音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■モティーフが変幻自在に乱舞する 第21番 Prelude、Fuga の重音は対位法の極致■

2014-11-25 23:39:43 | ■私のアナリーゼ講座■

モティーフが変幻自在に乱舞する第21番 Prelude、Fuga の重音は対位法の極致
~中村洋子 Bach 平均律クラヴィーア曲集 第2巻・アナリーゼ講座~

       第18回 第21番 B-Dur  BWV890  Prelude & Fuga

              2014.11.25   中村洋子

 

 

 

天上から、花びらが舞い降りてくるような 平均律第二巻 21番 Prelude。

美しい冒頭の下行全音階(B-Dur)は、実は、16番g-Moll Fuga や、

17番 As-Dur  Fuga から、周到な準備の下にやっとたどり着き、

姿を現したものです


★87小節にも上る長大な Prelude は、この冒頭音階を基とした、

16分音符の流麗な motif モティーフが絶えることなく、

三声あるいは二声で続きます。

 
★それらは

①同方向進行②平行進行③反行進行に、

分けることができます。

それらが、空中で乱舞するがごとく絡み合います。

まさに、 counterpoint 対位法 の極致です。


★21番 Prelude には、平均律では極めて珍しい「ト音記号」や、

左右の手を交差させる奏法も出現します。

講座ではなぜそれらが出てきたのかを、ご説明します。

 

 

 

★一方、21番 Fuga は、 Invention No.2 c-Moll と共通点が多く、

密接な関係となっています。

そこを理解しますと、あたかも3度の重音のように「平行進行」する二声 は、

実は、「重音」や「和音」ではなく、

Fuga の到達点、頂点であることが、

自ずと、理解できるようになります。

 

 

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平均律   第 2巻 アナリーゼ講座
    
第18回  第 21番 B-Dur BWV890 Prelude & Fuga

 ■ 日  時 :  2014年 12月18日(火) 午前 10時 ~ 12時 30分

 ■ 会  場 :  カワイ表参道  2F コンサートサロン・パウゼ

 ■ 予 約 :    Tel.03-3409-1958

 ---------------------------------------------------------------

 ■ 講師 :   作曲家  中村 洋子  Yoko Nakamura

 東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

     2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。

     07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello
         無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
         Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
    CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN
                         ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』 を発表。

     08年: CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
        CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。

     08~09年: 「 Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien
                  Analysis  インヴェンション・アナリーゼ講座 」
                    全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。

     09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。
         

     10~12年: 「 Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
                  Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」
                全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。

     10年: CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
       「 Regenbogen-Cellotrios  虹のチェロ三重奏曲集 」 を、
             ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
      Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。

     11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
                         チェロ二重奏のための 10の曲集 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

     12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
    チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」を、
      Musikverlag Hauke Hack  Dortmund 社から出版。

     13年: CD 『 Suite Nr.4 & 5 & 6 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 4、5、6番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
           「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 3番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

           スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、
    自作品が演奏される。

   ★上記の 楽譜 & CDは、
カワイ・表参道http://shop.kawai.co.jp/omotesando/ 
アカデミア・ミュージックhttps://www.academia-music.com/販売中

   ★私の作品の CD 「 無伴奏チェロ組曲 第 1 ~ 6番 」
   Wolfgang  Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー演奏は、
  disk Union クラシック館で、購入できます。

 

  

※copyright © Yoko Nakamura    
             All Rights Reserved
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

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■半音階が絶えず現れる第20番前奏曲は七声、エネルギーに満ち溢れる■

2014-11-23 19:45:54 | ■私のアナリーゼ講座■

■半音階が絶えず現れる第20番前奏曲は七声、エネルギーに満ち溢れる■
             ~平均律第2巻・アナリーゼ講座 第20番 a-Moll ~
                      2014.11.23               中村洋子

 

 


★紅葉が燃え盛るようです。

冬の足音が、もうそこまで来ています。

25日は、 KAWAI 表参道「平均律第2巻20番a-Moll」

アナリーゼ講座です。


★その準備で、「Die Kunst der Fuge フーガの技法」を、

毎朝、ピアノで少しずつ弾いています。

Bach の「 Die Kunst der Fuge フーガの技法」の、

 「Manuscript Autograph  自筆譜 」facsimile は、

soprano、 alto、tenor、bass記号の四段譜で書かれています。


★Bach は、choral コラールを記譜する際も、この四段譜です。

この四段譜を読むことに慣れますと、

ト音記号とバス記号(ヘ音記号) の二段譜、いわゆる

「大譜表」に書き直された実用譜よりも、かえって読みやすく、

頭に入りやすくなります。

 

 


★私が、 ピアノでDie Kunst der Fuge を弾いて、

楽しんでいるように、

Die Kunst der Fugeは、全部とはいいませんが、大部分は、

ピアノ(鍵盤楽器)で、弾くことができます。


★私が考えましたことは、

Bach が、鍵盤楽器用に「二段譜」で書いた作品が、

Bach の頭の中では、実は、「四声による四段譜」で、

練られていたのではないか、ということです。


★「 Wohltemperirte Clavier 平均律クラヴィーア曲集」は、

実用譜のように、「大譜表」では、書かれていません。

二段譜ですが、上段は、ほとんどsoprano記号、

下段は、ほとんどがbass記号で、書かれています。


Bach は平均律を四声で作曲し、

それを二段譜で記譜するに当たり、

上段は、四声の中で最も高いsoprano記号、

下段は、最も低いbass記号を選んだと、思います。

そのsoprano、bass の上下枠の中に、

alto 、tenor が存在するという、認識だったのでしょう。


★Bach は、ト音記号を使わなかった訳ではなく、

Clavier Übung クラヴィーア ユーブンク 第二巻のいわゆる

「 Concerto nach Italienischen Gusto イタリア協奏曲 」 では、

ト音記号と bass記号の二段譜(大譜表)で、書いています。

ここでト音記号を使ったのは、人の声より高い音域を、

想定して、作曲したからでしょう。

 

 


★ Wohltemperirte Clavier での、例外としては、

上声および下声で、 alto 記号を使うことが、たびたびあります。

上声= altoは、文字通り alto の声部、

下声= alto は、 alto声部ではなく、tenor声部と、

とらえますと、大変明確に、四声体を読み取ることが

可能となります。


★しかし、これは大原則であって、Wohltemperirte Clavier は、

たくさんの例外に満ちていることは、言うまでもありません。


★例えば、12月のアナリーゼ講座で勉強します、

第2巻21番 B-Dur は、驚くべきことに「ト音記号」まで、

“出演”させています。

 Wohltemperirte Clavier で、ト音記号が出現するのは、

青天の霹靂です。


第二巻全24曲を、6曲ずつにグループ分けした場合、

最後のグループ(19~24番)は、

音楽史上空前絶後といえるほどの、

エネルギーと広がりをもった“生命体”ような存在であると、

思います。

 

 


20番 a-Moll  Prelude は、17小節目と32小節目に、

反復記号をもつ、バイナリ―フォーム binary form の、

終始、二声で書かれた、大変に短い曲です。


★しかし、「半音階」が絶え間なく現れ、これほどまでに

エネルギーに満ちた曲が、あるのであろうか!と、

感嘆するほどの曲です。


★この二声 は、いうまでもなく、四声体に分割して、

理解すべきものでしょう。

講座では、四声体化したスコア―を、皆さまにお示しし、

その底知れないエネルギーが、どこから湧き上がってくるのか、

どう演奏すべきかを、お話いたします。


四声といいましても、各声部が、また二声 に分割されることも多く、

特に、sopranoやbass声部を、さらに二分割しますと、

非常に理解しやすくなる部分が、たくさんあります。

譬えて言いますと、オーケストラの弦楽部分の第1ヴァイオリンを、

div. 分割する、Celloをdiv. 分割するというイメージです。


この20番 a-Moll  Prelude は、soprano、bassだけでなく、

 alto アルト 声部も、二分割できるため、最低でも、

七声部で、考えるべきでしょう。

 

 


★25日のアナリーゼ講座では、 Bach の偉大な「半音階」が、

使われている一例として、 Clavier Übung クラヴィーア ユーブンク

第3巻 (1739年出版 )の Duetto や、 前述の Die Kunst der Fuge

フーガの技法にも、触れる予定です。


★ Die Kunst der Fuge を、弦楽器で聴きたくなり、

Collegium Aureum コレギウム・アウレウム合奏団の

CD(1962年録音)を、聴いています。

とてもいい演奏であると、思います。


20番 Prelude の第1小節を見ますと、bassは、

a - gis - g - fis - f - e  と、半音階下行しますが、

上声の冒頭は、 c2 - d2 - e2 - f2  (ド レ ミ ファ)という、

四度の上行順次進行で、始まります。


★ この ≪ c2 - d2 - e2 - f2  (ド レ ミ ファ)≫ に、

記憶はございませんか?


★そうです、「 Invention 第1番 C- Dur 」の冒頭と、

 「 Wohltemperirte Clavier Ⅰ  平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 」

第1番 C- Dur Fuga の冒頭と、同じ motif モティーフなのです。

 

 

 


★これはBach が、時折使います手法ですが、

この20番 Prelude は、a-Moll、

Invention第1番と 平均律第1巻 第1番 Fuga は C- Dur 、

異なる調であるのに、共通の motif モティーフ を使っています。


★これは、いわば、飛び切りの≪離れ技≫です。

異なる調といっても 実は、 a-Moll と C- Dur  は、

平行調の関係にあります。

即ち、20番 Prelude  a-Moll は、 

Wohltemperirte Clavier 第1巻 第1番の曲頭と、

とても深い関係、発展させたものであることを、

Bach が示唆しているのです。


★さらに、4小節目の上声開始音は、前の3小節目からタイで、

結ばれています。

「a」 の後、 「 gis  a1  h1  c2 ソ ラ シ ド」 で始まりますが、

これは、 Sinfonia 第1番 上声冒頭と、一致しています。

 

 


Wohltemperirte Clavier Ⅱ の終曲6曲からは、

Bach の、≪Invention、 Sinfonia 、Wohltemperirte Clavier Ⅰ

全部を、統合していく・・・≫、という強い意志が、

ヒシヒシと、伝わってきます。

“大きなエネルギー”と言いましたのは、このことも、指します。


★ちなみに、次の第2巻21番は、 Invention第2番と、

見事に、符牒が合っています。

 

 

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  平均律 第 2巻 アナリーゼ講座

第 17回 : 第 20番 a-Moll BWV889 Prelude & Fuga

■日  時 :  2014年 11月25日(火) 午前 10時 ~ 12時 30分

■会  場 :  カワイ表参道  2F コンサートサロン・パウゼ

■予 約 :    Tel.03-3409-1958

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■ 講師 :   作曲家  中村 洋子  Yoko Nakamura

東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

    2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。

    07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello
         無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
         Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
    CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN
                         ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』 を発表。

    08年: CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
        CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。

    08~09年: 「 Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien
                  Analysis  インヴェンション・アナリーゼ講座 」
                    全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。

    09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。
         

    10~12年: 「 Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
                  Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」
                全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。

    10年: CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
       「 Regenbogen-Cellotrios  虹のチェロ三重奏曲集 」 を、
             ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
      Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。

    11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
                         チェロ二重奏のための 10の曲集 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

    12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
    チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」を、
      Musikverlag Hauke Hack  Dortmund 社から出版。

    13年: CD 『 Suite Nr.4 & 5 & 6 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 4、5、6番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
           「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 3番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

          スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、
    自作品が演奏される。

  ★上記の 楽譜 & CDは、
カワイ・表参道http://shop.kawai.co.jp/omotesando/ 
アカデミア・ミュージックhttps://www.academia-music.com/販売中

  ★私の作品の CD 「 無伴奏チェロ組曲 第 1 ~ 6番 」
   Wolfgang  Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー演奏は、
  disk Union クラシック館で、購入できます。

 

 

 

※copyright © Yoko Nakamura    
             All Rights Reserved
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■「シンフォニア4番 」は「 フーガ 」の基本的な雛型■

2014-11-20 23:06:22 | ■私のアナリーゼ講座■

■「シンフォニア4番 」は「 フーガ 」の基本的な雛型■

~KAWAI 金沢 中村洋子 Bach  Invention・アナリーゼ講座~

  第 4回 「 Invention & Sinfonia 4番 d-Moll 」

          2014.11.20 中村洋子

 

 

 

★「 インヴェンション 4番 」 のテーマは、

インヴェンション 1、2、3番から作り出されています。

それらが、どのように密接に繋がり合っているか、

詳しく、お話します。

 

★また、私が和声を全小節に付け、それをピアノで弾き、

実際に音で聴いていただきます。

この簡潔にみえる旋律が、その和声からどのように

導き出されているか、よく理解できることでしょう。

バッハは、偉大な「 和声の大家 」でもあったのです。

 

 

 

 

★「 シンフォニア4番 」は、「 フーガ 」の形式の基本的な雛型を

示しています。

これにより「 フーガ 」とは何かが、自然に身につきます。

 

★「 インヴェンション 」と、

シューマンの「 子どものためのアルバム 」を、同時並行で、

勉強することをお勧めします。

バッハの和声に親しみますと、シューマンの世界への扉が、

自然に開かれるのです。

 

★「 子どものためのアルバム 」は、

「 バッハの和声と対位法 」が源泉となり、

美しく見事に、花咲かせているのです。

 

★この講座は、音楽をバッハを、心から愛している方々の

ためのものです。

難しいことはやさしく、分かりやすいことは、

さらに深くご説明いたします。

 

 

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■第  4回  Invention・アナリーゼ講座
         Invention & Sinfonia  4番 d-Moll

■日  時 : 2014年 12月24日(水)午前 10時 ~ 12時 30分

■会  場 : カワイ金沢ショップ、南町5-9 
        ( 尾山神社前 南町バス停より徒歩3分 )

■予約  :     Tel.076-262-8236 金沢ショップ
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■ 講師 :   作曲家  中村 洋子  Yoko Nakamura

東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

   2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。

   07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello
         無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
         Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
    CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN
                         ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』 を発表。

   08年: CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
       CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。

   08~09年: 「 Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien
                  Analysis  インヴェンション・アナリーゼ講座 」
                    全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。

   09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。
             10~12年: 「 Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
                  Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」
                全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。

   10年: CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
       「 Regenbogen-Cellotrios  虹のチェロ三重奏曲集 」 を、
             ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
      Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。

   11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
                         チェロ二重奏のための 10の曲集 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

   12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
    チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」を、
      Musikverlag Hauke Hack  Dortmund 社から出版。

   13年: CD 『 Suite Nr.4 & 5 & 6 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 4、5、6番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
           「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 3番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

         スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、
    自作品が演奏される。

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「 カワイ・表参道 」 http://shop.kawai.co.jp/omotesando/ 
「アカデミア・ミュージック 」 https://www.academia-music.com/ で
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■今後のスケジュール

第5回  2015 年  1/14  (水)  Inventio & Sinfonia      第5番

第6回  2015 年   2/11(水・祝) Inventio & Sinfonia      第6番

第7回  2015 年   3/18      (水) Inventio & Sinfonia      第7番

                      各回とも、10:00-12:30

 

 

 

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■ Invention No.3 Bärenreiter ベーレンライター版の無惨な改竄■

2014-11-18 00:29:36 | ■私のアナリーゼ講座■

■ Invention No.3 Bärenreiter ベーレンライター版の無惨な改竄■
~アナリーゼ講座≪ Invention & Sinfonia №3 D-Dur≫~

 

 


                               2014.11.17  中村洋子

★9日水曜は、KAWAI金沢 「Bach インヴェンション・アナリーゼ講座」で、

≪第3番  Invention  & Sinfonia  №3 D-Dur≫です。

そのための準備で、忙しくしております。


★念のため、現在、最も権威のあるとされる「新 BACH 全集」の実用譜、

≪Bärenreiter-Verlag ベーレンライター≫版を、見てみました

残念ながら、Bach の 「Manuscript Autograph facsimile 自筆譜 」

と比べ、改竄ともいうべき編集がなされているところが、多々あり、

いつものことながら、驚き、そして、悲しい思いで一杯です。


★その具体例は、後で挙げますが、

9日の Inventionアナリーゼ講座では、1、2番に引き続き、

二声 の Invention を、四声体化し、

三声の Sinfonia につきましても、各声部が実際は、

soprano、 alto、tenor、bass のどこに相当するかを、

明確に示したスコアを作成し、それを基に、

ピアノで実際に音にしながら、お話いたします。


★そうすることにより、これまで以上に、

 Invention と Sinfonia が、どれほど深く、

豊かな音楽であるか、実感できることでしょう

 

 


★二声 の Invention3番 は、八分の三拍子で、書かれています。

1、2番は、四分の四拍子であるのに対し、

3、4番は、八分の三拍子です。

3、4番で 1セットとなっていると、見ていいでしょう。

二声 の Invention を四声体化することにより、

見事に、この二曲が“舞曲”であることが、

分かってくるのです。


★この“舞曲”を、バロック時代のどんな舞曲か?などと、

詮索することには、意味がありません。

自然に、体を思わず動かしたくなるような音楽、

踊ることによってしか表現できないような音楽、

そういう音楽、つまり“舞曲”が、

Bach の中から、湧き上がってきた、ということなのです。

 

 

★八分の三拍子は、1小節に16分音符が6個存在します。

3、4番とも、6個の16分音符が、絶え間なく動き続けている曲、

という点でも、よく似ています。


Bach は、この Invention 3番 に、大変多くの

≪slur スラー≫ を、書き込んでいます。

その≪slur スラー≫の位置により、

6個の音譜からなる1小節が、単なる「6個の音譜の塊」

であるのか、あるいは、例えば「1個」と「5個の音譜」による、

2グループに、分割されるかどうか、が決まります。

実は、その分割、つまり≪slur スラー≫を記すことにより、

Bach 先生が自ら、

“音楽がこんなにも、違った表情を見せるのだよ”と、

親切にも、
教えていてくれるのです。


★3番では、たくさんのslur スラー が記されているのに、

4番では、一つもslur スラー はありません。

これは、3番で勉強したから、“次は自分で勉強できるよね”と、

Bach 先生が、おっしゃっているのでしょう。

 

 


★では3番を、具体的に見てみましょう。

冒頭「 d1  e1 」の二つの16分音符アウフタクトの後から、

第1小節目が始まりますが、

「 fis1  e1  g1  fis1  e1  d1 」 の六つの16分音符のうち、

Bach は、二番目の「e1 」から slur スラー を書き始めています


★それに対し、≪Bärenreiter-Verlag ベーレンライター版≫は、

注で、『Bach の自筆譜では、slur スラー の長さは、

首尾一貫していない or はっきりしない(not consistent)。

明らかに、この slur は第1小節目全体をカバーしているはず。

The legato(スラーのこと) is obviously meant to

cover the complete bar. 』と記して、見事に、

第1小節目全体、つまり、1~6番目までの音譜に、

slur スラー を、長々と、掛けています。


Bach 「Manuscript Autograph facsimile 自筆譜 」 では、

第1小節目は、誰が見ても、二番目の「e1 」から slur スラーが、

始まっています。

 

 


★ちなみに、3番のBach の自筆譜で一見、≪not consistent≫と、

みえるところは、

《上声》:1、2、5、6、7、8、9、15、33、35、42、43、

       44、51、56 小節です。

《下声》:3、4、10、12、13、21、22、27、31、34、

  36、38、39、40、41、45、46、47、48、49、

  50、52、54、57 小節です。


★≪Bärenreiter ベーレンライター≫に次ぐ権威のeditionである、

≪Henle Verlag ヘンレ≫版や、《Edition Petersペータース》版も、

第1小節目は、Bärenreiter同様、

slur スラー を、ブルドーザーで地面を均すように、

1~6音まで、長々と掛けています。


★それでは、Edwin Fischer エドウィン・フィッシャー校訂版や、

Röntgen レントゲン校訂版では、第1小節目は、

どうなっているのでしょうか?


★両者とも、自筆譜に忠実に2番目の音譜から、

slur が、始まっています。

Röntgen レントゲン校訂版は、注で、「 Autograph による」 と、

そこから始める理由を、記しています。

この方法こそが、editor 編集者に求められるものである、と思います。

古い HANS BISCHOFF版も、Röntgen 版と同様に、

自筆譜に、則っています

 

 


★第1音から始めようが、第2音から始めようが、いいではないか。

重箱の隅を突っつくような、細かいことを、

詮索すべきではない、という意見も出るかもしれません。

しかし、ここは、この第3番  Invention をどう解釈するか、

そして、どのように演奏するか、さらには、

Bach をどう理解すべきか、という根幹に関わることなのです。


Bach がなぜ、第2音から slur スラー を記したか、

私の考えは、以下のとおりです。

第1小節を「 fis1 e1 g1 fis1 e1 d1 ファ ソ ファ ミ レ」と、

6音を一括りにしますと、アウフタクトの 「 d1 e1 」 が、

独立した2度の motif モティーフとなります。


★しかし、 2番目「 e1 」からslur スラー を始めますと、

アウフタクトの「d1 e1」と「 fis1」が、 「d1 e1 fis1」 として、

一つの motif モティーフ、

「 3度の motif 」 を形作ります。


★ここで、 Invention 第1番を、思い起こして下さい。

1番の冒頭上声は、「 c1 d1 e1 」 の「 3度の motif 」 。

2番の冒頭上声は、「 c2 h1 c2 d2 es2 」 ですが、

「 c2 h1 」 と に、分けられ、   

「c2 d2 es2 」 は、「 3度の motif 」 です。


★従いまして、3番冒頭でも、 「d1 e1 fis1」 という

「 3度の motif 」 が出現するのは、極めて自然です。

さらに、その後、第1小節目2番目の音「 e1 」と、

3番目の音「g1」とで、また「 3度 」 が姿を現します。


★それ以外にも、たくさんの理由があり、講座でお話いたします。

Bärenreiter ベーレンライターの Dadelsen editor は、

どういう根拠で、自筆譜のslur スラー を否定するのか、

その根拠を、注に記していません。


★Bärenreiter ベーレンライター版の問題点を、

指摘し出しますと、きりがありませんが、もう一つ、

驚愕したことがあります。

 

 


5小節目と33小節目の、上声1拍目冒頭音に、

Bachは、≪staccato スタッカート≫を付けています。

Bärenreiter ベーレンライターの Dadelsen editor 編集者は、

「偶然に着いたインキのシミである」と、注に記し、

楽譜で、その≪staccato スタッカート≫を、取り除いています。

≪staccato スタッカート≫が、ないのです。

 

 


★この部分、 Bach 自筆譜では、

第1音の「cis2」の上に、≪staccato スタッカート≫があり、

3番目「d2」~4番目「cis2」にかけて≪ slur スラー ≫が、

付けられています。

しかし、≪Bärenreiter ベーレンライター版≫は、小節のすべて、

1番目cis2 ~ 6番目 a1 に ≪ slur スラー ≫を、掛けています。

 

★ここも、私は、明白に≪staccato スタッカート≫であると、

思いますので、講座でご説明いたします。

そもそも、一ヶ所ならともかく、二か所も≪staccato スタッカート≫

に見えるところに、偶然、インキが落ちるものでしょうか?

 


★≪Bärenreiter ベーレンライター≫に限らず、

現代の editor 編集者は、 Bach について、

“紙を惜しむ”、 “slur スラー を曖昧に雑に書く”、

“インキを落とす”、“注意力が散漫で記号を付け忘れる”

ような人物と、認識しているのではないか

とすら、思いたくなります。


★悲しいことに、それは、Bachへの分析力、理解力の不足の結果、

その自覚もないまま、常識的な書法からみて、

逸脱して書かれているようにみえる、

Bach の独創的な、音楽構造の根幹を成す部分を、

独善的に、狭いあまりに狭い“常識という鉋”で、

削って、“手直し”してしまうのです。

その結果、無惨な改竄へと、つながっていく、

ということのようです。


★くれぐれも、海外の有名出版社の楽譜だから、

ということで、盲信なさらないでください。

さらに、日本の楽譜は、それらを模倣し、孫引きし、

コピペしたものが、多いでしょう。


★何度も繰り返しますが、 Bach を理解するには、

まず、 「Manuscript Autograph facsimile 自筆譜 」 、

そして、Edwin Fischer エドウィン・フィッシャー版、

Julius Röntgen ユリウス・レントゲン 版などの、

真の editor 編集者によるものを、お使いください。

Bach 先生が伝えたかったことが、いとも簡単に、

明快に伝わってきます。

そして、演奏しやすくなるのです。

 

 

 

 

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■第  3回  Invention・アナリーゼ講座
           Invention & Sinfonia №3 D-Dur

■日  時 : 2014年 11月19日(水)午前 10時 ~ 12時 30分

■会  場 : カワイ金沢ショップ、南町5-9 
        ( 尾山神社前 南町バス停より徒歩3分 )

■予約  :     Tel.076-262-8236 金沢ショップ
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■ 講師 :   作曲家  中村 洋子  Yoko Nakamura

東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

   2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。

   07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello
         無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
         Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
    CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN
                         ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』 を発表。

   08年: CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
       CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。

   08~09年: 「 Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien
                  Analysis  インヴェンション・アナリーゼ講座 」
                    全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。

   09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。
             10~12年: 「 Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
                  Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」
                全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。

   10年: CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
       「 Regenbogen-Cellotrios  虹のチェロ三重奏曲集 」 を、
             ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
      Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。

   11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
                         チェロ二重奏のための 10の曲集 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

   12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
    チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」を、
      Musikverlag Hauke Hack  Dortmund 社から出版。

   13年: CD 『 Suite Nr.4 & 5 & 6 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 4、5、6番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
           「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 3番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

         スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、
    自作品が演奏される。

  ★上記の 楽譜 & CDは、
「 カワイ・表参道 」 http://shop.kawai.co.jp/omotesando/ 
「アカデミア・ミュージック 」 https://www.academia-music.com/ で
販売中

 ★私の作品の CD 「 無伴奏チェロ組曲 第 1 ~ 6番 」
   Wolfgang  Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー演奏は、
  disk Union クラシック館で、購入できます。

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■今後のスケジュール

第4回  2014年 12/24 (水)  Inventio & Sinfonia     第4番

第5回  2015 年  1/14  (水)  Inventio & Sinfonia      第5番

第6回  2015 年   2/11(水・祝) Inventio & Sinfonia      第6番

第7回  2015 年   3/18      (水) Inventio & Sinfonia      第7番

                     各回とも、10:00-12:30

 

 

※copyright © Yoko Nakamura    
             All Rights Reserved
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

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■平均律1巻24番は、平均律第2巻へと、滔々と流れる■

2014-11-09 23:01:35 | ■私のアナリーゼ講座■

 平均律1巻24番は、平均律第2巻へと、滔々と流れる■
  ~Chopin  が見た平均律・アナリーゼ講座
     第24回  第 1巻 第 24番 ロ短調 前奏曲 と フーガ

                2014.11.09      中村洋子

 

 

★ 平均律クラヴィーア曲集第 1巻 24曲の、悼尾を飾る 「 24番 」。


その前奏曲は、晴れやかで幸福感に満ちた第 1番 C-Dur とは

対照的に、静謐さの中に、

“ 悲しみが滲み出る ” ような沈痛な曲。

キリストがゴルゴダの刑場に向かう、

重い足取りを、思い起こさせます。

 

24番 Preludeは、≪全音階の展開≫を、24番 Fugaは、

≪半音階の展開≫を、極めた曲である、といえます。

24番 Fugaの主題は、3小節もの長さをもち、

1オクターブの 12音すべてを含んでいます。

その構造を熟知してはじめて、24番を弾いたことになります。

24番が弾けませんと、平均律の他の23曲を、

理解したことにはなりません。

 

 

★平均律 24番の Preludeは、平均律第 1巻全 24曲の中では、

異色の曲です。

17小節と 18小節との間に、反復記号がありますので、

1 ~ 17小節を 2回演奏し、18 ~ 47小節 ( 曲の終わり ) を、

2回演奏します。


これは、「 binary form 」と呼ばれ、平均律第 2巻では、

半数近くがこの形式ですが、第 1巻では、この 24番のみです。

 

★Bachは、ここで平均律第2巻の作曲を決意し、

宣言した、とも言えます。


Bach の音楽は、四声体(soprano、 alto 、tenor、bass)を

基礎として作曲されています。

24番 Preludeは、一見しますと「三声」ですが、

それを「四声」として分析し、演奏しますと、

本当の姿が見えてくると思います。

私が四声体に直した24番を、実際にピアノで演奏し、

詳しくご説明いたします。

 

 

 

 

★Bach は、主題の三小節目後半の二分音符に、

トリルを自ら記入していますが、

Chopin は、それ以降に現れる主題にも、

たびたびトリルを書き記しています。

それが意味する重要なことを、お話いたします。

 

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■日時:2014年12月14日 午後2時~4時半

■会場:KAWAIミュージックスクールみなとみらい
 横浜市西区みなとみらい4-7-1 M.M.MID.SQUARE 3F
 ( みなとみらい駅『出口1番』出て目の前の高層ビル3F )

■ 予約: カワイミュージックスクール横浜
      
Tel. 045 - 261 - 7323

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■ 講師 : 作曲家 中村 洋子 Yoko Nakamura

  東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

   2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。

   07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello
         無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
         Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
    CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN
                         ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』 を発表。

   08年: CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
       CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。

   08~09年: 「 Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien
                  Analysis  インヴェンション・アナリーゼ講座 」
                    全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。

   09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。
             10~12年: 「 Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
                  Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」
                全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。

   10年: CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
       「 Regenbogen-Cellotrios  虹のチェロ三重奏曲集 」 を、
             ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
      Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。

   11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
                         チェロ二重奏のための 10の曲集 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

   12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
    チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」を、
      Musikverlag Hauke Hack  Dortmund 社から出版。

   13年: CD 『 Suite Nr.4 & 5 & 6 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 4、5、6番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
           「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 3番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

         スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、
    自作品が演奏される。

 

 ★上記の 楽譜 & CDは、
「 カワイ・表参道 」 http://shop.kawai.co.jp/omotesando/ 
「アカデミア・ミュージック 」 https://www.academia-music.com/ で
販売中

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   Wolfgang  Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー演奏は、
  disk Union クラシック館で、購入できます。

 

 

※copyright © Yoko Nakamura    
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■平均律1巻23番 Preludeに張り巡らされた牢固たる countepoint ■

2014-11-08 16:59:40 | ■私のアナリーゼ講座■

■平均律1巻23番 Preludeに張り巡らされた牢固たる countepoint ■
  ~ Chopin  が見た平均律アナリーゼ講座 23番 H-Dur ~
                 2014.11.8  中村洋子

 

 


★昨日は、「立冬」、朝晩の寒さをしみじみと感じます。

BerlinのWolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー先生から、

私の「Suite für Violoncello solo Nr.4

無伴奏チェロ組曲 第4番」を、

≪2015年1月に、Berlinで premiere 初演≫していただく、

という連絡が入りました。


★CDには収録されていますが、この曲は、

かなり高度な技巧を要するため、

先生は、ずっと練習を続けていらっしゃいました。

満を持しての、初演です。

これで、私の「 6 Suiten für Violoncello solo

無伴奏チェロ組曲 全 6曲 」がすべて、

Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー先生の、

premiere 初演となります。

 

 


★また、9月には、Berlinの女性チェリスト Susanne Meves-Rößeler

ズザンナ・メーフィス・ルーセラーさんが、私の

「 Suite für Violoncello solo Nr.1 無伴奏チェロ組曲 第1番」

を、演奏してくださいました。


■Musik für Cello und Klavier
Freitag, 12. September 2014
Galerie Spandow Berlin
Susanne Meves-Rößeler, Cello und Susanne Bigge, Klavier

・Yoko Nakamura Aus der Suite Nr.1 für Cello Solo
       V. Rice planter song 
       V.I. Gentle breeze  (2007)

・Franz Schubert (1797-1828)  
        Sonate für Klavier und Arpeggione a-moll D 821
-Pause-
・Frederic Chopin (1810-1849)  
   Aus der Sonate g-moll op.65
・Manuel de Falla (1876-1946)
   Suite Populaire Espagnole
  

 


明9日は、KAWAI横浜「みなとみらい」での、

「Chopin が見た平均律第1巻・アナリーゼ講座」 

Nr.23 第23番 H-Dur です。

平均律第1巻も、大詰めに近づいています。


★この講座では、新しい試みを提示いたします。

「三声」で記されている、この Nr.23  23番 Preludeを、

「四声」に割り振った曲としたらならば、どうなるか、

それを試みました

そのスコアをご覧になりながら、実際に私がピアノで音に出して、

お聴きいただきます。


★そこから、何が分かるのでしょうか?

例えば、冒頭第1小節目から5小節目の中間まで、

「soprano、 alto 、下声」の三声で、Bach は記譜していますが、

その 「下声」 が、 bass あるいは tenor のどちらであるか、

それを判断し、明確に意識して演奏しますと、実に、重厚な

四声体の音楽が、出現するのです。


★同様に、5小節目後半~6小節目最後までは、

「上声と下二声」 の三声で、記譜されています。

これは、単純に上声と tenor、bassというふうに、

振り分けられているのでは、ありません。


★bassを詳しく見ますと、これも二声に分割できるのです。

結局、この部分は「五声体」ということができます。


★このように分析していきますと、わずか19小節の Preludeが、

一見愛らしく、“小鳥のさえずり”のようにみえるのは、

美しい氷山のほんの一角を、感嘆して眺めているに

過ぎないということになります。


★海面下には、牢固とした素晴らしい骨格が存在し、

それに気付いていないだけ、とも言えます。

 

 


第1小節目を、もう一度詳しく見てみましょう。

soprano1、2、3拍目の冒頭音だけを取り出しますと、

≪h1, cis2, dis2,  シ、ド、レ≫という、三度の順次進行と、なります。

 


★その時、  altoに目を移しますと、それは、

≪dis1, e1, fis1, g1 ais1(2小節目) レ ミ ファ ソ ラ≫

と、なります。

 

 

さらに、1~2小節にかけてtieで結ばれた全音符

 

 

とを、≪dis1, e1, fis1, g1 ais1≫と繋げてみますと、

見事に、[ H-Dur ] の音階が構成されているのです。

溜息が出ます。

 

 


この音階が、次の平均律第1巻の最終曲 Nr.24 

24番 Prelude の、第1小節目  bass の感動的な 

[ h-Moll ]  の音階へと、発展していくのです。

 

 


★このように、 countepoint 対位法 の網が、

縦横無尽に、張り巡らされているのです。

この構造を理解すれば、Bach の音楽の本当の姿に、

触れることができると、思います。

 

 


Maurice Ravel モーリス・ラヴェル(1875~1937) の

≪Sonatine pour le piano ソナチネ≫ を、

今回のアナリーゼ講座で、取り上げますが、

近代音楽の粋のようなこのソナチネの、

最も Ravel らしい harmony が、実は、

Bach 由来であり、特にこの平均律1巻23番と、

あまりに類似性が多い点について、具体例を挙げ、

詳しくお話いたします。

 -----------------------------------------------

■「Chopin が見た平均律第1巻・アナリーゼ講座」
               
第23番 H-Dur

■日時:2014.11. 9 ( 日 ) 14時~16時30分 

■会場:KAWAIミュージックスクールみなとみらい
 横浜市西区みなとみらい4-7-1 M.M.MID.SQUARE 3F
 ( みなとみらい駅『出口1番』出て目の前の高層ビル3F )

■ 予約: カワイミュージックスクール横浜
      
Tel. 045 - 261 - 7323

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■ 講師 :   作曲家  中村 洋子  Yoko Nakamura

東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

    2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。

    07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello
         無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
         Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
    CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN
                         ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』 を発表。

    08年: CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
       CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。

    08~09年: 「 Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien
                  Analysis  インヴェンション・アナリーゼ講座 」
                    全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。

    09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。
          「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲第 3番 」が、
           W.Boettcher 氏により、Mannheim ドイツ・マンハイム で、
           初演される。

    10~12年: 「 Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
                  Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」
                全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。

    10年: CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
       「 Regenbogen-Cellotrios  虹のチェロ三重奏曲集 」 を、
             ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
      Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。

    11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
                         チェロ二重奏のための 10の曲集 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

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    チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」を、
      Musikverlag Hauke Hack  Dortmund 社から出版。

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                  無伴奏チェロ組曲 第 4、5、6番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
           「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 3番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

          スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、
    自作品が演奏される。

  ★上記の 楽譜 & CDは、
カワイ・表参道http://shop.kawai.co.jp/omotesando/ 
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