音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■第 3回フランス組曲アナリーゼ講座、第 5番 ジーグ& 第 2、4番 エアー

2013-02-19 17:53:19 | ■私のアナリーゼ講座■

■中村洋子 Bach フランス組曲 アナリーゼ講座■

第 3回 「フランス組曲 第 5番 ジーグ& 第 2、4番 エアー」

          ~ 組曲の華ジーグと、地味ながらも要のエアー ~

 

                           2013.2.19  中村洋子

 

 

★第1、2回のアナリーゼ講座では、「 フランス組曲 5番 」 の

Allemande アルマンド、Couranteクーラント、

Sarabande サラバンド、Gavotteガヴォット、

Bourréeブーレ、Loureルールの6曲を、

順を追って、みてまいりました。

 

★今回は、最終曲の Gigueジーグをじっくりと取り上げます。

この曲は、単独でも取り上げられることが多い有名な曲で、

Myra Hessマイラ・ヘスの名演があります。

なぜ、親しまれているかは、

Debussy ドビュッシーの 「 花火 」 や 「 喜びの島 」 が、

愛好されているのと、実は、同じ理由なのです。

 

★Edwin Fischer エドウィン・フィッシャーは、

フランス組曲の校訂版の序文で、

組曲(舞曲の連続)は本来、大編成の器楽曲のための

形式であったが、そこから段々とソナタやシンフォニーが、

発展していった、と書いています。

つまり、鍵盤楽器のための様式ではなかった、ということです。

フランス組曲 を詳細に勉強しておりますと、あたかも、

Beethovenのソナタやシンフォニーを見ているような気がします。

それだけ内容が濃く、 Bach の対位法が縦横無尽に、

張り巡らされているのです。

 

 

 

★終楽章のジーグは、組曲全体を統合し、

華麗に締めくくる舞曲です。

ジーグを勉強することにより、 Bach の組曲をさらに深く、

学ぶことができます。

 

★フランス組曲の 2番と 4番に組み込まれている舞曲の

「 Air エアー 」 は、 Bach の入門曲としても有名です。

一見、優しく地味な印象を受けますが、

同時期に作曲された  「Invention インヴェンション 」 の様式を、

色濃く投影しており、

そこに フランス組曲 の本質が、隠されています。

 

■ 日  時 :  2013年 3月 28日(木) 午前 10時 ~ 12時 30分

■ 会  場 :  カワイ表参道 2F コンサートサロン・パウゼ

■ 講師:作曲家 中村 洋子

東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

2003年~ 05年:アリオン音楽財団《東京の夏音楽祭》で新作を発表。

07年:自作品「無伴奏チェロ組曲第 1番」などをチェロの巨匠W.ベッチャー氏が演奏したCD『W.ベッチャー日本を弾く』を発表。
08年:CD「龍笛&ピアノのためのデュオ」、CD ソプラノとギターの「星の林に月の船」を発表。

08~09年:「バッハのインヴェンション・アナリーゼ講座」全15回を開催。
09年10月:「無伴奏チェロ組曲第 2番」が、W.ベッチャー氏によりドイツ・マンハイムで初演される。

10~12年:バッハ平均律クラヴィーア曲集第1巻の全曲アナリーゼ講座 (24回)を、カワイ表参道で開催。

10年:「 無伴奏チェロ組曲第 1番 」が、ベルリンのリース&エアラー社 Ries &Erler Berlin から出版される。
    CD『 無伴奏チェロ組曲第3番、2番 』 W.ベッチャー演奏を発表。
   「レーゲンボーゲン・チェロトリオス ( 虹のチェロ三重奏曲集 )」が、ドイツ・ドルトムントのハウケハック社 Musikverlag Hauke Hack 社から出版される。

11年4月:「10 Duette fur 2 Violoncelli  チェロ二重奏のための10の曲集 」が、 ドイツの「 Ries & Erler  Berlin 、リース&エアラー社 」から出版される。スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、自作品が演奏される。

12年12月:Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5) チェロ4重奏のための10のファンタジー(第 1巻、1~5番)が、ドイツ・ドルトムント Musicverlag Hauke Hack社から出版される。

 ●上記の楽譜とCDは、「 カワイ・表参道 」 http://shop.kawai.co.jp/omotesando/

「 アカデミア・ミュージック 」 https://www.academia-music.com/  で、販売中

 

 

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■安曇野の味噌醤油、Berlin近郊で Cello Solo Nr.1 の演奏■

2013-02-11 18:12:57 | ■私の作品について■

■安曇野の味噌醤油、Berlin近郊で Cello Solo Nr.1 の演奏■

                           2013. 2. 11   中村洋子

 

 

★本日は、長野県松本市 ( 旧南安曇郡梓川村 ) にあります

「 上嶋 ( かみじま ) 醤油醸造場 」 の若奥様・美也子さんから、

うれしいお電話を、いただきました。

私と Boettcher ベッチャー先生との CDをお聴きになり、

とても感動された、というお話でした。

上嶋さんのお醤油と味噌は、私のもっとも好きな調味料の

一つです。

 

★香り高いお醤油は、透明度が高く、お皿に数滴垂らしますと、

美しい淡茶色をしていますが、お醤油を瓶ごと陽光にかざしますと、

赤紫に、怪しく光ります。

お醤油が、どうして昔から 「 むらさき 」 と呼ばれてきたのか、

その理由が、すぐに分かります。

 

★やや赤みのあるお味噌は、

芳醇な香りに、満ちています。

送って頂いたばかりのお味噌の封を、開けますと、

暫し、陶然とします。

伸び伸びと育った酵母たちが、体から溢れんばかりに

発散させている甘さ、まろやかさ、

きりりとした穀物の風味、

それらが混然一体となり、私の体を包み込みます。

 

★このような醸造文化を育んだ、

日本の大地という深みに、吸い込まれ、

一瞬、太古への旅をしたような錯覚すらいたします。

おいしい味噌汁をいただくたびに、

日本人でよかった、といつも思います。

化学物質ゼロ、麹と塩、大地の恵みの大豆、小麦だけで、

昔通りに、愛情を込めて作りますと、このように感動的な

「 作品」 が、生まれるのですね。

 

 

 

★上嶋さんとは、もう20年以上のお付き合いですが、

送っていただくその季節により、香りと味が微妙に、

変わります。

本物の証拠でしょう。

美也子さんは、violin ヴァイオリンを嗜まれるそうです。

 

★Boettcher ベッチャー先生から、1月に頂いた手紙の続きです。

1月17日、厳寒のなかを、先生は奥様と一緒に、

お弟子さんの Susanne Meves-Rößeler さんの

コンサートに、行かれました。

Susanneさんは、私の 「 無伴奏チェロ組曲 1番 」 を、

演奏してくださり、大変好評だったそうです。

 

 

 

 

★彼女はハンブルク生まれ。

ベルリン芸大で、Boettcher 先生に学び、

ハンブルク モーツァルトオーケストラや、

ベルリンの ドイツ シンフォニーーオーケストラで、経験を重ね、

ベルリンのいろいろな室内楽アンサンブルのレギュラーメンバー

として、活躍中。

会場は、ベルリン近郊の、旧東ドイツだった

Klein-Machnow という町で、Boettcher ベッチャー先生は、

幼年時代、ここで過ごされたそうです。

http://www.cello-berlin.de/susanne/

Die gebürtige Hamburgerin Susanne Meves-Rößeler
studierte in der Klasse von Professor Wolfgang Boettcher
an der Hochschule der Künste Berlin Violoncello.
Seit dem ist sie regelmäßig mit verschiedenen
Kammermusikensembles in Berlin zu hören.
Sie sammelte Orchestererfahrung im Hamburger
Mozartochester sowie im Deutschen Symphonie-Orchester Berlin.
Sie ist Dozentin für Cello an den Musikschulen
Tempelhof-Schöneberg und City-West,

 



 

★2月は、19日に KAWAI 表参道で、 「 Französische Suite

フランス組曲 5番・anlyzeアナリーゼ講座 」 を開きます。

現在、Bach の 「 組曲 Suite  」 とは何かを

徹底的に、考えています。

フランス組曲のように、鍵盤楽器の作品は、

もともと和声付けされた音楽ですが、ソロのチェロ組曲や

ヴァイオリン組曲は、奏者がその和声を探求し、

その和声が聴衆に分かるように、

弾かねばなりませんので、

より難しい世界といえます。

これにつきましては、今後のブログで書く予定です。

 

 

 

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■年末年始にドイツで、私の作品が演奏されました■

2013-02-03 20:16:06 | ■ 感動のCD、論文、追憶等■

■年末年始に、ドイツで私の作品が演奏されました■

        ~ Yumi &Takahiro Tajima ~               

                            2013.2.3       中村洋子

 

 

★きょうは、 2月 3日の 「 節分 」 です。

風がやや強いものの、穏やかな一日でした。

昨夜、北海道で起きました 「 M 6.5 」 の地震は、

遠く離れた東京でも、かなり揺れ、久しぶりに動揺いたしました。

31日の茨城県北部( M 4.7)、1日の千葉県北西部( M 4.4 )と、

三夜連続して、東京はかなりの規模の地震に、

見舞われたことになります。


★年末年始に、ドイツで、

私の作品が、何回か演奏されました。

遅くなりましたが、少しづつ、ご紹介いたします。

 

 

★2012年 12月 30日

West-fernöstliche Begegnungen

(西と極東との遭遇)という催しが、

ドイツの Enger で、開催されました。

■ Deutsch-Japanischer Abend

「 ドイツと日本の夕べ 」 というコンサートで、

私の作品 「 Japanisches Wandererlied - Variationen

für  Cello und Klavier 」

Cello : Yukiko Ogawa-Müller、

Klavier  :  Yumi Tajima、 

Gemeindehaus  Enger  30. Dezember  2012 が、

演奏されました。

 

 

★このコンサートではその他、

Mozart : Klaviersonate C-Dur KV 545や、

Moritz Moszkowski (1854~1925) :

Valse Brillante As-Dur, 

Hisatada Otaka : Nocturne für Cello und Klavier

なども、演奏されました。

 

★新年を前に、日本文化の紹介も兼ねた企画でした。

ドイツは、小さな地方都市でもこのように、

他国文化と自国とを比較し、

体験する地道な企画が、なされているのですね。

 

★pianist Yumi Tajima ピアニスト田島有美さんの夫の、

violinist Takahiro Tajima 田島高宏さんも同日、

Engerで、violin ヴァイオリンのリサイタルを、

開催されています。

Takahiro Tajima 田島高宏さんは、

Sapporo Symphony Orchestra 札幌交響楽団の

concertmaster コンサートマスターを経て、

現在、Die Nordwestdeutsche Philharmonie

北西ドイツフィルハーモニーの concertmaster を、

務められています。

Berliner Philharmoniker ベルリンフィルハーモニーの、

元コンサートマスター、Rainer Kussmaul

ライナー・クスマウルの、お弟子さんです。

 

★昨年夏、Takahiro さんから、この Deutsch-Japanischer

Abend で、Yumi さんが演奏される曲目についての、

ご相談があったのが、ご縁の始まりです。

 

★現在、ドイツ Herford にお住まいで、Duoのコンサートもされ

ており、これから私の作品も演奏してくださる予定で、

とても楽しみです。

有美さんとは、まだお会いした事はないのですが、

送っていただくメールは、いつもとても心がこもっていて、

CD-Rで聴かせて頂いた、当日の演奏と同様、

素晴らしい方だと思います。

 

 


★今月は、19日(火)に 表参道 KAWAI・パウゼで、

「 第 2回 Französische Suite フランス組曲・アナリーゼ講座 」、

27日(水)に 名古屋 KAWAI・ブーレで、

「 第 10回 Invention ・アナリーゼ講座 」 を開催します。

「 Französische Suite フランス組曲 5番 」 と、

「 Inventio und Sinfonia

インヴェンションとシンフォニア 10番 G-Dur 」

について、詳しく分かりやすくお話する予定です。


★この 二つは、調性が同じ 「 G-Dur 」 であるだけでなく、

驚くような共通点が、あります。

ほぼ同時期に完成された、という理由だけではありません。

Bachが counterpoint 対位法と、舞曲とを統合して、

Bach その人の芸術を創り上げた時期だったのです。

講座では、その点について、丁寧にご説明いたします。


★Bach の舞曲については、Boettcher ベッチャー先生が、

≪ Es ist ein Kosmos an Musik ≫ とおっしゃっているように、

音楽の、大きな宇宙なのです。

少なくとも、当時の衣装を身に着け、民族舞踊を研究しましても、

Bach や Chopin の舞曲を理解することは、無理でしょう。

 

 

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