音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■Spain の若い Cellist Concours で、私の作品を演奏した方が優勝■

2014-06-30 21:06:20 | ■私の作品について■

■Spain の若い Cellist Concours で、私の作品を演奏した方が優勝■
~ Fuga には、鋼のように鍛え抜かれた、力強い Themaが不可欠~                                          2014.6.30       中村洋子

 

 

★7月 3日の KAWAI 表参道 「 平均律 第 2巻アナリーゼ講座 」 を前に、

「 16番 g-Moll  Prelude & Fuga 」 の勉強を進めています。

勉強すればするほど、「 Wohltemperirte Clavier Ⅱ

平均律クラヴィーア曲集 第 2巻 」 は、底知れないほど深く、

難しい曲集であることを、痛感いたします。

CDショップを覗きましても、平均律 1巻 に比べ、

平均律 2巻を録音している Pianist は、かなり少ない印象です。

当然かもしれません。

私自身、やっと、平均律 2巻の本当の勉強に踏み入った、

というのが、正直な心境です。


★これは、おそらく、あの Pablo Casals パブロ・カザルス(1876~1973)

であっても、毎日毎日、 Bach と切り結ぶように、

対峙していたのであろうと、
僭越ながら、そう思います。

 

 

 


★その Casals の故郷 Spain で開催されました、若い Cellist のための、

 「 Audition Final de curso de Violonchelo 」 (5th.June 2014)

concours コンクールで、私の作品を演奏した方が、1等に輝いた、

という嬉しい便りが、Berlin の、

Wolfgang Boettcher  ベッチャー先生から、届きました。


1er. Premio : Monica Aguilar Morgado e Isaias Rodriguez Garcia

1等:モニカ・アギュイラ・モルガド と イザイアス・ロドリゲス・ガルシアさん。

演奏曲目: “ Ein Spanisches Fest ” Duo de  Yoko Nakamura

Monica さんの写真がありますが、大変に美しい方です。

この方たちが、第二の Casals や Jacqueline du Pré に、

なって欲しいものです。

 

 

 

★この “ Ein Spanisches Fest ” Duo は、

「 Musikverlag  Ries & Erler  Berlin  リース&エアラー社 」 から、

出版されました私の 「 10 Duette für 2 Violoncelli
                          
チェロ二重奏のための 10の曲集 」 の、第 4曲目です。

日本でも、徐々に、この作品が演奏されるように、

なってきているようです。

これで、音楽が本当に好きになり、私の組曲も、

弾いていただけるようになれば、大変に嬉しいです。

 

 

 


★ここ数日は、平均律 第 2巻、 16番を勉強しているのですが、

資料づくりとは別に、思わず、 Bach の音楽の世界に、

うっとりと、ひたっている自分に気づくことも、よくあります。


★ Bach の Fuga は、一般的には 「 がちがちの countepoint 対位法 」 と、

レッテルを貼られているようですが、今回の講座では、

その類稀な美しい ≪ 和声 ≫ についても、詳しくご説明する予定です。


★この 16番 Fuga は、冒頭 tenor テノール の 「 一声 」 で、

「 Subject 主題 」 が始まり、次に、 alto アルト で 「 Answer 応答 」 が、

出現します。

その時、 tenor テノール 声部は、そのまま 「 Counter subject 対主題 」

となります。

その次に、3回目の Subject 主題の提示として、 soprano ソプラノ が、

 Subject 主題 を、奏します。


★そうしますと次は、 alto アルト がそのまま Counter subject 対主題

となり、 その瞬間から 「 三声 」 となるのです。

四回目の提示として、 bass バス 声部に Answer 応答 が出現し、

その際、 soprano ソプラノ が、 Counter subject 対主題 となり、

やっと、 ≪ 四声 ≫ が出揃うのです。

 

 


★これを ≪ 和声 ≫ の観点から眺めますと、最初の 「 一声部 」 では、

Subject 主題は、むきだしの旋律、旋律のみですので、

Bach が、そこにどういう和声をイメージしていたかは、

分からないのです。

それは、私たちが考えに考え抜いて、類推するしかありません。


★作曲家の立場からいいますと、 Subject 主題を創るということは、

今後のあらゆる展開に耐えうるように、鍛えに鍛え上げた

≪ Subject 主題としての旋律 ≫ が、必要なのです。

そうした逞しい旋律に、和声を完全に付けて、初めて、

「 Subject 主題 」 が、確立するものなのです。


★これは、実は、西洋音楽すべてに共通した方法です。

Bach は、下書きをほとんど残していませんが、

Beethovenは、スケッチ帳が残っており、

Thema テーマ を確定するまでに、どれだけ格闘していたことか、

その苦闘の軌跡が、見て取れます。

 

 


★ここで、 Subject 主題と  Thema テーマ との違いについて説明します。

曲の核となる旋律を Thema テーマ と呼びます。

 Thema テーマ という広い意味の言葉の中には、 Fuga での、

Subject 主題と Answer 応答も入り、

Beethovenのソナタ形式で、必ず出現する、

第1 Thema テーマ 、第2 Thema テーマ も、含まれます。


作曲家は、和声を確定したうえで、 Thema テーマ を作曲するのです。

盤石の体制で Thema テーマ を創ることが何より肝要なのです。

特に、 Fuga の場合、その Thema が上声になったり、下声、

あるいは内声となったりするため、どこに位置しても完全に機能するよう、

鋼のように鍛え抜かれた、力強い、美しい Thema でなければ、

展開途中で、空中分解し、瓦解してしまうのです。

音楽には、ならないのです。

 


Bach の  Fuga で、 むき出しに演奏されている

「 一声部 」 の Subject に、どういう和声を Bach は考えていたか、

それを、探求し、解明することが、

Bach に近づく第一歩でもあるのです。

 

 

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 第 13回  Bach 平均律 第 2巻 アナリーゼ講座

     第 16番 g-Moll BWV885 Prelude & Fuga

~ Chopinの Piano Concerto No.2は、

                                         16番を学び尽して生まれた ~

日  時 :  2014年 7月3日(木) 午前 10時 ~ 12時 30分

会  場 :  カワイ表参道  2F コンサートサロン・パウゼ

予    約  :    Tel.03-3409-1958

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■ 講師 :   作曲家  中村 洋子  Yoko Nakamura

東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

  2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。

  07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello
         無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
         Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
    CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN
                         ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』 を発表。

  08年: CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
     CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。

  08~09年: 「 Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien
                  Analysis  インヴェンション・アナリーゼ講座 」
                    全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。

  09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版

          「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲第 3番 」が、
           W.Boettcher 氏により、Mannheim ドイツ・マンハイム で、
           初演される。

  10~12年: 「 Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
                  Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」
                全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。

  10年: CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。

       「 Regenbogen-Cellotrios  虹のチェロ三重奏曲集 」 を、
             ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
      Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。

  11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
                         チェロ二重奏のための 10の曲集 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

  12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
    チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」を、
      Musikverlag Hauke Hack  Dortmund 社から出版。

  13年: CD 『 Suite Nr.4 & 5 & 6 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 4、5、6番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。

           「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 3番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

        スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、
    自作品が演奏される。

   ★上記の 楽譜 & CDは「 カワイ・表参道 」 http://shop.kawai.co.jp/omotesando/  

  「アカデミア・ミュージック 」 https://www.academia-music.com/ で販売中

 

 

 

  ★私の作品の CD 「 無伴奏チェロ組曲 4、 5、 6番 」

   Wolfgang  Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー演奏は、

   全国の主要 CDショップや amazon でも、ご注文できます。

  ★ disk Union クラシック館で、第1 ~ 6番を購入できます。

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※copyright © Yoko Nakamura    
             All Rights Reserved
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

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■3度 、 6度 の重音が、数多く出現する 16番 Fuga は、横紙破りの前衛■

2014-06-29 00:24:19 | ■私のアナリーゼ講座■

■3度 、 6度 の重音が、数多く出現する 16番 Fuga は、横紙破りの前衛■
~平均律 第 2巻アナリーゼ講座 は、 16番 g-Moll  Prelude & Fuga ~
                2014.6.29     中村洋子

 

 

★25日の 名古屋「 Invention Analyse アナリーゼ講座 」には、

たくさんの方が、遠方から、わざわざお出掛け下さいました。

また、「 Duo for Violoncello & Guitar 」 の初稿を、Berlin に送り、

少し、ホッとしているところです。

これから、奏者と打ち合わせて、最後の推敲に入ります。

読みたい本が山積みになっており、横目で眺めるだけなのが、

残念です。


★名古屋では、 「 Inventio & Sinfonia Nr.14 B-Dur 」 について、

お話しました。

B-Dur は、7月 3日 KAWAI 表参道「 平均律 第 2巻アナリーゼ講座 」の

「 16番 g-Moll  Prelude & Fuga 」 と、平行調の関係にあり、

≪ 近親調の中の近親調 ≫ という関係です


Invention Nr.14 は、 全 20小節です。

その中で、14小節から 16小節前半までの 2小節半にわたり、

上声と下声は、 10度音程 ( 1オクターブ + 3度 ) の差で、

全く、同じ旋律を奏します


★その間は、二声ではなく、

10度の重音による 「 一声」 のみである、と見ることもできます。


★これは、 countepoint 対位法 の音楽では、極めて異例です

長大な曲の途中で、 2小節半が、このような部分があるのでしたら、

まだ、分かりますが、

20小節しかない大変短い曲の中で、 2小節半は、

かなりの部分を、占めているのです。


★何故、 countepoint 対位法 で 「 異例 」 なのか、と言いますと、

≪ point counter point 点対点 ≫  が、 countepoint 対位法 であるならば、

そもそも、 point と point とが、異なった動きをしませんと、

「 countepoint 対位法 」 とはいえず、

単なる単声 ( 一声音 ) の、旋律である、としかいえないからです。

 

 


B-Dur と極めて近い関係の  「16番 g-Moll 」 に、目を移しますと、

 Fuga において、 45 ~ 49小節 1拍目までの、

アルトとテノール声部で、まるで、3度の重音のように、

ピッタリと一致した Subject 主題 が、奏されます。


51 ~ 55小節1拍目までも、同様に、 ソプラノとアルト声部で、

Subject 主題が、あたかも 6度の重音のように、奏されます。

59 ~ 62小節 1拍目までも、  Counter subject 対主題が、

ソプラノ と アルト声部で、 3度の重音のように、配置され、

同時に、テノールとバスも 3度の重音のように、ピッタリ一致して、

書かれています。


★以上は、ほんの一例です。

16番 Fuga は、  countepoint 対位法 の曲としては、

前衛的、あるいは革命的であると、

言わざるをえません。

 

 

 


★しかし、この16番だけを見ていては、 Bach 先生の意図は、

見えてきません。


16番での、上記の重音は、

17番 As-Dur  Prelude の冒頭 1小節の上声 

「 as1 」  と 「 c2 」 の重音へと、つながっていくのです。
  
この 「 as1 」  と 「 c2 」 の重音の下に、

 「 es1 」  も配置されますので、

この 3音で、≪ 主和音 ≫ が形成されます。

3つの独立した  countepoint の声部とは、見えません。


17番  Prelude には、この  1小節目のような 「 上声 3和音 」 が、

他にも  3、17、19、36、50、54、58小節などで、

多数、出現しています。


★更に、17番に続く  「 18番 gis-Moll  Prelude 」 は、

冒頭 1小節目で、バス、テノール、アルトによって和音が形成され、

その上に、ソプラノの旋律が奏でられます。

その後、 2小節目では、上声ソプラノとアルトが、

3度の重音です。

 

 


countepoint 対位法 の枠から飛び出したような、

このような横紙破りの書き方は、言ってみれば、

“ 衝動 ” が、もたらしたものかもしれません。

そこまでの ≪ 高揚感 ≫ がある、ともいえます。


★ちなみに、平均律 第 1巻の 第 10番 e-Moll Fuga の、

第 19小節 と 第 38小節には、 unison ユニゾン

( オクターブ音階で、同じ旋律を奏する)   の部分があります。

平均律 第 1巻 と 第 2巻 を通じて、

ユニゾンは、ここだけです。


★この  第 10番 e-Moll Fuga は 二声です。

上声と下声が、 unison ユニゾンとなりますと、

むき出しの旋律が、聴こえるだけとなります。

勿論、ここの二か所が、この 10番 Fuga の Höhepunkt

頂点なのです。


16番には、 unison ユニゾン はないものの、

3度 や 6度 の重音が、数えきれないほど、出現します。

それは、高揚感、緊張感が非常に長く、持続している曲である、

ということでもあるのです。

また、高揚感と同時に、 orchestra 的効果も、考えていると、

思われます。


Bach は、16番から 17、18番と、大きな構想をもって、

作曲していたのは、間違いありません。

自筆譜を、詳しく読み解くことから、

その意図を、解きほぐし、解明し、

Röntgen 版や Bartók版から、どう演奏すべきか考えることは、

この上なく、楽しい作業であり、

同時に、大きな喜びなのです。

 

 

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 第 13回  Bach 平均律 第 2巻 アナリーゼ講座

     第 16番 g-Moll BWV885 Prelude & Fuga

~ Chopinの Piano Concerto No.2は、

                                         16番を学び尽して生まれた ~

日  時 :  2014年 7月3日(木) 午前 10時 ~ 12時 30分

会  場 :  カワイ表参道  2F コンサートサロン・パウゼ

予    約  :    Tel.03-3409-1958

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■ 講師 :   作曲家  中村 洋子  Yoko Nakamura

東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

  2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。

  07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello
         無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
         Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
    CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN
                         ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』 を発表。

  08年: CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
     CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。

  08~09年: 「 Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien
                  Analysis  インヴェンション・アナリーゼ講座 」
                    全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。

  09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版

          「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲第 3番 」が、
           W.Boettcher 氏により、Mannheim ドイツ・マンハイム で、
           初演される。

  10~12年: 「 Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
                  Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」
                全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。

  10年: CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。

       「 Regenbogen-Cellotrios  虹のチェロ三重奏曲集 」 を、
             ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
      Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。

  11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
                         チェロ二重奏のための 10の曲集 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

  12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
    チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」を、
      Musikverlag Hauke Hack  Dortmund 社から出版。

  13年: CD 『 Suite Nr.4 & 5 & 6 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 4、5、6番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。

           「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 3番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

        スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、
    自作品が演奏される。

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  ★私の作品の CD 「 無伴奏チェロ組曲 4、 5、 6番 」

   Wolfgang  Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー演奏は、

   全国の主要 CDショップや amazon でも、ご注文できます。

  ★ disk Union クラシック館で、第1 ~ 6番を購入できます。

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■ Sinfonia 14番での、 Sequenz 反復進行の息を呑む美しさ ■

2014-06-23 17:23:55 | ■私のアナリーゼ講座■

■ Sinfonia 14番での、 Sequenz 反復進行の息を呑む美しさ ■
            ~ Inventionアナリーゼ講座 第14番のご案内~
            ~ 見事な解釈の Invention ≪ Toulouse  写本 ≫ ~

                2014.6.23   中村洋子

 

 

★今秋、ドイツで初演していただきます

「 Duo for Cello and Guitar チェロとギターの二重奏  」 の作曲で、

このところ、忙しくしております。


★演奏していただくのは、

Cello   : Susanne Meves-Rößeler ズザンネ メフェス レセラーさん、

Guitar  : Christian Kulke-Vandegen
          クリスティアン クルケ ファンデゲンさん。

Susanne さんは、Boettcher 先生のベルリン芸大での

愛弟子で、現在、ベルリンで活躍されています。

日本人並の小柄な方で、在学中、 Boettcher 先生は、

Susanneさんを  " princess " と、呼ばれていたそうです。

彼女は、私の作品の 「 Suite für Violoncello solo Nr.1 

無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 を、この5年間、いろいろなところで、

何度も、弾いていただいています。

お手紙に 「 The most success in the last 5 years I had is

in playing your Cello-Suite Nr.1 」 と、書かれていました。

 

 ★ギターの Christian さんは大変な大男、

195 ㎝ もあるそうです。

体に合わせ、通常よりも大きいサイズの、

8弦ギター  (deep C and D) を、弾かれます。

チェロに負けない、パワフルな音量だそうですので、

とても楽しみです。

 

 


6月 25日は、KAWAI 名古屋で、

第 14回  「 Bach  Invention アナリーゼ講座 」  を、

開催いたします。


★講座では、まず ≪ Bach の自筆譜 ≫ から何が学べるか、を

最優先に、お話いたします。

それに加え、今回は、 Bach が亡くなってから 約 5年後の、

1755年頃に書き写され、その後、1993年になって、フランスの

Conservatoire National de Région de Toulouse

トゥールーズ音楽院 の  Biblioteque Musicale で発見されました

Inventionの 「 写本 」 ≪ Toulouse  写本 ≫ も、参照します。


★この ≪ Toulouse  写本 ≫ は、とても興味あるものです。

 Bach の自筆譜を、極めて忠実に、写しています。

例えば、 音部記号を、ヘ音記号からアルト記号に変更する点や、

符尾の位置などについては、 Bach そのものです。


しかし、レイアウトは、大胆に変更しています。

独自の解釈をしたうえでの、変更です。

闇雲に、変えたのではありません。

そのレイアウトから、この写し手が、Bach の音楽を、

深く深く、理解していたことが、一目瞭然です。

大変、立派な音楽家であったことは間違いありません。

興味が尽きない写本である、といえます。

末尾に  「 Darnkohler 」  という、署名があります。

 

 


★ Bach の和音は、 Sequenz( 反復進行 ゼクエンツ )と、

結びついた時、
その類稀な美しさを、存分に発揮します。

それを、完全に自家薬籠中のものにしたうえで、

「 Suite bergamasque ベルガマスク組曲 」 などの作品に、

消化していったのが、Claude  Debussy 

クロード・ドビュッシー  (1862~1918)です。


≪ Invention & Sinfonia 第 14番 ≫  は、

豊かな和声の Sequenz ( 反復進行 ゼクエンツ ) に、

満ちています。

音楽の表情や、 Höhepunkt 頂点  を形作っていくうえで、

決定的役割を、果たしています。


★例えば、 Sinfonia 14番 ( 全体 24小節 ) で、

曲最後の頂点 Höhepunkt を形作っている、

22、 23小節 を見てみましょう。


★22小節の Sequenz 反復進行を、自動的に繰り返しますと、

実は、このようになります。

 

  

 


★しかし、 Bach はご存じのように、

本来あるべき1小節を削除し、

このように、作曲しました。

 

 

 ★この省略された小節について、聴く人は、 “ こうであろう ”  

 

と、予想するのに対し、

実際は、想像を上回る高い音の

「 b2 」 ( B-Dur の主音 ) から始まる、

実に美しい下行音階で、始まります。

  

 ★この意外性、それと同時に、

この曲の Höhepunkt 頂点を形作る、

息を呑むような美しさ、見事さ。

圧巻です。

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● 中村洋子・ Bach Invention アナリーゼ講座

■ 第 14回  Invention & Sinfonia  第14番  B-Dur
~ ドビュッシー「ベルガマスク組曲」の和声は、
                                          
 14番から最大限に吸収 ~

日時 : 2014年 6月 25日(水) 10:00 ~ 12:30
会場 : KAWAI 名古屋2F コンサートサロン「 ブーレ 」
予約 : Tel 052 -962 -3939  Fax 052 -972 -6427

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■ 講師 :   作曲家  中村 洋子  Yoko Nakamura

東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

  2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。

  07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello
         無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
         Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
    CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN
                         ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』 を発表。

  08年: CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
     CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。

  08~09年: 「 Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien
                  Analysis  インヴェンション・アナリーゼ講座 」
                    全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。

  09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版

          「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲第 3番 」が、
           W.Boettcher 氏により、Mannheim ドイツ・マンハイム で、
           初演される。

  10~12年: 「 Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
                  Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」
                全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。

  10年: CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。

       「 Regenbogen-Cellotrios  虹のチェロ三重奏曲集 」 を、
             ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
      Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。

  11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
                         チェロ二重奏のための 10の曲集 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

  12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
    チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」を、
      Musikverlag Hauke Hack  Dortmund 社から出版。

  13年: CD 『 Suite Nr.4 & 5 & 6 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 4、5、6番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。

           「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 3番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

        スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、
    自作品が演奏される。

   ★上記の 楽譜 & CDは「 カワイ・表参道 」 http://shop.kawai.co.jp/omotesando/  

  「アカデミア・ミュージック 」 https://www.academia-music.com/ で販売中

 

 

 

  ★私の作品の CD 「 無伴奏チェロ組曲 4、 5、 6番 」

   Wolfgang  Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー演奏は、

   全国の主要 CDショップや amazon でも、ご注文できます。

  ★ disk Union クラシック館で、第1 ~ 6番を購入できます。

 -------------------------------------------------------

 

 

※copyright © Yoko Nakamura    
             All Rights Reserved
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■ドイツ Oelde で、私の Piano solo Works が premiere初演される■

2014-06-19 20:12:34 | ■私の作品について■

■ドイツ Oelde で、私の Piano solo Works が premiere 初演される■

~欧州に日本を初紹介した Kaempfer ケンペル にちなむ Exhibition で~

                2014.6.19    中村洋子

 

 

★梅雨です。

紫陽花の花が、日ごとに、青さを増していきます。

ベルリンの 「 Musikverlag  Ries & Erler  Berlin  リース&エアラー社 」

から出版されます、私の 「 Suite für Violoncello solo  Nr.2、 Nr.4

無伴奏チェロ組曲 2、 4番 」 の校訂がほぼ終わり、

Nr.5、 Nr.6 の 1回目の校訂が済みました。

これを基に、さらに校訂を重ね、優れた楽譜となりますよう、

作曲家、編集者、演奏家、出版社が、

ベストを尽くしている最中です。


5月 22日、ドイツ北西部 Nordrhein-Westfalen

ノルトライン = ヴェストファーレン州  「 Oelde エルデ 」 という都市の、

「 Museum für Westfälische Literatur 」 で、演奏されました、
http://www.kulturgut-nottbeck.de/13798.0.html
http://de.wikipedia.org/wiki/Museum_f%C3%BCr_Westf%C3%A4lische_Literatur_Haus_Nottbeck
http://www.kulturgut-nottbeck.de/13792.0.html

私の Piano solo Works ピアノ作品について、

奏者の pianist Yumi Tajima 田島有美 さんから、

お聴きになった方の感想などが、送られてきました。

 

 

 


★この Concert は、博物学者  「 Engelbert Kaempfer 

エンゲルベルト ケンペル ( ケンプファー ) (1651-1716)  」 

にまつわる品々の
「 Exhibition 」 Opening Ceremony として、

開催されました。


■Kaempfer ケンペルは、ドイツ北部 レムゴー出身の医師、博物学者。
ヨーロッパで、日本を初めて体系的に記述した『日本誌』の原著者。
1690年(元禄3年)、オランダ商館付の医師として、約 2年間出島に滞在した。1691年と翌年、二度にわたって江戸に上がり、「生類憐みの令」で有名な、将軍・徳川綱吉にも謁見した。滞日中、精力的に日本に関する資料を収集した。 『日本誌』の草稿である「Heutiges Japan今日の日本」を執筆していたが、1716年、ケンペルはその出版を見ることなく死去。

■1727年、遺稿を英訳させたスローンにより、ロンドンで出版された『日本誌』(The History of Japan)は、仏語、オランダ語にも翻訳された。ドイツの啓蒙思想家Dohmドーム が、甥ヨハン・ヘルマンによって書かれた草稿を発見、1777‐79年にドイツ語版(Geschichte und Beschreibung von Japan)が出版された。
 
■ 『日本誌』は、特に仏語版(Histoire naturelle, civile, et ecclestiastique de I'empire du Japon)が出版されたことと、ディドロの『百科全書』の日本関連項目の記述が、ほぼ全て『日本誌』を典拠としたことから、知識人の間で一世を風靡、ゲーテ、カント、ヴォルテール、モンテスキューらも愛読し、19世紀のジャポニスムへと繋がってゆく。
絶滅したと考えられていたイチョウが日本に生えていることも報告。
ケンペルに遅れること約140年後、日本に渡ったシーボルトにも大きな影響を与えた。

■ケンペルは著書の中で、日本には、聖職的皇帝(=天皇)と世俗的皇帝(=将軍)の「二人の支配者」がいると紹介した。その『日本誌』の中に、付録として収録された日本の対外関係に関する論文は、徳川綱吉治政時の日本の対外政策を肯定したもので、『日本誌』出版後、ヨーロッパのみならず、日本にも影響を与えることとなった。
 

■『日本誌』のオランダ語第二版(De Beschryving Van Japan)(1733)を底本として、志筑忠雄は1801年(享和元年)、この付録論文を訳し、「鎖国論」と名付けた。本来の題があまりに長かったため、文中から「鎖国」という言葉を取り上げ、題名とした。日本語における「鎖国」という語は、ここから誕生した。

■スローンが購入した「ケンペル収集品」の大部分は、大英博物館が所蔵している。ドイツに残っていた膨大な蔵書類は、差し押さえにあい、散逸してしまった。ただし彼のメモや書類はデトモルトに現存する。

 

 


★このように、日本を最初に体系的に紹介した Kaempfer

ケンペル ( ケンプファー )に関する 「 展示 」 にちなみ、

≪ 是非、日本人作曲家の作品を演奏して欲しい ≫ という依頼が、

ことし二月、Yumi Tajima 田島有美さんに主催者からあったそうです。


★≪ 私の作品をお弾きになりたい ≫ という、

有美さんからの、嬉しいご依頼に応え、

Ceremony にふさわしい曲を選び、今回の趣旨に合うよう、

作り変える作業を、2ヶ月ほど続けました。


★有美さんの夫  Violinist  Takahiro Tajima 田島高宏さんは、

Nordwestdeutsche Philharmonie

北西ドイツフィルハーモニー管弦楽団の  concertmaster

コンサートマスターです。

この夏、お二人で帰国し、Sapporo Symphony Orchestra

札幌交響楽団の concertmaster に就任されます。

Nordwestdeutsche Philharmonie 北西ドイツフィルハーモニー管弦楽団は、

私の尊敬する、作曲家で指揮者の Hermann Scherchen

ヘルマン・シェルヘン ( 1891 - 1966 )  が、

1959 ~ 1960年に、主席指揮者を務めたオーケストラです。

 

 


Opening Ceremony では、 „ Der Tanz vor dem Shōgun “

“ 将軍の前でダンス ” という題で、

Kaempfer の日本へ到達するまでの来歴、

日本での活動と研究、江戸時代の日本文化、生活様式などを、

ケンペルの見聞と重ねながら説明され、その区切り区切りで、

私の曲を、有美さんが Piano ピアノ独奏されました。

-------------------------------------------------------------------------------

★ Program:
Ausstellungseröffnung   
"Der Tanz vor dem Shogun"   
Lesung mit Hans Peter Hallwachs  
im Kulturgut Haus Nottbeck Oelde am 22. Mai 2014
ABLAUF   

Grüßwort
   
1. Musik:  aus Japanisches Wandererlied-Variationen für
Klavier Thema-Var.1 Moderato-Var.2 allegro con fuoco

2. Lesung: Einführung und Heuss
3. Lesung: Flucht aus der Gefangenschaft 1684 

4. Musik:  the Ise-Ondo

5. Lesung: Nacht auf dem Meer 1690  
6. Lesung: Vorrede zum Japan-Werk 1712 

PAUSE

7. Musik:  Variationen über Hietsukibushi  
Thema, Andante tranquillo - Var.1 - Var.2 Allegro

8. Lesung: Affenpossen 1691  
9. Lesung: Gedichte1691 

10. Musik:  Heisei Etenraku for Piano solo Lento

Musik von der Komponistin Yoko Nakamura
Pianistin: Yumi Tajima

 

------------------------------------------------------------------------------

 

 


★演奏会は、とても好評だったそうです。

有美さんが直接、お聴きになった感想を送って下さいました。

ご紹介させていただきます。


■"pentatonische Melodie und Klänge haben mich in die Ferne begleitet,
aber gleichzeitig kommt die Musik zu uns im Herzen ganz nah durch
vielseitige musikalische Nuancen. Zum Beispiel habe ich manche Klänge
durch Debussy oder andere Komponisten ganz nah gefunden,
obwohl die motivische Melodie aus ferner Ost stammte."

ペンタトニックのメロディーと響きが、遠く(遥か東の日本)へと
導いてくれた。それと同時に、この音楽は様々な音楽的な
ニュアンスによって、私たちの心にとても近く感じられた。
例えば、(中村洋子さんの)作品のある一部の響きから、
ドビュッシーや他の西洋の作曲家を、連想することができ、
モチーフのメロディは、遥か遠くのものであるにもかかわらず、
親近感をもって迫って来た。

                          ( 田島有美訳 )

■"Die Musik hat mich so beeindruckt. Auch das Programm fände ich
ganz besonders. Es war unbeschreiblich gute Gefühl zwischen
Freundlichkeit, Ernst, Leichtigkeit, Schwer und Einfachheit..."

音楽にとても感動した。(4曲で構成された)プログラムも
絶妙に思えた。

それは言い表すことのできない、親しみ、厳しさ、軽やかさ、重み、
そして、
簡潔さの間にある、なんとも幸せな気持ちであった。
                       (
田島有美訳 )


■「 無駄の一切無い音楽、エッセンスの詰まった作品、
                                                 
いとおしく思います 」  
                                                                          
(有美 )

 

 


★私のピアノ作品が、このような由緒ある場で、

ドイツ初演されたことに、言い知れぬ感動を、覚えます。

 

 



 


 

 

 ★私の作品の CD 「 無伴奏チェロ組曲 4、 5、 6番 」

 

  Wolfgang  Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー演奏は、

 

   全国の主要 CDショップや amazon でも、ご注文できます。

 

 ★ disk Union クラシック館で、第1 ~ 6番を購入できます。

 

 

 

 

※copyright © Yoko Nakamura    
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■ Chopin の楽譜書き込みは、アナリーゼそのもの 、「□」記号の意味■

2014-06-17 15:55:17 | ■私のアナリーゼ講座■

Chopin の楽譜書き込みは、アナリーゼそのもの 、「□」記号の意味■

 ~Chopin が見た 平均律アナリーゼ講座 第 20回 のご案内~
      
   第 1巻 第 20番 イ短調 a-Moll

                                              2014.6.17       中村洋子

 

 

 

明るく晴れやかな 19番 A-Dur Prelude の冒頭は、

「 a - h - cis 」 の16分音符であるのに対し、

20番 a-Moll の Prelude は、「 a - h - c 」 のメランコリックな、

短3度に変容しています。

冒頭の下声も、19番は下行半音階、20番は「 A 」の保続音。

とても対照的です。

 

★舞曲を思わせる 20番 Prelude は、わずか 28小節です。

87小節の長大な Fuga に比べ、短くみえますが、

バランスがとれていない訳では、決してありません。

 

★Bach の自筆譜を見ますと、 Prelude 20小節目までを、

1ページ 6段 で記譜し、

残り 8小節は、2ページ目に 3段で記譜しています。

3段目は、27小節の 7、8、9拍目と 28小節目のみですが、

そこで終わることなく、すぐに、

その横から「 Fuga 」を、書き始めています。

 

 

何故、このような極めて異例な「レイアウト 」にしたのでしょうか?

19番から 20番の Prelude を見ますと、

答えは、自ずから出てきます。

そして、 Bachが、どのように20番を演奏して欲しかったかも、

分かってきます。

 

Chopin 所蔵の『平均律 』楽譜には、

20番に、「×」 と 「 □ 」 の記号が、

たくさん、書き込んであります。

「 × 」 は、テーマを意味することも多いのですが、

「 □ 」 は、何のために、記したのでしょうか。

それについての私の考察を、講座でじっくりお話いたします。

 

★それを理解しますと、Chopin ショパン が、

この20番をどのように解釈し、理解し、演奏し、

それを自分の作曲にどう役立てていたか、

実に、よく分かります。

 

 

----------------------------------------------------------------------------------------------------

■日 時 : 2014年 13日 (  午後 2  4 30

■会 場 : KAWAIミュージックスクール「みなとみらい」        

    横浜市西区みなとみらい4-7-1 M.M.MID.SQUARE 3F

    ( みなとみらい駅『出口 1番』出て目の前の高層ビル3F )

■予 約 :  Tel.045-261-7323 横浜事務所

     Tel.045-227-1051 みなとみらい直通

-------------------------------------------------------------------

■ 講師 :   作曲家  中村 洋子  Yoko Nakamura

東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

 2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。

 07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello
         無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
         Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
    CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN
                         ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』 を発表。

 08年: CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
     CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。

 08~09年: 「 Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien
                  Analysis  インヴェンション・アナリーゼ講座 」
                    全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。

 09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版

         「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲第 3番 」が、
           W.Boettcher 氏により、Mannheim ドイツ・マンハイム で、
           初演される。

 10~12年: 「 Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
                  Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」
                全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。

 10年: CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。

      「 Regenbogen-Cellotrios  虹のチェロ三重奏曲集 」 を、
             ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
      Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。

 11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
                         チェロ二重奏のための 10の曲集 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

 12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
    チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」を、
      Musikverlag Hauke Hack  Dortmund 社から出版。

 13年: CD 『 Suite Nr.4 & 5 & 6 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 4、5、6番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。

          「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 3番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

       スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、
    自作品が演奏される。

  ★上記の 楽譜 & CDは「 カワイ・表参道 」 http://shop.kawai.co.jp/omotesando/  

 「アカデミア・ミュージック 」 https://www.academia-music.com/ で販売中

 




 

 ★私の作品の CD 「 無伴奏チェロ組曲 4、 5、 6番 」

  Wolfgang  Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー演奏は、

   全国の主要 CDショップや amazon でも、ご注文できます。

 ★ disk Union クラシック館で、第1 ~ 6番を購入できます。

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                                                               ( 鶺鴒 )

 

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■深く失望した Afanassiev の Beethoven ピアノソナタ演奏■

2014-06-14 21:11:50 | ■私のアナリーゼ講座■

■深く失望した Afanassiev の Beethoven ピアノソナタ演奏■

      2014.6.14     中村洋子

 

 


16日 開催の、 KAWAI横浜 「 みなとみらい 」

≪ Chopin が見た平均律アナリーゼ講座≫ は、第 1巻 19番ですが、

19番  Fuga との関連で、Beethoven の Piano Sonata 31番 

Op.110 As-Dur についても、お話しする予定です。


★この Sonata を勉強していましたところ、ちょうど、 来日中の、

 Valery Afanassiev  ヴァレリー・アファナシエフ ( 1947~ ) が、

30、31、32番の 三曲 を弾く演奏会を開くのを知り、

聴きに行ってまいりました。


結論から申しますと、その演奏に、深く失望いたしました。

昨年 6月から 7月にかけ、当ブログで、 Afanassiev の

 「 ピアニストのノート 」 という著書を、ご紹介いたしました。

その本の中で、 Afanassiev が鋭く批判していたピアニストと、

そっくりなピアニストに、 Afanassiev 自身がなってしまっていた、

のです。


★コンサートのパンフレットに書かれた、大げさな宣伝文句を、

見ました時、多分、彼が知らないところで書かれているのでしょう、

と思いながら、演奏会に出かけました。

 

 


★私は、 20年以上前から、彼の演奏会を、たびたび聴いて来ました。

特に、「 東京の夏音楽祭 」 での、 Beethoven のピアノ三重奏「大公」の

演奏は、いまでも思い出すほど、見事な演奏でした。

疾走したいチェロの Brunello ブルネロ、

一音ずつ、ゆっくりと味わいたい Afanassiev 、

その二人を、巧みに制御するヴァイオリンの Ehnesエーネス。

ピアノトリオの醍醐味が、味わえました。


★ずいぶん前のことですが、 Beethoven  Piano Sonata 

" Tempest " No.17 d-Moll Op.31- 2  の演奏も、

忘れられない名演でした。

冒頭部分での、精緻なペダルの技術を解明したいと思い、

最前列で見ていましたが、あまりよく分かりませんでした。

優れた、超一流のペダルでした。

えもいわれぬ神秘的な、詩的な、

まさに、 Beethoven の世界が繰り広げられました。


★という訳で、 Beethoven 最後の Piano Sonata 三曲に、

期待を込めて、演奏会に臨みました。

三つのソナタの調性、 E-Dur、 As-Dur、 c-Moll の関連性は、

Beethoven が意図して選択したものであることは、

言うまでもありません。

その三曲を、一晩で弾くことは、素晴らしいアイデアです。

 

 


★七、八年ぶりに見ました Afanassiev の容貌に、まず、驚きました。

顔はむくみ気味、体形も布袋様のようでした。

その様変わりに、動転しました。

舞台袖から、Pianoまで、つかつかと歩き、そのまま弾き始める

ピアニストは少なからずいますが、彼の場合は、心の準備をして、

Piano に歩み寄るのではなく、座ると同時に、

なげやり、とでも言いたくなるような弾き方で、

実にぞんざいに、演奏を始めました。


30番 の冒頭は、 Pachelbel パッヘルベルや、

Bach に源流をもち、Verdi ヴェルディ (1813-1901) の

「 La traviata 椿姫 」 にもつながるような、

≪ 和声の美の極致 ≫ とも言うべき、進行なのです。

かつて、あの 「 Tempest 」 を弾いた Afanassiev でしたら、

どれだけ、秘術を尽くして、この冒頭を弾くであろうか、

と期待していました。


★しかし、そうした期待は、無残に打ち砕かれました。

荒れ狂ったような、乱雑な、乱暴な演奏でした。

彼の、叩きつけるだけの forte に、音楽的意味は、

見出せませんでした。


★Beethoven の煉瓦を積み重ねていくような、構築性も、

悲しいことに、全く、見えませんでした。

 

★暗譜も、不正確でした。

 

★ペダルも大変に雑で、ペダルを離す際、「 ギー 」 という音すら、

何度も聞こえました。

それは、楽器のせいか、調律のせいか、ピアニストのせいか、

分かりませんが、名演奏家と言われる人は、たとえ、どんなに

悪い状態の楽器でも、それをコントロールし、

最善を尽くすことが、できる人なのです。

自分の著書で批判していたピアニストと、同じようなピアニストに、

自分がなっていた、と言わざるをえません。

 

 


★日本全国、どのホールでもいえることですが、

日本にある Steinway スタインウェイピアノは、

かつての人類の至宝のような、マエストロたちが弾いていた、

あの Steinway スタインウェイとは別物でしょう。


★これは、Arthur Rubinstein ルービンシュタイン(1887~1982)や、

Horowitz ホロヴィッツの調律をした調律師が、指摘しているように、

時として、“ ガラスの割れる ” ような、

堪えがたい音すら出すピアノでも、あるようです。


★そのような理由から、私は最近、 Piano recital には、

あまり、近づきません。

その代わり、往年のマエストロの CDを、家で聴いています。


★ Afanassiev の演奏会では、偶然に知人のピアニストが隣席でした。

私は、彼女に

「 あなたの若い生徒さんが、この演奏を聴いていたとしたら、

ピアノはいいな!!、音楽はなんと素晴らしいだろう!!

と、果たして感じたでしょうか? 」 と、尋ねました。


★前回のブログで、ご紹介しましたように、

 Wilhelm Furtwängler ヴィルヘルム・フルトヴェングラー

(1886 - 1954)は、亡くなった1954年に、

≪ Matthäus-Passionマタイ受難曲 ≫ を、録音しています。

この録音は、彼の集大成であると同時に、

西洋音楽史が凝縮されている、と言えるほどの、

珠玉の演奏です。


Furtwängler は、死の数年前から、

耳の病や、体の不調が続いていました。

しかし、この ≪ Matthäus-Passionマタイ受難曲 ≫ の演奏で、

一切の妥協がない、至高の世界を創造しました。


★そして、68歳で亡くなりました。

Afanassiev はいま 66歳、たとえ体調不良だったとしても、

この二人の落差の大きさには、嘆息せざるをえません。

 

 

第19回 Chopin が見た「平均律アナリーゼ講座」第1巻「 第 19番イ長調」

日  時 : 2014年 616 午前 10 時00分 12 30

会  場 :  カワイミュージックスクールみなとみらい        

      横浜市西区みなとみらい4-7-1 M.M.MID.SQUARE 3F

      ( みなとみらい駅『出口 1番』出て目の前の高層ビル3F )

予   約   : Tel.045-261-7323 横浜事務所

          Tel.045-227-1051 みなとみらい直通

 

 

※copyright © Yoko Nakamura    
             All Rights Reserved
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■Beethoven Pianosonate Nr.28 Op.101に宿る Bachの countepoint 対位法 ■

2014-06-11 21:38:41 | ■私のアナリーゼ講座■

■Beethoven Pianosonate Nr.28 Op.101に宿る Bachの countepoint 対位法 ■


                                     2014.6.11     中村洋子

 

 


6月 16日、「 KAWAI 横浜みなとみらい 」 で開催いたします

「 Chopin が見た平均律アナリーゼ講座 」は、第 1巻 19番 A-Durです。

同時に、Beethoven  Pianosonate 「 Nr.28 A-Dur Opus 101

ピアノソナタ 28番 」 についても、詳しくお話する予定です。


Opus 101 の、 「 自筆譜 」 を勉強しますと、

Beethoven が、どのようにこの曲を作曲したか、そして、

どう演奏していたか、どのように演奏される事を望んでいたかが、

実によく、分かってきます。

ちょうど、Chopinの自筆譜から、Chopin自身の演奏がどのようであったか、

類推できるのと同じです。

 

 


★まず、 Opus 101の第 1楽章の冒頭 2小節を見てみます。

ここだけでも、Beethvenの自筆譜は、本当に沢山のサインを、

発信しています。


★私の所有する Henle版の楽譜 ( 2007年刊 ) では、

冒頭 1~ 2小節の 「 crescendo記号 」 と 「 diminuendo記号 」

は、それぞれ一ヶ所ずつしか、記されていません。

具体的には、大譜表の 「 高音部譜表 」 (ト音記号で記譜している右手部分)と、

「 低音部譜表 」 (ヘ音記号で記譜している左手部分)とで囲まれた

≪ 空間≫ に、各々 1個ずつしか、記されていません。

この記譜通りに、演奏しますと、

右手で演奏される上声も、左手で演奏される下声も、全く同じ表情になります。

のっぺらぼうな、単調な演奏になります。

そこには、 Beethoven が望んだ 「 countepoint 対位法 」 が、

見当たらないのです。


 

 


右手の上声、左手の下声、と書きましたが、実はこの曲は、

右手が二声、左手が二声を担当している ≪ 四声 ≫ で始まっているのです。

ちょうど 「 弦楽四重奏 」 のイメージです。


★そして、Beethovenは、実は、上声と下声に、

別々の crescendo記号 と diminuendo記号 を、記入しているのです。

ト音記号で記譜される高音部譜表の上に、

一対の crescendo記号 と diminuendo記号、そして、

ヘ音記号で記譜される低音部譜表の下に、

もう一対の crescendo記号 と diminuendo記号 が、記されています。

 

 


★上声の上にある、 crescendo記号について、詳しく見てみましょう。

8分の 6拍子の 1楽章 1小節目は、1拍から  crescendo が始まり、

6拍目まで、続きます。


2小節目に目を移しますと、Beethovenは、

1拍目の音を、小節線から、すこし空間を開け、右寄りに記しています。

本来、 1拍目が奏される位置には ≪ 空白 ≫ が、生じています。

その時、 crescendo は、どうなっているでしょうか?

 

★図で書きましたように、crescendo の二本の線は、平行を保ち、

当初の crescendo された状態を、保っていることが分かります。

crescendo でも、 diminuendo でもないといえます。

非常に、稀有な記譜です。

それだけに、 Beethoven の 「 平行を保つ 」 という、

強い意志が感じられます。

 

 


★実用譜の 「 cresc. 」 の記譜法ですと、 1小節目は、

2小節目 「 e2 」 を目指して、ずっと  「 cresc. 」 していきます。

しかし、自筆譜では、2小節目 「 e2 」 が頂点ではなく、

1小節目 6拍目の 「 cis2 」 で達した頂点を、

2小節目 「 e2 」 の 2音まで保つように、指示しています。


下声の下方の、 crescendo についても、詳しく見てみましょう。

 「 cresc. 」 は 1小節目 1拍目から始まり、 2小節目の 2拍目まで続きます。

しかし、バス声部は 、 「 E音 」 が保続音として、1小節目 1拍目から、

2小節目 3拍目までタイで結ばれ、 2小節目 4拍目で再度、

4分音符の 「 E音 」 が奏されます。

いずれにせよ、本来ピアノという楽器では、一度打鍵した後の音を、

crescendo することはできません。


Beethovenは、ここでは、Cello チェロの持続音を、

イメージしていたと、思われます。

そして 2小節目の 2拍目まで続いた 「 cresc. 」 が、

2拍目から 「 diminuendo 」 になりますが、

これは、アルト声部を担当している 「 fis1 」 と 「 h1 」、

そして 「 gis1 」 に付けられた 「 dim. 」 と考えれば、

疑問が、氷解します。


★この 2小節間の、 「 cresc. 」 と 「 dim. 」 の意味を、

考えることにより、

この素晴しい Sonta ソナタを、どう弾き始めたらよいか、

大きなヒントが、得られます。

Beethoven が弾いたであろう、豊かな countepoint 対位法 の音楽が、

湧きでてくることでしょう。

実用譜通りに弾いては、決して、到達できないでしょう。

 

 


★何故、この冒頭 2小節を、 Beethoven がここまで考え抜いたか・・・

講座では、それを Bachの 「 平均律 1巻 19番 」 と、照らし合わせ、

ご一緒に、考察いたします。

ここからも、Beethoven が  Bachの 「 対位法counterpoint 」  を、

咀嚼し尽したうえで、作曲していたことが、明快に分かってきます。

 

★一例としまして、1小節目テノール声部の

「 e - dis - d - cis 」 の下行半音階  motif は、

Beethven 自筆譜の 3段目冒頭の 9小節目、そして続く 10小節目のバス

「 Gis - A - Ais - H 」 の上行半音階 motif に対して、

≪ 拡大反行カノン ≫ として、対応しているのです。

実は、この技法は、Bachの作品によく出現する技法なのです。

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第19回 Chopin が見た「平均律アナリーゼ講座」第1巻「 第 19番イ長調」

日  時 : 2014年 6 16 午前 10 時00分  12 30

会  場 :  カワイミュージックスクールみなとみらい        

      横浜市西区みなとみらい4-7-1 M.M.MID.SQUARE 3F

      ( みなとみらい駅『出口1番』出て目の前の高層ビル3F )

予   約   : Tel.045-261-7323 横浜事務所

          Tel.045-227-1051 みなとみらい直通

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■ 講師 :   作曲家  中村 洋子  Yoko Nakamura

東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

 2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。

 07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello
        無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
        Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
     CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN
                         ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』 を発表。

 08年:CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
    CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。

 08~09年: 「 Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien
                  Analysis  インヴェンション・アナリーゼ講座 」
                    全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。

 09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

         「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲第 3番 」が、
           W.Boettcher 氏により、Mannheim ドイツ・マンハイム で、
           初演される。

 10~12年: 「 Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
                  Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」
                全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。

 10年: CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。

      「 Regenbogen-Cellotrios  虹のチェロ三重奏曲集 」 を、
             ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
      Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。

 11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
                         チェロ二重奏のための 10の曲集 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

 12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
    チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」を、
      Musikverlag Hauke Hack  Dortmund 社から出版。

 13年: CD 『 Suite Nr.4 & 5 & 6 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 4、5、6番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。

          「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 3番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

       スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、
    自作品が演奏される。

  ★上記の 楽譜 & CDは「 カワイ・表参道 」 http://shop.kawai.co.jp/omotesando/  

 「アカデミア・ミュージック 」 https://www.academia-music.com/ で販売中

 




 

 ★私の作品の CD 「 無伴奏チェロ組曲 4、 5、 6番 」

  Wolfgang  Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー演奏は、

   全国の主要 CDショップや amazon でも、ご注文できます。

 ★ disk Union クラシック館で、第1 ~ 6番を購入できます。

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※copyright © Yoko Nakamura  
             All Rights Reserved
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

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■Brahmsの弘法の一筆のような推敲で、Händelヴァリエーションが劇的に変化■

2014-06-04 01:55:12 | ■私の作品について■

■Brahmsの弘法の一筆のような推敲で、Händelヴァリエーションが劇的に変化■
               2014.6.4   中村洋子

 

 

ドイツの 「 Jugend Musiziert  」  www.jugend-musiziert.org

「 青少年音楽コンクール 」 で、私の ≪ 10 Duette für 2 Violoncelli 

2台チェロのための10のデュエット ≫ や、

≪ Zehn Phantasien für Celloquartett 

チェロ四重奏のための10のファンタジー ≫ が、演奏されています。

このコンクールは、ドイツ国内のみならず、

国際的にも、高く評価されています。

 


★ことし 5月 5日、Boettcher先生から頂きましたお手紙には、

 By chance I saw two young cellists going to

the competition:Jugend musiziert: 

and asked them, what are you going to play?

Nakamura, they answered.          

と、書かれていました。

 

★5月 13日の、Hauke  Hack  さんからのお手紙にも、

 I also heard a young celloquartet in Jugend musiziert in Essen,

who played one of your Quartets; it was very nice.                      

という報告が、ありました。


★Hauke Hackさんは、この 「 Zehn Phantasien für Celloquartett 」 を、

出版された 「 Musikverlag Hauke Hack  Dortmund 社 」 の、

オーナーで、ご自身も cellist チェリストです。

 


★ベルリンの リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から,

近く出版されます、私の ≪ 無伴奏チェロ組曲 2番と、4番 ≫ の、

校訂がほぼ終わり、 ≪ 5番 、 6番 ≫ の校訂へと移りました。

 

 


★今月は、16日 ( 月 ) が、 KAWAI  横浜・みなとみらいで、

「 Chopin が見た平均律 1巻・アナリーゼ講座 」 で、

19番 A-Dur イ長調 を、勉強いたします。


6月 25日(水)は、 KAWAI 名古屋で、

第14回 「Bach  Invention ・アナリーゼ講座」で、

 第14番 B-Dur を、お話いたします。


7月 3日 (木 ) は、 KAWAI 表参道で、

「 平均律 2巻・アナリーゼ講座 」第 16番 g-Moll  Prelude & Fuga 

を、ご一緒に勉強いたします。


★ Invention インヴェンションと、平均律 1巻、2巻を、

集中して勉強できることは、私にとりましても、

とてもよい機会です。


★そして、これら講座では、副題に掲げました、

Beethoven の 「 Klaviersonate  Op. 101  A-Dur 」 と、

平均律 1巻・ 19番 A-Dur との関係。

Invention 第14番 B-Dur と、 「 Suite bergamasque 

ベルガマスク組曲 」 との関係、そこから、

Debussy ドビュッシーの特徴的な和音が、実は、

 Bach に多くを負っていることが、ここから、

よくお分かりになると思います。


★また、 Chopin の名作 「 Piano Concerto  No.2  Op.21 」 が、

平均律 2巻 第 16番  g-Moll  を学び尽した結果として、

生まれ出た、ということを考えることにより、

Bach、 Beethoven、 Chopin、 Debussy へと連なる天才の系譜から、

生きた音楽史を、辿ることができると思います。

 

 


★多忙な中で、Johannes Brahms ブラームス (1833~1897)  の

≪ Variationen und Fuge über ein Thema von Händel op.24

ヘンデル・ヴァリエーション ≫ の自筆譜を読んで、楽しんでいます


★Brahms が  Clara Schumann クララ・シューマンに贈り、

現在は米国議会図書館に所蔵されている、

自筆譜のファクシミリ版です。


★贈り物にする楽譜ですから、丁寧に美しく書かれていますが、

それでも更に、鉛筆で書き込みや、推敲がなされていて、

なるほど! と、膝を打ちたくなるところもたくさんあります。


★例えば、4分の4拍子の Var.1、

 第 1変奏の 13小節目 2拍目の左手部分は、

「 F - B 」 の 8分音符ですが、

これは鉛筆で、推敲されたものだったことを、

自筆譜を見て、発見しました。


そうなる前は、 「 B 」 の 8分音符の後は、

「 b - f 」 の 16分音符だったのです。

 

 

 

この変更により、何が変わったのでしょうか?

初稿の 「 B - b - f 」 ですと、この 2拍目の和音は、

 ≪ tonic トニック ≫ になります。

1拍目は、≪ dominant ドミナント ≫ です。

そして、2拍目は ≪ tonic トニック ≫ 、

更に続く 3拍目は、また ≪ dominant ドミナント ≫ ですから、

「 dominant  -  tonic  -  dominant  」 の順番で、

規則的で、お行儀のよい音楽になります。

 

推敲後の、 ≪ F - B の 8分音符 ≫ になりますと、

この 2拍目は、拍の前半が、 属七の和音 ( dominant )です。

 

拍の後半は、主和音( tonic ) となりますが、

 

耳で聴きました印象は、1、 2、 3拍そして 4拍目の頭部まで、

 

属和音 ( dominant ) が、ずっと続く様に聴こえます。

 

≪ dominant ドミナント ≫ が続く、ということは、

≪ tonic トニック ≫ に、解決したいという、

強い方向性が、形作られます。

そして、1、2、3、4拍 の拍頭の音がすべて 「 F 」 ですので、

「 F - F -  F - F 」 の  ≪ repeated notes ≫ が生まれます。

この ≪ repeated notes ≫ は、あたかも、

保続音を4つに分割して、4回 「 F 」 を奏したように聴こえます。

4回 「 F 」 がありますと、急き立てられたような効果が生まれます。

 

★この ≪ repeated notes ≫ は、

Bach 平均律 2巻 16番  g-Moll の  Fuga の、

主題の  ≪ repeated notes ≫ と、

同じ性格を、宿しているともいえるのです。

 

 


そして、4番目の repeated notes  「 F 」  が終わったところから、

素晴らしい 「 三声 の counterpoint 対位法 」  が、

始まるのです。

 

★弘法の一筆のような、この推敲で、

場面が劇的に変化し、

傑作となったのです。


★また、皆さまがお持ちの実用譜で、私が書き写した図の

左手部分を、見てください。

Brahmsは、左手を 「 二声 」 に、キチンと書き分けていますが、

皆さまの楽譜は、そうなっていないのではないでしょうか。

「 自筆譜 」 を読むことは、

作曲家の肉声にも譬えられる「 作曲意図 」 を、

手に取るように、読み取ることができる、

という醍醐味が、得られることです。

 

 

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■ 講師 :   作曲家  中村 洋子  Yoko Nakamura

 東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

 

 2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。

 

 07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello
        無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
        Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
     CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN
                         ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』 を発表。

 

 08年:CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
    CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。

 

 08~09年: 「 Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien
                  Analysis  インヴェンション・アナリーゼ講座 」
                    全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。

 

 09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

 

         「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲第 3番 」が、
           W.Boettcher 氏により、Mannheim ドイツ・マンハイム で、
           初演される。

 

 

 

10~12年: 「 Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
                  Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」
                全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。

 

 

 

10年: CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。

 

 

 

     「 Regenbogen-Cellotrios  虹のチェロ三重奏曲集 」 を、
             ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
      Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。

 

 

 

11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
                         チェロ二重奏のための 10の曲集 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

 

 

 

12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
    チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」を、
      Musikverlag Hauke Hack  Dortmund 社から出版。

 

 

 

13年: CD 『 Suite Nr.4 & 5 & 6 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 4、5、6番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。

 

 

 

         「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 3番 」 を、
    ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

 

 

 

      スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、
    自作品が演奏される。

 

 

 

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 ★私の作品の CD 「 無伴奏チェロ組曲 4、 5、 6番 」

 

  Wolfgang  Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー演奏は、

 

   全国の主要 CDショップや amazon でも、ご注文できます。

 

 ★ disk Union クラシック館で、第1 ~ 6番を購入できます。

 

 

 

※copyright © Yoko Nakamura    
             All Rights Reserved
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