2007/4/20(金)
★4月15日に開きました「シューベルト・アナリーゼ講座」は、満員となり、
受講生の皆さまから“とてもいい内容”という評価をいただきました。
前回の「ブラームス講座」で、私が説明いたしました“ブラームス・トーン”の源流が、
「シューベルトの音楽」の中の「どこにあるか」、それを探る講座でした。
★「シューベルト」から、「シューベルトを発見した」シューマン、さらに
シューマンから、「シューベルトの宝を引き継いだ」ブラームスへと、
「19世紀のウィーン」は、まさに、音楽の本流が滔々と流れ続けた町でした。
バッハ、ベートーベン、モーツァルト、ブラームスと大作曲家は、
幼少の頃から英才教育を受けていますが、父親や、兄を師とすることが多く、
シューベルトのように、幼児期からサリエーリのような
超一流の音楽家に、師事していませんでした。
★シューベルトは、「3度の関係の転調」を、創造しましたが、
多様性に富む3度の関係を、詳細に研究しますと、分厚い大論文が書けるほどです。
シューベルトがもし、論文を書くような人でしたら、超一流の理論家となっていたことでしょう。
しかし、彼はそれを説明なしに、続々と自作品に投入したため、
それを一般に理解してもらうのには、大変な時間を要しました。
あるいは、現在でも理解されていないかもしれません。
★もし、私がシューベルトの同時代人で、彼の即興曲の楽譜を見ましたら、
「この転調は、あちこちに飛んで、混乱している。
もう少し整理して、書き直せば、さらによい曲になる」と、思ったかもしれません。
★しかし、シューマンやブラームスなどの天才は、「3度の転調」の原理を、きちんと理解し、
黙って、自分の曲の中に、それを取り込んでいったのです。
ふんだんに取り込んでいったのです。
シューベルトが、“確信犯”のように、この転調を使えたのは、
彼が“サリエーリから古典音楽をすべて吸収した”、という自信があったためです。
迷わず、彼独自の転調を繰り出していったのです。
すべて古典を勉強した、という自信があれば、
大胆に新しい試みに、乗り出すことができるのです。
古典の中に隠れている小さな萌芽を、つまみ上げ、
それを発展させていった、ともいえるかもしれません。
その意味では、シューマンなどが、シューベルトから“養分”を引き出していったのと同様です。
晩年の即興曲には、見事なバッハの痕跡も見受けられます。
★シューベルトから、音楽の養分を吸い尽くしたのは、シューマン、ブラームス、
そして、シェーンベルクにつながるウィーンの音楽家だけではありません。
ポーランドから、ウィーンを経て、パリに向かった「ショパン」も、
シューベルトから、別な鉱脈を探し当てています。
★シューベルトは、膨大な舞曲を書き、それをエクササイズにして、
「即興曲」という、新たな世界に辿り着きました。
ショパンも、同様に、ワルツやマズルカの舞曲を実験曲とし、
それをバラードやソナタなどの、大規模な作品に結実させています。
また、シューベルトの創造した「即興曲」という形式を
ショパンは、そのまま使って書いております。
★ショパンは、「シューベルト的転調」の領域には、ほとんど踏み込みませんでした。
一見、ショパンの和声や転調は新しそうですが、実は古典的で、
分かりやすいドミナント進行の和声による転調を、多用しています。
ショパンの人気の秘密は、ここにあるのです。
結局、ショパンは、舞曲集という「様式」を、継承していきました。
★また、シューベルトは、「ユニゾン」のもつ偉大な効果を、発見しました。
例えば、1818年(21歳)作曲のD625「ヘ短調ソナタ」第3楽章アレグロのユニゾンは、
ショパンの「第2番ソナタ」の終楽章に現れるユニゾンに、強い影響を与えた、と
ヴィルヘルム・ケンプが「Shubert's Hidden Treasures」で指摘しています。
★その後、即興曲やワルツなどの形式と精神は、フランスの「フォーレ」にも受け継がれ、
フォーレの弟子の「ラヴェル」を通し、フランス音楽のなかで、大輪の花を咲かせるのです。
7月22日(日)の第10回アナリーゼ講座は、このショパンについて、お話いたします。
■ 閑 話
★休憩時間に、いつもお話しておりますピープルツリーのドライフルーツを3種、
おやつとして、皆さんと一緒にいただきました。
マンゴー、バナナ、パイナップルで、
「とても美味しい」と喜んでいただけました。
パイナップルは、輪切りにしてあり、押し花にしたヒマワリのようです。
バナナは、見かけは固そうですが、淡い甘さで柔らかい噛み心地。
(一般のバナナスライスは、油で揚げ、防腐剤や加糖処理されていますが、
ピープルツリーの製品は、スライスして天日で干しただけです)
甘酸っぱいマンゴーが美味しいのは、言わずもがなです。
太陽を一杯浴びた無農薬フルーツが、直接、産地から運ばれるため、
中間搾取がなく、生産者と消費者の両方にメリットが大きく、
生産者のお子さんが、その収入で学校に行けると思いますと、
二重にうれしい気持ちです。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
★4月15日に開きました「シューベルト・アナリーゼ講座」は、満員となり、
受講生の皆さまから“とてもいい内容”という評価をいただきました。
前回の「ブラームス講座」で、私が説明いたしました“ブラームス・トーン”の源流が、
「シューベルトの音楽」の中の「どこにあるか」、それを探る講座でした。
★「シューベルト」から、「シューベルトを発見した」シューマン、さらに
シューマンから、「シューベルトの宝を引き継いだ」ブラームスへと、
「19世紀のウィーン」は、まさに、音楽の本流が滔々と流れ続けた町でした。
バッハ、ベートーベン、モーツァルト、ブラームスと大作曲家は、
幼少の頃から英才教育を受けていますが、父親や、兄を師とすることが多く、
シューベルトのように、幼児期からサリエーリのような
超一流の音楽家に、師事していませんでした。
★シューベルトは、「3度の関係の転調」を、創造しましたが、
多様性に富む3度の関係を、詳細に研究しますと、分厚い大論文が書けるほどです。
シューベルトがもし、論文を書くような人でしたら、超一流の理論家となっていたことでしょう。
しかし、彼はそれを説明なしに、続々と自作品に投入したため、
それを一般に理解してもらうのには、大変な時間を要しました。
あるいは、現在でも理解されていないかもしれません。
★もし、私がシューベルトの同時代人で、彼の即興曲の楽譜を見ましたら、
「この転調は、あちこちに飛んで、混乱している。
もう少し整理して、書き直せば、さらによい曲になる」と、思ったかもしれません。
★しかし、シューマンやブラームスなどの天才は、「3度の転調」の原理を、きちんと理解し、
黙って、自分の曲の中に、それを取り込んでいったのです。
ふんだんに取り込んでいったのです。
シューベルトが、“確信犯”のように、この転調を使えたのは、
彼が“サリエーリから古典音楽をすべて吸収した”、という自信があったためです。
迷わず、彼独自の転調を繰り出していったのです。
すべて古典を勉強した、という自信があれば、
大胆に新しい試みに、乗り出すことができるのです。
古典の中に隠れている小さな萌芽を、つまみ上げ、
それを発展させていった、ともいえるかもしれません。
その意味では、シューマンなどが、シューベルトから“養分”を引き出していったのと同様です。
晩年の即興曲には、見事なバッハの痕跡も見受けられます。
★シューベルトから、音楽の養分を吸い尽くしたのは、シューマン、ブラームス、
そして、シェーンベルクにつながるウィーンの音楽家だけではありません。
ポーランドから、ウィーンを経て、パリに向かった「ショパン」も、
シューベルトから、別な鉱脈を探し当てています。
★シューベルトは、膨大な舞曲を書き、それをエクササイズにして、
「即興曲」という、新たな世界に辿り着きました。
ショパンも、同様に、ワルツやマズルカの舞曲を実験曲とし、
それをバラードやソナタなどの、大規模な作品に結実させています。
また、シューベルトの創造した「即興曲」という形式を
ショパンは、そのまま使って書いております。
★ショパンは、「シューベルト的転調」の領域には、ほとんど踏み込みませんでした。
一見、ショパンの和声や転調は新しそうですが、実は古典的で、
分かりやすいドミナント進行の和声による転調を、多用しています。
ショパンの人気の秘密は、ここにあるのです。
結局、ショパンは、舞曲集という「様式」を、継承していきました。
★また、シューベルトは、「ユニゾン」のもつ偉大な効果を、発見しました。
例えば、1818年(21歳)作曲のD625「ヘ短調ソナタ」第3楽章アレグロのユニゾンは、
ショパンの「第2番ソナタ」の終楽章に現れるユニゾンに、強い影響を与えた、と
ヴィルヘルム・ケンプが「Shubert's Hidden Treasures」で指摘しています。
★その後、即興曲やワルツなどの形式と精神は、フランスの「フォーレ」にも受け継がれ、
フォーレの弟子の「ラヴェル」を通し、フランス音楽のなかで、大輪の花を咲かせるのです。
7月22日(日)の第10回アナリーゼ講座は、このショパンについて、お話いたします。
■ 閑 話
★休憩時間に、いつもお話しておりますピープルツリーのドライフルーツを3種、
おやつとして、皆さんと一緒にいただきました。
マンゴー、バナナ、パイナップルで、
「とても美味しい」と喜んでいただけました。
パイナップルは、輪切りにしてあり、押し花にしたヒマワリのようです。
バナナは、見かけは固そうですが、淡い甘さで柔らかい噛み心地。
(一般のバナナスライスは、油で揚げ、防腐剤や加糖処理されていますが、
ピープルツリーの製品は、スライスして天日で干しただけです)
甘酸っぱいマンゴーが美味しいのは、言わずもがなです。
太陽を一杯浴びた無農薬フルーツが、直接、産地から運ばれるため、
中間搾取がなく、生産者と消費者の両方にメリットが大きく、
生産者のお子さんが、その収入で学校に行けると思いますと、
二重にうれしい気持ちです。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲