音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■ 一生忘れない Inventionの≪ 暗譜方法 ≫■

2015-08-29 20:20:01 | ■私のアナリーゼ講座■

■ 一生忘れない Inventionの≪ 暗譜方法 ≫■
 KAWAI金沢インヴェンション・アナリーゼ講座
   「Invention & Sinfonia 第12番 A-Dur イ長調」

                 2015.8.29  中村洋子

 

 


★8月26日のKAWAI金沢「インヴェンション・アナリーゼ講座」では、

第二部として、 Mozart モーツァルトの

ピアノソナタ 「K.331 A-Dur 1楽章」の公開レッスンを開催しました。


★レッスンを受講された方は、わざわざ東京からお出でになりました。

音楽への愛情がにじみ出るような、いい演奏をなさいました。

レッスンをお聴きになった方からは、

「暖かいピアノの音色がまだ耳に残っています」という

嬉しい感想も、いただきました。


★このK.331第1楽章のテーマは、一見単純に見えますが、

実は、バッハの作品と同様、 counterpoint 対位法 が張り巡らされた、

かなり難しい曲であると、いえます。


演奏の良し悪しは、その対位法を分析し貫き、解きほぐし、

どう理解するかにかかっています。

対位法の構造が頭に入れば、演奏が自ずとついてくるともいえます。

それが西洋クラシック音楽です。

ムード音楽ではないのです。

 

 


★昨年秋に発見された、このK.331 の自筆譜には、

このテーマが書かれた部分は、含まれていません。


冒頭1小節目の右手「cis² d² cis²」の三つの音について、

スラーが1番目 cis² から2番目の d² まで掛っているのか、

あるいは、1番目 cis² から3番目の cis² まで掛っているのか、

明確になっていません。


★モーツァルト存命中に出版された初版の第1刷は、

「1番目 cis² から2番目の d² まで掛っているようにみえますが、

not clearly placed (はっきりとは記されていない)」と、

Henle の editor Wolf-Dieter Seiffert がコメントしています。

いずれにせよ、私はまだ初版を見たことがありません。

第4刷目では、「1番目 cis² から3番目の cis² まで」と

変わっているそうです。


★それについての、Edwin Fischer エドウィン・フィッシャー

(1886-1960)の、秀逸な解釈を交えながら、

どのように弾きましたらモーツァルトの意図に近づくか、

お話いたしました。

 

★結局、初版譜から決定できないのですから、

自分で考え抜くしかありません。

私は、私の結論を出しましたので、

公開レッスンでは、それをお話いたしました。

 


★一方的にお話しますアナリーゼ講座と異なり、

奏者の演奏に、具体的なアドヴァイスを加えながらの解説となりますので、

より理解しやすいかもしれません。

機会がございましたら、 また試みたいと思います。

 

 


--------------------------------------------------
中村洋子 第12回 KAWAI金沢「Bach インヴェンション講座」(全15回)

「Invention & Sinfonia 第12番 A-Dur イ長調」
             ~ 一生忘れない Inventionの≪ 暗譜方法 ≫ ~

-----------------------------------------------------
■日  時 : 2015年 9月16日(水) 午前 10時 ~ 12時 30分
■会  場 : カワイ金沢ショップ 金沢市南町5-9 
           ( 尾山神社前 南町バス停より徒歩3分 )
■予  約 : Tel.076-262-8236 金沢ショップ


★深い憂愁に閉じ込められたような 「11番 ト短調 g-Moll 」。
それに続く「12番 Invention A-Dur 」 は真夏の太陽のように、
明るく力の漲った曲です。
Sinfonia 12番の 9~12小節目、20~23小節目バスは、
あたかも次の時代の様式を先取りしたような音型です。

★しかし、その音型の源泉はイタリアのAlessandro Marcello
アレッサンドロ・マルチェッロ (1669~1747) や、Antonio Vivaldi
アントニオ・ヴィヴァルディ(1678~1741)の協奏曲まで、辿ることができます。
それについて、具体的にご説明し、どのような楽器をイメージし、
どんな音色で演奏すべきか、お話いたします。

★類似した音型の曲は、Telemannテーレマン(1681~1767)の
「 Leichte Fugen mit kleinen Stucken 簡単なフーガと小品 」にも見られます。
これを Invention と併用しますと、Bachをより深く理解できます。
比較することで、Bach の素晴らしさが一層良く、分かるのです。
レッスンに直ぐ、応用できます。

 

 

★この12番を基に、もう一度「暗譜の方法」をおさらいいたします。
漫然と、反復練習して≪曖昧に指先で覚える≫のではなく
≪心と頭に、インヴェンションをゆるぎなく定着させる暗譜≫が必要です。
そのような≪暗譜≫ができますと、
「本物」の音楽と「そうではない音楽」とを判断する能力が、
自然に身に付きます。

私が考案し、実践してきました方法を、具体的に詳しくお教えいたします。
その際に重要なことは、≪Fingering≫の役割です。
「頭に焼き付ける」 ため、≪ Fingering ≫ にどのような機能をもたせるか、
≪ Fingering ≫ をどのように活用するかということです。

★Bachの最高の演奏家であったAlbert Schweitzer
アルベルト・シュヴァイツァー(1875 - 1965)は、著書で次のように書いています。≪平均的な音楽家が、もし、本物の芸術と偽物を、厳しく、見分ける能力をもっているとすると、それはまさに Bach の Invention のお陰であるといえる。
Invention を練習したことのある子供は、それがたとえ、ピアノ習得のための機械的な練習だったとしても、多声部の作曲法を、既に身につけたといえる。
それは生涯、消えない≫

インヴェンションを、生涯にわたって忘れないためにも、「本当の暗譜」が必要なのです。

 

 

 

 私の著書です、「一生忘れない暗譜の方法」を具体的に

詳しく説明しています。

また、バッハ、ショパン、ラフマニノフなど大作曲家を一層、

深く、理解できるようになると思います。

http://blog.goo.ne.jp/nybach-yoko/d/20160203

 

 


※copyright © Yoko Nakamura    
             All Rights Reserved
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

コメント

■ 平均律第1巻1番 35小節のPreludeが現代まですべての音楽の源泉■

2015-08-22 23:54:12 | ■私のアナリーゼ講座■
■ 平均律第1巻1番 35小節のPreludeが現代まですべての音楽の源泉■
                ~ KAWAI 名古屋「平均律第1巻1番 C-Dur アナリーゼ講座」~
 
                  2015.8.22 中村洋子
 
 
 
 
 
 
★KAWAI 名古屋で5年かけてBachの Invention & Sinfonia各15曲の
 
全曲アナリーゼ講座を開催いたしました。
 
Invention & Sinfoniaは1723年に完成され、前年の1722年に
 
平均律クラヴィーア曲集第1巻全曲が編まれています。
 
Invention & Sinfoniaは、巷間思われているような
 
「平均律への簡単な導入曲集」ではなく、平均律第1巻の粋を集め、
 
凝縮した曲集です
 
 
★新しく始めます平均律第1巻アナリーゼ講座は、
 
まず、インヴェンション曲集と平均律第1巻とを結びつける役割を担う
 
「1番 C-Dur Prelude & Fuga」について、お話いたします。
 
 
1番 Preludeは、分散和音を基にした豊饒な和声の世界が提示されます。
 
単純な分散和音の羅列では全くないのです。
 
この Prelude がBach 以降の作曲家に与えた影響は計り知れません。
 
 
 
 
 
 
 
音階を縦横無尽に展開する1番フーガは、
 
 Invention & Sinfoniaの各1番と深く結びついており、
 
この3曲で「大きな一曲」ととらえることすら可能です。
 
Bach は二声の Invention、三声の Sinfonia そして、
 
四声の平均律1番フーガを、巨視的な眼差しで眺めながら
 
作曲したともいえます。
 
 
★クラシック音楽が、一地域の民族音楽ではなく
 
普遍的な位置を占めることができたのは、
 
実はこの1番 Preludeを源泉として、それ以降の音楽が発展したからです。
 
Chopin が平均律1巻楽譜に、彼自身が書き込んだメモを基に、
 
Chopin がどんなBach像を描き、どのような演奏をしていたか
 
解説いたします。
 
Bach を学び尽したChopin が存在していたからこそ、
 
フランスで Debussy やRavel などのピアノ音楽が華開いたのです。
 
 
平均律第1巻1番の、わずか35小節の一見単純な Preludeが、
 
それ以降、現代まで約300年間の音楽を決定してしまったのです。
 
それらを踏まえて学び、演奏しますと、
 
あらゆる大作曲家の傑作への理解力が、格段に深まります。
 
西洋音楽の源泉を、ご一緒に探求いたしましょう。
 、
 
 
 
 
 
 
 
---------------------------------------------------------------------------------
 

■日  時 :  2015年 1028日( 午前 1012 30

■会  場 :   KAWAI 名古屋2Fコンサートサロン「ブーレ」

■予  約 :  Tel.052-962-3939  KAWAI 名古屋

-----------------------------------------------------------

■講師 :   作曲家  中村 洋子  Yoko Nakamura

     東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
     日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

         2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。

         07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello
         無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
         Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
    CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN
                         ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』 を発表。

         08年: CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
        CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。

         08~09年: 「 Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien
                  Analysis  インヴェンション・アナリーゼ講座 」
                    全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。

         09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」の楽譜を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」  から出版。
 
         10~12年: 「 Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
                  Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」
                    全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。

         10年: CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
       「 Regenbogen-Cellotrios  虹のチェロ三重奏曲集 」の楽譜を、
             ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
       Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。

         11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
                         チェロ二重奏のための 10の曲集 」の楽譜を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

         12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
      チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」の楽譜を、
      Musikverlag Hauke Hack  Dortmund 社から出版。

         13年: CD 『 Suite Nr.4 & 5 & 6 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 4、5、6番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
         「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 3番 」の楽譜を、
      ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

         14年:「 Suite Nr.2、4、5、6 für Violoncello
        無伴奏チェロ組曲 第 2、4、5、6番 」 の楽譜を、
       ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

          SACD 『 Suite Nr.1、2、3、4、5、6 für Violoncello
                            無伴奏チェロ組曲 第 1, 2, 3, 4, 5, 6番 』 を、
     「disk UNION 」社から、≪GOLDEN RULE≫ レーベルで発表。

           スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、
      自作品が演奏される。

        ★上記の 楽譜 & CDは、
「 カワイ・表参道 」 http://shop.kawai.co.jp/omotesando/ 
「アカデミア・ミュージック 」         https://www.academia-music.com/academia/s.php?mode=list&author=Nakamura,Y.&gname=%A5%C1%A5%A7%A5%ED
 https://www.academia-music.com/                           で販売中。

       ★私の作品の  SACD 「 無伴奏チェロ組曲 第 1 ~ 6番 」
   Wolfgang  Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー演奏は、
  disk Union や全国のCDショップ、ネットショップで、購入できます。
http://blog-shinjuku-classic.diskunion.net/Entry/2208/

 

 

 


※copyright © Yoko Nakamura    
             All Rights Reserved
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

コメント

■続・Mozart KV331の自筆譜見つかる、Henle新版はそ知らぬ顔で訂正■

2015-08-08 00:25:05 | ■ 感動のCD、論文、追憶等■

■続・Mozart  KV331の自筆譜見つかる、Henle新版はそ知らぬ顔で訂正■
               2015.8.8     中村洋子

 

 

★2014年秋ハンガリーで、Mozart モーツァルト(1756-1791)の、Klaviersonate

 A-Dur  KV331の「Manuscript Autograph 自筆譜」が発見されたお話の

続きです。

 

 

 

★二つの譜例は、日本でも有名なドイツの「Henle出版」の楽譜から採りました。

最初の譜は、「Manuscript Autograph 自筆譜」が発見される前の版から。

後の譜は、自筆譜発見後の2015年出版の最新版からです。

 

 

★旧版(誤った譜)では、この部分について脚注で以下のように書いています。

「In den Takten 24 u. 25 fehlt in der Erstausgabe ♮ vor c¹ ;In Takt 26 steht

 wohl versehentlich ein ♯ statt ♮ vor c².」

「初版譜(中村注:出版されたのはモーツァルト存命中ですが、

年は確定されていないようです)では24、25小節目の c₁ の前の ♮ が欠けている。

26小節目の c² にも、 ♮ の代わりに♯ がうっかり誤って付けられている」。
(この曲は調号が♯三つの「A-Dur」ですので、臨時記号がない限り「ド」はすべて
自動的に♯の付いた「cis」となります)

★つまり、初版譜はモーツァルトの作曲意図に反して、

調号により24、25小節目の「c¹」 と26小節目の「c²」 に「♯」が付いて、

「A-Dur」になっており、その間違いを直すため、

そこに「♮」を加えた・・・としているのです。


★しかし、今回新たに自筆譜が発見された結果、

初版譜こそがモーツァルトの書いた通りの正しい楽譜であったことが

証明されてしまいました。

Henle旧版の“初版譜の誤りを正した”という主張こそが、

実は誤りであったのです。

 

 


★そこで、Henle新版の脚注を見ますと、ちゃっかりと次のように記しています。

「Viele Ausgaben ergänzen ♮ ;in den Quellen jedoch eindeutig A-dur bis

einschließlich T.26.」

「たくさんのエディションは、 ♮ を補っていますが、源泉資料では疑いもなく

明白に26小節目までA-durです」


★結局この脚注は、「Manuscript Autograph= 自筆譜」とは書かずに

「Quellen=源泉資料」という言葉を使って、

旧版の誤りをそ知らぬ顔で訂正しています。


★ “Henle版の楽譜ならば安心!”と思っている方は日本でも多いようですが、

盲信はしないほうがよろしいでしょう。

まして、擦り切れた古い版を使い続けていますと、

このような“訂正”とも無縁となってしまいます。

 

 


★繰り返しになりますが、自筆譜の発見で分かった最も大きな相違点は、

第2楽章 Menuetto の24、25、26小節でしょう。

従来は、24小節目下声と、25小節目下声の「cis¹」が「c¹」とされ、

続く26小節目上声1拍目「cis²」も「c²」となっていました。


★従来の「c¹」、「c²」で弾きますと、24、25、26小節、

そして27小節目までは、とても小奇麗でエレガントな 「a-Moll イ短調」です。

 

 

しかし、Mozart 自筆譜の「cis¹」、「cis²」にしますと、

24、25、26小節は 「A-Dur イ長調」、そして27小節目冒頭でいきなり、

「A-Dur の同主短調」である「a-Moll イ短調」に激変するのです。

 

 

★これにより、Mozart がなぜ24小節目に「p」、25小節目に「cresc.」、

28小節目に「f」を指定したか、その理由が明確に分かるのです。

旧版では「cresc.」の位置も違っています。

26小節目に「cresc.」がありますのは、a-Mollによる

“穏やかな変化”を表現するとすればそれはそれで妥当でしょう。


★27小節目で劇的に変化した後、追い打ちをかけるように、

28小節目を「f」とし、29小節目はドッペルドミナントにしています。

 

 

そのドッペルドミナントは5音下行形で、その下行した5音をバスにもち、

30小節目のドミナント(半終止)に着地するのです。

 

 

小奇麗でエレガントではなく、まさに、ドラマティックな音楽に変容するのです。

 

★続く31小節目は、主調「A-Dur」に復調し、再現部が始まります。

心憎いばかりのMozart の設計図を支えているのが、

この「cis¹」と「cis²」なのです。

それが、自筆譜で明らかになりました。

  

 

※copyright © Yoko Nakamura    
             All Rights Reserved

▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲
                               

コメント

■ Mozart KV331の公開レッスンのお知らせ、KV331の自筆譜見つかる ■

2015-08-01 01:33:53 | ■私のアナリーゼ講座■

■ Mozart KV331の公開レッスンのお知らせ ■
~ KV331の自筆譜見つかる、エレガントではなく劇的な音楽だった ~
              2015,8.1    中村洋子

 

 


★皆さまは、あの有名な誰からも親しまれている

Wolfgang Amadeus Mozart モーツァルト(1756~1791)の、

Klaviersonata  A-Dur  KV331 を、

このように弾いていませんでしたか?

 

 


★昨年秋、この曲の Mozart 自筆譜が発見され、

以下が正しかったことが確認されました。

 

 

 

★昨秋ハンガリーで、 KV 331 の自筆譜の一部が発見された、

という報道が最近ございました。

実用譜で、これまで慣習的に、いわゆる常識的に

“改竄”されていた数か所が、

Mozart の意図に沿ったものに、これから戻されていくでしょう。


★以前、 Beethoven  ベートーヴェン(1770-1827) の

「Für Elise エリーゼのために」 について書きましたように、

日本の頑固なピアノの先生方には、直ぐには受け入れがたい・・・

とは思いますが、是非、素直にMozart の作曲意図を尊重して、

レッスンにも生かして頂きたいと思います。

 

 


★最も大きな相違点は、第2楽章 Menuetto の24、25、26小節でしょう。

従来は、24小節目下声と、25小節目下声の「cis¹」が「c¹」とされ、

続く26小節目上声1拍目「cis²」も「c²」となっていました


従来の「c¹」、「c²」で弾きますと、24、25、26小節、

そして27小節目までは、とても小奇麗で

エレガントな a-Moll イ短調です。


★しかし、Mozart 自筆譜の「cis¹」、「cis²」にしますと、

24、25、26小節は 「A-Dur イ長調」、

そして、27小節目冒頭でいきなり、

A-Dur の同主短調である 「a-Moll イ短調」に激変するのです。

 

 


★これにより、Mozart がなぜ24小節目に「p」、

25小節目に「cresc.」、28小節目に「f」に指定したか、

その理由が、明確に分かるのです。


★27小節目で劇的に変化した後、追い打ちをかけるように、

28小節目を「f」とし、29小節目はドッペルドミナントにしています。

そのドッペルドミナントは5音下行形で、

その下行した5音をバスにもち、

30小節目のドミナント(半終止)に着地するのです。

小奇麗でエレガントではなく、まさに、

ドラマティックな音楽に変容するのです。


★続く31小節目は、主調 A-Dur に復調し、再現部が始まります。

心憎いばかりのMozart の設計図を支えているのが、

この「cis¹」、「cis²」なのです。

それが、自筆譜で明らかになりました。

 

 

----------------------------------------------------------------------

■中村洋子 ピアノ公開レッスン

★8月26日(水) KAWAI 金沢 第11回 Invention アナリーゼ講座の終了後、

Mozart ピアノソナタ 「K.331 A-Dur 1楽章」の、

公開レッスンを開催いたします。

★このソナタは、1楽章がソナタ形式の曲ではなく、

16小節の可愛らしい主題と6つの変奏曲とから成っています。

ピアノを習い始めて間もない方も、発表会でよく弾かれ、

誰からも愛されている名曲です。


変奏で使われる「非和声音」は、

和声を学ぶ上で、大変に重要なサンプルです

また、一見単純に見えますが、

Mozart の素晴らしい「counterpoint 対位法」が、随所に見られます。

それらを分かりやすく解説しながら、

どのように演奏すべきか、実際のレッスン を公開いたします。
----------------------------------------------------
■日時  :  8月26日(水)  午後1時半~2時半
■会  場 :  カワイ金沢ショップ 金沢市南町5-9 
             ( 尾山神社前 南町バス停より徒歩3分)
■予  約 :  Tel.076-262-8236 金沢ショップ

-------------------------------------------------------------

■講師 :   作曲家  中村 洋子  Yoko Nakamura

     東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
     日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

         2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。

         07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello
         無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
         Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
    CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN
                         ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』 を発表。

         08年: CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
        CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。

         08~09年: 「 Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien
                  Analysis  インヴェンション・アナリーゼ講座 」
                    全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。

         09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」の楽譜を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」  から出版。
 
         10~12年: 「 Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
                  Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」
                    全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。

         10年: CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
       「 Regenbogen-Cellotrios  虹のチェロ三重奏曲集 」の楽譜を、
             ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
       Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。

         11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
                         チェロ二重奏のための 10の曲集 」の楽譜を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

         12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
      チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」の楽譜を、
      Musikverlag Hauke Hack  Dortmund 社から出版。

         13年: CD 『 Suite Nr.4 & 5 & 6 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 4、5、6番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
         「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 3番 」の楽譜を、
      ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

         14年:「 Suite Nr.2、4、5、6 für Violoncello
        無伴奏チェロ組曲 第 2、4、5、6番 」 の楽譜を、
       ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

          SACD 『 Suite Nr.1、2、3、4、5、6 für Violoncello
                            無伴奏チェロ組曲 第 1, 2, 3, 4, 5, 6番 』 を、
     「disk UNION 」社から、≪GOLDEN RULE≫ レーベルで発表。

           スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、
      自作品が演奏される。

        ★上記の 楽譜 & CDは、
「 カワイ・表参道 」 http://shop.kawai.co.jp/omotesando/ 
「アカデミア・ミュージック 」         https://www.academia-music.com/academia/s.php?mode=list&author=Nakamura,Y.&gname=%A5%C1%A5%A7%A5%ED
 https://www.academia-music.com/                           で販売中。

       ★私の作品の  SACD 「 無伴奏チェロ組曲 第 1 ~ 6番 」
   Wolfgang  Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー演奏は、
  disk Union や全国のCDショップ、ネットショップで、購入できます。
http://blog-shinjuku-classic.diskunion.net/Entry/2208/

 

 


※copyright © Yoko Nakamura    
             All Rights Reserved

 ▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

コメント