのかもしれません。
チェンバリストの中には、「毎日、バロック調律など現代と異なる調律の楽器を弾くため、
<絶対音感>をなくした」という方もいらっしいます。
しかし、全く、不都合はありません。
★つまり、『絶対音感』という言葉が怪物のように一人歩きして、あたかも、
特別に重要であるかのように、錯覚させられていることが、問題なのかもしれません。
『絶対音感』という言葉に惑わされるのは、もういい加減に止めにしたいものです。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲