音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■「月刊ショパン」2月号に、Bachなどの自筆譜について寄稿■

2019-01-16 23:57:18 | ■私の作品について■

■「月刊ショパン」2月号に、Bachなどの自筆譜について寄稿■
~Mozart を学ぶことはBachを学ぶこと、
     幻想曲とソナタ K475、K457は、対位法の宝庫と精華~
           

                            2019.1.16 中村洋子

 

 

                   (川に流れる大根葉)

 

★≪易水に根深流るる寒さ哉≫ 与謝蕪村(1716-1784)

易水は中国の河、「風蕭蕭として易水寒し。壮士ひとたび去って

復(ま)た還(かえ)らず」。

史記「刺客列伝」が下敷きになっているようですが、

これは、日本の冬景。


冷たく流れる小さな川に、根深(葱)が流れていく、という

もの寂しい風景。

寒さが伝わり、身に沁みます。

決して富貴な暮らしの活写でなく、貧しい庶民の生活風景。

そこはかとない暖かさと、おかしさを感じさせてくれる

蕪村ならではです。


明17日(木)は、冬の「土曜入り」です。

立春まであと18日です。

土用とは、「立春、立夏、立秋、立冬」の前の18日間を指します。

次の季節へ移る前の準備時期、季節の変わり目で、

四季に合わせて4回あります。

20日(日)は、大寒、寒さも底です。

 

 


雑誌「月刊ショパン」2月号に、私の原稿が掲載されます。

タイトル≪大作曲家の自筆譜から見えるもの≫
  副題:《大作曲家の自筆譜を勉強すれば、
                         その曲の構造、
演奏法まで分かります。
    実用譜から抜け落ちた作曲家の意図、息遣いまで描かれた、
    大作曲家の自筆譜に迫ります》
                         
★内容は、Bachの Invention、ゴルトベルク変奏曲の第25変奏、

平均律1巻第3番Cis-Dur、Chopinの前奏曲集第15番Des-Dur

(ニックネーム、雨だれ)についてです。


★1月18日発売、48~51ページに掲載されています、どうぞお読み下さい。http://www.chopin.co.jp/month.html   


フランスの出版社「フュゾー Fuzeau」の「ファクシミリ叢書」に、

絶版となる楽譜が大量にあることを、

アカデミアミュージック様から教えて頂き、

慌てて、何冊か求めました。


★なかでも、入手出来てつくづくよかった、と思いましたのは、

Mozart の「Fantasie et Sonate Pour le Forte-Piano
                    幻想曲とソナタ K475、K457」の

初版譜です。


Fantasie et Sonate Pour le Forte-Pianoは、1785年に、

ヴィーンの Artaria社から出版されました。

自筆譜は失われていますので、この初版譜で勉強すればするだけ、

この初版譜の貴重さが、身に沁みて分かります。

 

 


★Bach「ゴルトベルク変奏曲」の初版譜の勉強(これも自筆譜は不明)

と同じことが言えましょう。


★Fantasie K475の初版譜を、Edwin Fischer エドウィン・フィッシャー

(1886-1960)校訂版を道標に、読み解いていきますと、

この曲が、「Counterpoint 対位法 」の宝庫と精華であることに、

驚かされます。


★Beethoven ベートーヴェン(1770-1827)のパトロンであった

Karl Lichnowsky カール・リヒノフスキー侯爵(1761-1814)の弟である

Moritz Lichnowsky モーリッツ・リヒノフスキーは、

Bach作品の筆写譜を数多く持ち、

コレクションとしていました(1784年頃)が、

Mozart はそれを見て、勉強しています。


Mozartが、「Fantasie K475」を作曲した原動力は、

この筆写譜の勉強が基になっていることは、間違いないでしょう。

これにつきましては、機会がございましたら詳しく説明いたします。

 

 


★Mozart の「Fantasie et Sonate Pour le Forte-Piano

 K475、K457」に、話を戻しますが、

横長の楽譜にFantasie(Phantasia KV475)は、2~9ページに、

Sonata KV457 は、10~23ページに収録されています。

1ページ目は、表紙です。


★Fantasie(Phantasia KV475)は、≪Adagio-Allegro-Andantino-

Più Allegro-Tempo primo≫と、変遷していきますが、

冒頭ページ(2ページ)は、Adagio の1小節目から22小節目が、

1ページ5段のレイアウトで、書かれています。

1段目冒頭は、もちろん第1小節目

 

 

2段目冒頭は、6小節目です。

 

 

★2段目は、5小節目から始めたほうが、几帳面で整ったように

みえますが、何故、6小節目から始めたのでしょうか。

 

 


★1段目バスの、各小節冒頭音をつないでいきますと、

見事な、下行半音階が現れます。

 

 


★それに対し、2段目6小節に配置されている6~9小節目までの

4小節間の bass バス は、「As-As-A-B」の上行半音階。

 

 

それでは3段目に書かれている10~16小節目2拍目までは、

どんな意味をもっているのでしょう(4段目は、16小節目3拍目から記譜)。

 

 


★3段目バスは、「H-Ais-A-As-G-Ges-Fis」と、下行半音階。

「Ges」と「Fis」は、異名同音です。

 

 

10小節目は、1小節目の「c-Moll」に対し、「H-Dur」から始まっています。

 

 

しかし、この下声の冒頭三つの音「H-dis-fis」を、
異名同音で書き直しますと、

 

 

「Ces-es-fis」の「es-fis」は、1小節目「c¹-es¹-fis¹」と共通です。

そして、この重要な motif モティーフ「H-dis-fis」は、このページの

最後の小節、即ち、5段目右端の22小節目下声に、

見事な「h-Moll」となって、展開されています。

 

 

 

 

このページのレイアウトが、そのまま1~22小節の≪アナリーゼ≫に

なっているのです。

何とも、見事な楽譜です。

これにFischerの Fingering を解読しながら、楽譜を読み込んでいきますと、

Bachの「Counterpoint 対位法」 が、厳かにその真髄を現してきます。


Mozart を学ぶことは、Bachを学ぶことです。


★楽譜収集は、なかなかに費用がかさみますが、

≪Bachは「給料と副収入で楽に大家族を養い、貯金する余裕もあったが、
敢えてそうはしなかった。その代わりに、楽譜や楽器を買い、さらに、
野心作を演奏するための資金にしていたに違いない」≫
     (ヨハンセバスティアン・バッハ  クリストフ・ヴォルフ著)

 

 

          (日本一美味しいパン屋さん)

 

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■Berlinで私のCello+Piano Duo「Spanish Garden」が再演される■

2018-07-06 16:09:11 | ■私の作品について■

■Berlinで私のCello+Piano Duo「Spanish Garden」が再演される■
~平均律1巻8番の「空虚5度」は、Bachの作曲技法の真骨頂~
        ~英一蝶の「涅槃図」を見る~
                  2018.7.5   中村洋子

 

 

 


★≪日は天に夏山の木々熔けんとす≫
                      芥川龍之介

★先週は、記録的に暑い一週間でした。

7月に入りますと、長雨です。

七夕のお星さまは見えるのでしょうか。


★先週6月27日のカワイ名古屋の最終講座

「平均律第1巻8番アナリーゼ講座」から帰宅しますと、

ベルリンのWolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー先生

から、お便りとプログラムが届いていました。


★私の、チェロとピアノのデュオの為の作品

「Spanischer Garten / Spanish Garden」が、

この春のMannheim初演に続き、6月12日、Berlinベルリンで、

再演され、好評だったそうです。


★お手紙には、

『土曜日(6/16)、私たち(先生とUrsula Trede Boettcher先生)は、
ベルリンで、Spanischer Gartenを演奏しました。
多くのお客様(聴衆)が、この作品を大変気に入っていました。
プログラムは素晴らしく、Shostakovichショスタコーヴィチ、
Claude Debussy クロード・ドビュッシーの偉大な作品、
そして、愛らしい小品群です。
Busoniブゾーニ(1866-1924)の作品はチャーミングで、
Ursulaは、ブリリアント(輝かしく)に弾きました。
大阪で大地震があったと、聞きました、大丈夫ですか。
私は元気です。この夏、草津音楽祭に行きます』


★プログラム
Duo Boettcher 16.Juni 2018
Wolfgang Boettcher, Violonncello
Ursula Trede-Boettcher, Klavier

・Felix Mendelssohn-Bartholdy (1809-1847)
   Variations concertantes,op.17
・Dimitri Schostakowitsch (1906-1975)
  Sonate für  Violoncello und Klavier ,op.40

  -PAUSE-

・Feruccio Busoni (1866-1924)
  "Kultaselle",zehn kurze Variationen über ein finnisches Volkslied
・Antonin  Dvořák  (1841-1904)
  "Waldesruh",op.68/V

・Yoko Nakamura
  "Spanischer Garten",komponiert für Ursula Trede und
                    Wolfgang Boettcher (2018)
・Claude Debussy(1862-1918)
  Sonate für Violoncello und Klavier d-Moll

 


 

★カワイ講座の前日、名古屋ボストン美術館に行きました。

お目当ては、≪英(はなぶさ)一蝶(1652-1724)≫

「涅槃図」(1713年)でした。

お釈迦さまの入滅を嘆く、高さ約3m、幅約2mの巨大な絵画です。


★横臥したお釈迦さまの周りには、

菩薩さまなどのお弟子だけでなく、

ありとあらゆる階層の人々、虎、馬、山羊、兎などの動物、

泣いている親猿を眺める子猿も。

鶴、烏、鴛、雀などの鳥。

蛇や、蝉、蜻蛉の昆虫まで集い、悲しみ、涙を流しています。

 

 


★お釈迦さまの背後には、仏を守る持国天、増長天、広目天、多聞天の

四天王や阿修羅たちが、いかつい顔をゆがませ、悲嘆の表情。

上空では、天女が雲に乗って駆け付けて来ました。

袖で目を覆っています。


★不思議に、どの顔も艶やかで、暖かみがあり、

生身の人間臭さが漂っています。

一蝶は、狩野派に入門したものの破門され

肉筆の浮世絵に近い風俗画を好んで描いていました。

俳諧に親しみ、宝井其角(1661-1707)や、

松尾芭蕉(1644-1694)ともお友達、書も嗜み、

吉原通いを楽しむ一方で、自ら「幇間(ほうかん)」、

つまり"太鼓持ち"としても、名人芸を誇ったそうです。

そして、12年間も三宅島に島流しの刑に処せられた過酷な運命、

罪状は、「生類憐れみの令」違反(町人には許されていない「釣り」をした)

と言われていますが、諸説あるようです。

 

★人生をおおらかに楽しもうとする生き方が、

ホッとするような暖かみのある表情を、巧まずして表出させている

のかもしれません。

 

 


★同展では、古代エジプト

《ツタンカーメン王頭部》、《メンカウラー王頭部》も感動的でした。

三大ピラミッドで有名なギザで発掘された古代エジプト王の頭部像。

これらは、3000~4000年近く前の作品。

大きく見開かれた彫像の目は、気の遠くなるような年月、

じっと虚空の何かを見つめていたのでしょうか。

この眼差しが、頭から離れず、カワイアナリーゼ講座に臨みました。

 

 


平均律1巻8番 Fuga dis-Moll には、≪空虚5度≫が周到に配置されています。

耳にいったん入りますと、なかなか離れない音です。

8番 Prelude の"悲嘆の歌"が終わり、8番 Fugaが始まりますと、

 Subject 主題の開始音「dis¹」と、続く「ais¹」による「完全5度」が

いきなり現れます。

 

 

★アルト声部で開始された Subject 主題に続き、

ソプラノ声部で Answer 応答が奏されます。

3小節目アルト声部の付点につきましては、私の著作

≪クラシックの真実は大作曲家の自筆譜にあり!≫の25ページ

「音楽的でイマジネーションをかきたてる自筆譜」を、お読み下さい。

 

 

 

★3小節目のSubject最後の音「dis¹」と、Answerの開始音「ais¹」も、

完全5度を形成します。

 

 


★この場合、「dis¹」と「ais¹」で形成される三和音は、≪第3音≫が

存在しません。

この曲の調性 dis-Moll の音階から推定される≪第3音≫は、

もちろん「fis¹」ですので、「dis¹-fis¹-ais¹」の短三和音でしょう。

 

 

しかし、第3音が存在しないことにより、何とも言えない「やるせなさ」、

「空虚感」、あるいは、悲しさで放心したような気持になります。

この第3音が存在しない「完全5度」を、

≪open fifth(英) leere Quinte(独) 空虚5度≫と言います。


★ドイツ語の「leer」は、「空の、空っぽの」という意味で、

対応する英語は「empty」、Quinteは「5度」です。


★この3小節目の空虚5度は、その後しばらく姿を見せません。

あえて「5度音程」を避けている、とすら思える個所が、

かなり見受けられます。


★そしてHöhepunkt(high point) 頂点の一つである,

52小節目 2拍目 dis-ais、3拍目「dis¹-ais¹」で、

畳み掛けて空虚5度が、繰り出されます。

ここは、バス声部、内声、ソプラノ声部、 

3声全てで、主題のストレッタ、

 これ以上無いくらいの緊迫した場面です。

 それこそ、Bachの作曲技法の真骨頂でしょう。

 

 


★Bachの自筆譜を見てみましょう。

冒頭3小節目の「dis¹-ais¹」の空虚5度は、見開き左ページ1段目、

二つの空虚5度「dis-ais」、「dis¹-ais¹」のある52小節目は、

右側最下段6段目に、配置されています。

これは、偶然ではありません

右側最下段がなぜ、51小節目の4拍目から始まっているか、

についても、講座でお話いたしました。


★10年近く続きました名古屋講座も、一区切りです。

熱心にご参加下さいました皆さまと、名残を惜しみました。


★このBachの「3度音程」につきましては、

Bärenreiterベーレンライター版「平均律第1巻楽譜」の解説2~8ページを、

もう一度、お読み下さい。

https://www.academia-music.com/products/detail/159893

 


★さて、平均律第1巻は、6曲1セットであると同時に、

もう一つの顔として、8曲1セットの構造ももっています。

今回の8番は、その最初の1セット最後の曲でした。

その8番に至る過程を、東京の講座で追っていきます。

奇しくも7月21日の講座は、「平均律1巻4番 cis-Moll」です。

8番は、この4番から用意周到に準備され、

全てのベクトルは、24番に至ります。

 

 

 

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■春の黄金週間:P・ Rösel レーゼルのリサイタル、独でチェロ四重奏の初演■

2018-05-07 18:10:18 | ■私の作品について■

■春の黄金週間:P・ Rösel レーゼルのリサイタル、独でチェロ四重奏の初演■

                            2018.5.7 中村洋子

 




★≪五月の朝の新緑と薫風は私の生活を貴族にする≫ 朔太郎

風薫る5月のゴールデンウイークでした。

大輪の牡丹、花びらが散ったと思うと、

雌蕊がもう、ふっくらと孕んでいます。


★≪ちりてのち おもかげにたつ 牡丹かな≫ 蕪村

あでやかな花びらの残影が、散った後も、

まぶたから離れません。


★コンサートで、良い演奏に巡り合った時に感じる、

心からの幸福感と陶酔にも、同じことが言えそうです。


★五月を色に譬えますと、若草色。

牡丹の咲く前の四月は、淡い桜色かもしれません。

連休前に、山桜の花びらを塩漬けにしました。

 

 

★季節を先取するのも粋ですが、振り返るのも素敵です。

このピンクのガラス瓶を見ては「花の四月」を、

懐かしんでいます。


★塩漬けの桜の一片、

冬に向かう木枯らしの日、

この花びらを、白磁のお茶碗に沈め、

白湯をそっと注いでみましょう。

春が浮かび上がってきます。


★連休中に、Peter Rösel ペーター・レーゼル(1945- )の、

ピアノリサイタルに行きました。

曲目は、

・Mozart Piano Sonata 第11番 KV331 A-Dur

・Claude Debussy クロード・ドビュッシー(1862-1918)                                                                       版画(1903)

・Mozart Piano Sonata 第13番 KV333 B-Dur

アンコールは、 Debussy 「Children's Corner 子供の領分」より

「Golliwogg's Cake walk ゴリヴッグのケークウォーク」


★ドイツが東西に分かれていた頃、

VEB Deutsche Schallplatten Berlin シャルプラッテン

レーベルで、旧東ドイツの音楽家の演奏を聴いていました。

Dieter Zechlin ディーター・ツェヒリン(1926- 2012)

シューベルト Piano Sonata 全集は、かけがえのない

音楽体験でした。

 

 


★そのシャルプラッテンから、Peter Rösel ペーター・レーゼル

CDも出されていたのを、記憶しています。


★今回、コンサートに出かけました最大の動機は、

私の著書≪クラシックの真実は大作曲家の自筆譜にあり!≫

http://diskunion.net/dubooks/ct/detail/1006948955

で書きました『 Mozart  KV331 の自筆譜見つかる、

エレガントでなく、劇的な音楽だった』(P242~246)を、

確かめたかったためです。


2014年秋、ハンガリーで発見されました KV331

(Piano Sonata11番、第3楽章は有名なトルコ行進曲)の、

自筆譜から分かりますように、

いままで、常識という"灰色のヴェール"に覆われていた

2楽章の3小節目、8小節目、24~26小節目の三ケ所を初めとする、

Mozart の「これぞ真実、真筆!」という、

作曲家本人の書いた音を、Rösel レーゼルは、

どのように演奏するか?という期待感でした。


この三ケ所を Mozart 自筆譜による彼自身の意図通りに

演奏しますと、2楽章全体の設計図も変更されるはずです。

少なくとも、2楽章は全く新しい相貌を呈することになります。

 

 


★どのような相貌かは、P244~245の「従来の小奇麗で、

エレガントな曲ではなく、ドラマティックな音楽だった」を、

お読みください。


★P243に書きましたように、

初版譜」では、 Mozart の自筆譜通りの革命的な音楽

でしたが、その後、校訂者により、ドンドン改竄されていった

のですから、罪深い話ですね。


★それはさておき、 Rösel レーゼルの演奏は残念ながら、

従来通りの "改竄version" でした。

「自筆譜の発見」で明らかになった

2楽章の3小節目、8小節目、24~26小節目の計三ケ所での

大きな改竄、さらに、

この三ケ所を含め、19、21、22、28小節目の計7か所は、

昔のままの "改竄version" 版による演奏でした。

 

★マエストロが率先して、 Mozartの意図に沿った

演奏がなされることを、楽しみに待ちたいと思います。


面白い発見もありました。

KV331の第1楽章Variatio Ⅴ 第5変奏の108小節第2括弧の

最後の音(譜例の赤い枠)は、このようになっています。

 

 


A-Durの主和音のソプラノ声部は、「根音a¹」

テノール声部は「第3音 cis¹」です。

 

 


バス声部の「a」とアルト声部の「e¹」は、

8分の6拍子の4拍目に打鍵され、

そのまま6拍目まで、鳴り響いています。


4拍目のバス声部は「A-Dur イ長調」の主音です。

4拍目のテノール「d¹」、アルト「e¹」、ソプラノ「gis¹ と h¹」

により、「A-Dur 」の属七の和音を形成します。

 

 

主音と属七の第7音が11度音程を形成しますので、

このような和音を「Ⅰの11」と、言うこともあります。

主音上の属七という意味です。

これは、4拍目の属七の和音バス声部に、

属七によって解決するであろう主和音の根音(a)が、早くも、

滑り込んでいるのです。

Mozart の終止和音に、この「Ⅰの11」が使われることは、

とても多く見受けられます。

 

 


4拍目のバス声部の「a」で、主和音を期待させ、

6拍目のテノール声部「cis¹」で、主和音に着地します。

今回、Rösel は、たまたまこの「cis¹」音を、少し弱く弾き過ぎたため、

この6拍目では、「a e¹ a¹」の三つの音しか、はっきり聴こえず、

「空虚5度」(3音が存在しない)のように、聴こえてしまいました。

 

 


★それが、2番目の曲目、 Debussy 「版画」の「空虚5度」に

つながって聴こえ、音楽史を音で聴く楽しさを、

偶然にも体験してしまいました。


★「空虚5度」が、なぜ空虚なのかと言いますと、

3度音程が不在のため、この場合ですと、長調(A-Dur)か、

短調(a-Moll)かを、規定できないからです

 

 


★≪3度音程≫こそ、調性体系の根幹を成す音程です。

それを、Bachは「平均律クラヴィーア曲集第1巻」の『序文』で、

高らかに、宣言しているのです。

 

 


私が書きました「Bach序文の解釈」の

P2~8を、お読み下さい。
https://www.academia-music.com/shopdetail/000000177122/


★Rösel のリサイタル2曲目、Debussy 「Estampes 版画」は、

3楽章から成っています。

その2楽章 「Soirée dans Grenade グラナダの夕べ」

冒頭4小節は、このようになっています。

 

 


★この4小節間は、音高はまちまちですが、嬰ハ音(cis) と、

嬰ト音(gis)しか、聴こえてきません。

 

 

★つまり、三和音の根音は嬰ハ音(cis) で、

第5音は嬰ト音(gis)ですが、

第3音がホ音(e)即ち短三和音なのか、

第3音が嬰ホ音(eis)即ち長三和音なのか、

耳で聴く限り、判断できません。

(楽譜を見ていれば、調号は♯三つですので、類推はできます)

5、6小節目も、依然第3音は顔を見せません。

 

 


第3音がホ音(e)なのか、嬰ホ音(eis)なのか、分からない。

その≪もどかしさ≫が、スペイン・グラナダのアンニュイ(物憂い)な

夕暮れに、ピッタリの効果をもたらします。


気をもたせた末、やっと「eis¹」が現れるのは、13、14小節です。

Debussyの優れた作曲技法です。


 

★アンコールの「Golliwogg's cake walk」も、楽しい演奏でした。

Rösel の演奏では、楽譜に書いていない音が随分とたくさん

"登場"したのですが、その書いていない音を基にして

作り上げた和音は、秀逸でした


和声、対位法がきちんと頭と心に入っているから

臨機応変に対応できるのです。


★≪クラシックの真実は大作曲家の自筆譜にあり!≫の、

『ドビュッシー「子供の領分」は、どこの何版を使うべきか」

(P269~274)を、是非ご一読ください。

 



★日本で楽しい連休を過ごしているとき、5月5日、

ドイツのNordrhein-Westfalen ノルトライン ヴェストファーレン

(ドイツ西部の州、州都はデュッセルドルフ)と、

Honnover ハノーヴァ―の、Celloの先生方約30人による、

会議が、Dortmundの音楽学校で、開催されました。

その会で、この度、Hauke Hack社 から出版されました、

私の「Zehn Phantasien für Celloquartett(Band2, Nr.6-10)

チェロのための10のファンタジー 第2巻、6-10番」から、

3曲が先生方によって、初演して頂けました。

・Ⅶ Abent dämmerung-Evening twilight
・Ⅷ Spanischer Garten- Spanaish garden
・Ⅹ Postludium,Krokusblüte-Crocus blossom


★この中の第8番「スペインの庭」は、

前回ブログでご紹介しましたように、

4月8日ドイツ・Mannheimマンハイムで、

Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー先生のCello、

Ursula Trede-Boettcher  ウルズラ  トレーデ=ベッチャー先生の

のPianoによる、「Duo for Cello and Piano version 二重奏版」が、

初演されました。


★5月5日にお集まり頂いた先生方は、きっとこれから、

たくさんのお弟子さんたちと、私のチェロ四重奏を

楽しんでいただけると思います。

明るく楽しいゴールデンウイークも終わり、

五月の新緑は、日に日に濃くなっていきます。

 

 

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■私の作品、「チェロとピアノのためのDuo・スペインの庭」」がマンハイムで初演■

2018-04-20 23:03:35 | ■私の作品について■

■私の作品、「チェロとピアノのためのDuo・スペインの庭」」がマンハイムで初演■
 ~"Spanischer Garten" war ein schöner Erfolg in Mannheim~
 ~「スペインの庭」は、マンハイムで素晴しい成功をおさめました~
          2018.4.20  中村洋子

 

 


★マンハイムで2018年4月8日に開催されました
「Deutsches  und Spanisches 」
「ドイツとスペインの作曲家」という演奏会です。

Wolfgang Boettcher : Violoncello
ヴォルフガング・ベッチャー : チェロ
Ursula Trede-Boettcher : Klavier
ウルズラ トレーデ-ベッチャー : ピアノ


  

★タイトルは「ドイツとスペインの~」となっていますが、

日本人である私の作品も、

題名が「Spanischer Garten スペインの庭」ですので、

 Boettcher ベッチャー先生の格別のご好意で、

プログラムの中に入れて頂き、初演されました。


★滞在先から、先生がお手紙とプログラムを送って下さいました。

"Spanischer Garten" war ein schöner Erfolg in Mannheim" 

「スペインの庭」はマンハイムで素晴しい成功をおさめました」と、

書いてありました。


★プログラムは以下の構成です。

・Felix Mendelssohn Bartholdy (1809-1847)
      Variations concertantes op.17

・Johannes  Brahms (1833-1897)
     Sonate e-Moll op.38

    PAUSE

・Manuel De Falla  (1876-1946)
     Suite Populaire  Espagnole

・Yoko Nakamura
     Spanischer Garten
       Uraufführung, den Geschwistern
       Boettcher gewidmet

・Eginhard Teichmann (geb.1937) (2017)
     Tango Botticello 
   
 den Geschwistern Boettcher gewidmet

・David Popper(1843-1913)
     Aus "Spanische Tänze" op.54,Nr 2 & Nr.5

・Alberto Ginastera(1916-1983)
     Pampeana Nr.2
     Rhapsodie op.21

以上の豪華なプログラムです。

 

 


★お二人はたくさん録音されており、CDでも聴くことができます。
https://www.discogs.com/artist/2316372-Ursula-Trede-Boettcher

ベッチャー先生の演奏も、勿論CDで聴く事ができます。
http://tower.jp/artist/discography/691507


★今回初演されました私の作品「Spanischer Garten」の原曲は、

チェロ四重奏曲です。

この楽譜に収録されています。
https://www.academia-music.com/shopdetail/000000177497/


★冬が厳しいドイツにとって、南の国スペインやイタリアはきっと、

憧れの国なのでしょうね。

先生のお手紙にも、「長く厳しい冬の後、やっと晴れた春の日が

来た様に見えます」と書いてありました。

夏の一歩手前のような、異常気象とも言ってよい日本と、

相当違います。

 



5月26日の「平均律1巻 第3番 アナリーゼ講座」では、

Bach「Cis-Dur Praeludium und Fuga」が、

後世に、どれほど甚大な影響を及ぼしたか、

具体的には、Beethoven→ Chopin→ Ravel を例にとり、

分かりやすく、ご説明するつもりです。


Chopinが、ポーランドからフランスに移り住むことによって、

フランスの音楽を激変させたこと、

フランスの「印象派」と称されている大作曲家は、

≪Chopinなしには存在し得なかった≫こと、

"発表会用の小品"と、誤解されている

「子犬のワルツ Valse op.64-1」(Chopinは名前を付けていません)

が、その後のフランス音楽に与えた影響

それをRavelのどこに見出すか・・・等をお話いたします。


★「ドイツとスペイン」というリサイタルから、

ヨーロッパを東西に横切って、

フランスに移り住んだChopinを思い、

勉強に励んでいます。

 

 

 

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■Schumann「若い人のためのアルバム」、物凄い推敲の跡■

2018-02-17 22:14:21 | ■私の作品について■

■Schumann「若い人のためのアルバム」、物凄い推敲の跡■
~私のCello&Piano二重奏がマンハイムで4月初演、蕪村の"うづみ火"~

       2018.2.17 中村洋子 Yoko Nakamura

 

 


★各地で大雪が続き、厳しい寒さが続いています。

≪うづみ火や 終(つい)には煮(にゆ)る 鍋のもの≫蕪村(1716-1784)

火鉢の灰にうずめた炭。

火力は弱いのですが、長持ちします。

貧しい蕪村は、埋み火のわずかな火で暖をとり、

煮物にも使ったのでしょうか。


★煮物は蕪でしょうか、お芋でしょうか。

うっすらと白い灰がかぶさった弱弱しい炭火、

やっとのことで煮上がった野菜を、

背を丸めて、ふうふうと召しあがっている蕪村先生。

世におもねず、芸術を誠実に追及しますと、

富貴とは、縁が遠のくようです。

 

 


★≪愚に耐えよと 窓を暗くす 竹の雪≫

温厚篤実な蕪村先生にして、この句有りです。

蕪村の晩年、天明時代は卑俗な俳句が流行し、

「蕉風回帰」の蕪村は、孤立していました。


★2017.12.16の当ブログで、http://blog.goo.ne.jp/nybach-yoko/e/6fce011491cea5ad12ca908d80ae14d1

ご紹介しました、私の作品 『チェロ四重奏 

Zehn Phantasien  für Celloquartette』の、

ピアノとチェロ二重奏版が、ことし2018年4月、

ドイツの Mannheim マンハイムで、初演されます。


★この曲は、2017.12.16ブログでも書きましたように、

「für junge Cellisten フュア ユンゲ チェリステン

若いチェリスト達の為に」としていますが、

Robert Schumann ロベルト・シューマン(1810-1856)の

顰に倣って、実は、成熟した音楽家のための曲でもあります。


初演は、Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー先生

のチェロ、お姉様のUrsula Trede-Boettcher

ウルズラ・トレーデ・ベッチャー先生のピアノです。

お二人のリサイタルです。

ウルズラ先生は、ADRコンクール(ミュンヘン音楽コンクール)の

審査員を務められたこともある、ピアニスト(オルガニスト)です。

 

 


★さて、その Schumannの「Album für die Jugend Op.68

若い人のためのアルバム」についてです。

「こどものためのアルバム」と訳されることも多いのですが、

「Jugend」は、英語の「young」ですから、

「若い人のためのアルバム」としたほうがより、Schumannの気持ちに

沿っているともいえましょう。


★「Album für die Jugend」は一見、シンプルです。

完成稿の楽譜を見ますと、Schumannが推敲を重ねた末の結果が、

簡素に、書かれています。

一方、その自筆譜を見ますと、推敲に推敲を重ねていたその過程を、

詳しく、辿ることができます。

(自筆譜
https://www.academia-music.com/shopdetail/000000030258/

 

★例えば、18番 「Schnitterliedchen 刈入れの小さな歌」を見ますと、

21小節目から最終36小節目までは、すべて初稿に「×」を入れ、

すべて、書き直しています。

特に、21小節目から30小節目の10小節間は、

大幅に書き直されています。


★21、22小節目は、完成稿ではこのようになっています。

 

 

「これしかない!」という完成度の高さ。

Schumannのペンが、すらすらと流麗に書き進んだかのように

見えますが、そうではありません。


自筆譜は、一見しただけでは、ほとんど何も分からないほど、

何度も書いては、消されています。

正確には書き写せませんが、大体、このようになっています。

 

 


★「F」と大きく書かれていますので、

「F-Dur」に転調し、

調号も新しくするつもりであったようですが、

それを断念し、主調の「C-Dur」のまま、あくまで簡潔さを

目指しています。

 Mozart モーツァルトの音楽もそうですが、「簡潔」ほど難しい

ことはありません。

 

 

 

★作曲家としましても、複雑怪奇に書くことはいとも簡単です。

しかし、お米を磨いて磨きぬいて清酒を造るように、

この磨く過程にこそ、作曲家の仕事があると思います。

ちなみに、私はお酒が飲めませんので、人生の楽しみの、

幾ばくかを知らないことは、残念です。


★Schumannの最初のアイデアは、これに近かったように、

思われます。

 

 


★完成稿では、1、2小節目と同様に整然とした四声体になっています。

 

 


しかし、完成稿でソプラノ声部で歌われる旋律を、

Schumannは当初、アルト声部に配置していたことが分かります。

この旋律を、アルト声部の1オクターブ上のソプラノ声部に

配置することにより、冒頭1、2小節目のソプラノの旋律を、

 

 


初稿では、完全5度下で再現しますが、

 

 

完成稿では、完全4度上で再現することになります。

 

 

1小節目の旋律を、完全5度下ではなく、

完全4度上に移調して、再現することにより、

「収穫の喜び」を、より高らかに歌い上げたかったのでしょう。

 


★25、26小節目につきましても、同様に、当初とその推敲過程、

そして、完成稿を比べることにより、Schumannのメッセージを

たくさん受け取ることができます。

 

 


★それこそが、Schumannを勉強することであり、さらに、

Schumannを演奏することに、直結することは、

言うまでもないことでしょう。


その勉強の後に、Gabriel Fauré ガブリエル・フォーレ

(1845-1924)が校訂した版の Fingering フィンガリングを、

研究してみましょう。


(フォーレ校訂版
https://www.academia-music.com/shopdetail/000000146830/


Schumannの作品への「扉」を、きっと、

いとも易々と、開くことができようになることでしょう。

 

 

 


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■ドイツで、私のチェロ四重奏曲集が出版されました■

2017-12-16 20:43:02 | ■私の作品について■

■ドイツで、私のチェロ四重奏曲集が出版されました■
~≪Zehn Phantasien für Celloquartett(Band 2, Nr.6-10)
                                                 für junge Cellisten
   チェロ四重奏のための10のファンタジー(第2巻、6-10番)
                若いチェリストのための≫~

             2017.12.16  中村洋子

 

 

 

 

★つい半月前まで、錦秋に輝いていました山々が、

白く雪を被り、冬の装いです。

あと数日で、12月22日の「冬至」。

≪年暮ぬ笠きて草履はきながら≫ 芭蕉


★年の暮れであっても、旅の途上である、すなわち、

暮れであっても、休むことなく、句作の創造を

続けている、という決意とその行いを、

芭蕉は詠っているのでしょう。


★おおよそ1年半かけて書きました

「Bärenreiter ベーレンライター・平均律第1巻楽譜」添付≪解説書

http://www.academia-music.com/shopdetail/000000177122/は、

お陰さまで、皆さまから暖かく迎えていただきました。


★1行を書くのに、その傍証を固めるため、1ヶ月かかる・・・

というような、遅々とした歩みの末に完成しました。

昨年の大晦日は、執筆中に除夜の鐘が聞こえていました。 

 

 


★私にとって幸いでしたのは、その執筆と並行しまして、

「Goldberg-Variationen ゴルトベルク変奏曲」の、

アナリーゼ講座を、開催していたことでした。

「Goldberg-Variationen」を深く読み込みますと、

「平均律クラヴィーア曲集第1巻」が、厳かに顔を現します。

それは、私がいままで見て勉強しました「平均律第1巻」の姿を、

さらに輝かしく照らすものでした。


★私の≪解説書≫2~8ページにかけてをご覧ください。

「平均律第1巻」の冒頭に、Bachが自ら書いた≪序文≫の訳と、

その訳に対しての、詳細な分析・解説が施されています。


★ここでBachは、【長3度】即ち「ド レ ミ」と、

【短3度】即ち「レ ミ ファ」を、

平均律第1巻の「核心」としています。


★それでは、「Goldberg-Variationen ゴルトベルク変奏曲」は、

どうでしょうか?

【長3度】即ち「ソ ラ シ」と、【短3度】即ち「ソ ラ シ♭」です。


★それを手掛かりに、「Goldberg-Variationen」を読み解きますと、

この変奏曲集が「平均律第1巻」を更に、推し進めていった曲集

であることが、分かってきます。


★「平均律第1巻」の二つの方向指示器は、真っ直ぐに、

「平均律第2巻」と、「ゴルトベルク変奏曲」を指し示しています。

来年1月から始まります「平均律第1巻・アナリーゼ講座」で、

それを詳しく、お話いたします。

http://www.academia-music.com/new/2017-10-26-151213.html

 

 

 


★さて、私の本分は「作曲」です。

ドイツで、チェロ四重奏のための作品が、出版されました。

≪Zehn Phantasien für Celloquartett(Band 2, Nr.6-10)
                                                 für junge Cellisten
 チェロ四重奏のための10のファンタジー(第2巻、6-10番)
                若いチェリストのための≫
http://www.academia-music.com/shopdetail/000000177497/


★「若いチェリストのための」としていますが、

敷居を低く、門戸を広く開放するためです。

事実、私の「チェロ二重奏」

≪10 Duette für 2 Violoncelli (Ries & Erler Berlin)≫は、
http://www.academia-music.com/shopdetail/000000059545/

Wolfgang.Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー先生をはじめ、

ヨーロッパで大人の演奏会に組み込んで頂いています。


Robert Schumann ロベルト・シューマン(1810-1856)の

「ユーゲント・アルバム」が実は、大人のピアニストにとっても、

大切な曲集であるように、私のこのチェロ四重奏も、

合奏の喜びを、チェリストの皆さまにお届けできることを、

願っております。

 

 


★≪Zehn Phantasien für Celloquartett(Band 2, Nr.6-10)
                                                 für junge Cellisten
 チェロ四重奏のための10のファンタジー(第2巻、6-10番)
             若いチェリストのための≫に、

収録されています曲を、順番にご紹介いたします。


★第6番:Ⅵ Vier Kanarienvögel - Four canary birds
                  四羽のカナリア

Bachの妻・ Anna Magdalena Bach アンナ・マグダレーナ・バッハが、

カナリアを愛していたいたことと、

Gigue=CANARYの「カナリア」を、もじっています。

CANARYとは、" A dance popular in Europe during the Baroque

period・・・ that come to Spain from the Canary Island.
                    (The New Grove Dictionary of Music&Musicians)

 

 

付点のリズムと軽快なテンポが、特徴的です。

Bach「無伴奏チェロ組曲」は、

第5番c-MollのGigueがこのCANARYです。

 

★第7番:Ⅶ Abendämmerung 夕暮れ

しみじみとした夕暮れ。

実はこの曲は、ピアノソロで完全に弾くことができます

チェロ四重奏をピアノ用に、そのまま大譜表に書きますと、

このようになります。

 

 

★Maurice Ravel モーリス・ラヴェル(1875 - 1937)の、

「Ma Mère l'Oye マ・メール・ロワ」の第1曲、

≪Pavane de la belle au bois dormant

                             眠りの森の美女のパヴァーヌ≫

が、連弾曲でありながら、もし、指を広げて10度音程を

弾くことが可能でしたら、

ソロとして弾くことも、出来るのと同じです。


★この「夕暮れ」は、自分の曲ですが、秘かな「お気に入りの曲」です。

一人で時々、弾いております。

ピアニストのリサイタルで、アンコールとしてコンサートの最後に

演奏することも可能です。

 

 


★冬至に近づき夕暮れは、光がどんどん乏しくなっていきますが、

その後には、明るい春や朝日が待っています。


★第8番:Ⅷ Spanischer Garden スペインの庭

これも、ピアノ独奏で弾けそうです。

しかし、これは四人で合奏しましたら、

どんなにか楽しいことでしょう、という曲です。

スペイン風の後打ちのリズムを、和気あいあいと合奏する楽しみ、

これを、味わってください。

 

 

 
★第6、7、8番は、調性の曲でしたが、第9番は「無調」の曲です。

Ⅸ : Drache im Zauberland 魔法の国のドラゴン

dodecaphony 十二音技法の対位法を、楽しく学べます

 

 


★いよいよ、全10曲の最後の曲となりました。

Ⅹ: Postludium, Krokusblüte Frühlingserwachen

後奏曲 クロッカスの花 

明るく、爽やかな春の始まりです。

 

 

 Sehnsucht nach dem Frühling  春への憧れ


チェロ四重奏だけでなく、いろいろな楽器の組み合わせや、

ピアノソロでも是非、弾いてみて下さい。

一人でも、合奏でも、楽しむことができます。

 

また、ソルフェージュのレッスンにも是非、お使いください。

楽譜を読むこと、書き取ることの練習は、

通常、「ト音記号」から始めることが多いのですが、

レッスンの早い段階で、「ヘ音記号」に慣れることも大切です。

四人のチェロのパートの一人分を、

生徒さんに歌わせたり、書き取りをさせてください。

残り三人分(三声)を、先生がピアノで弾けばよいのです。

楽しい音楽のひと時。

Moments Musicaux です。

 

 

 


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■銀座「山野楽器」3F楽譜売場で、≪ベーレンライター平均律「解説書」付≫を特集■

2017-11-15 15:18:21 | ■私の作品について■

■銀座「山野楽器」3F楽譜売場で、≪ベーレンライター平均律「解説書」付≫を特集■

           2017.11.15  中村洋子

 

 

 

★北国では初雪の便り、山々には初冠雪、

次々と、冬の便りが聞かれます。


銀座「山野楽器」本店3F、楽譜売場で、

私が「解説書」を書きました

≪ベーレンライター原典版「平均律第1巻」解説付き楽譜≫が、

平台で大きく、展示されています。

「解説書」のサンプルも手に取ってご覧になれるよう、

準備されています。

 

 

 


★私の著書の≪クラシックの真実は大作曲家の「自筆譜」にあり!≫

≪ベーレンライター「ゴルトベルク変奏曲 :クラヴィーア練習曲集第4部≫

日本語解説付も、同様に展示されております。

銀座にお立ち寄りの際は、どうぞご覧ください。

 

★「霜の花」という、美しい日本語があります。

私が作曲しました「無伴奏チェロ組曲第2番第4曲」は、

「霜の花」を、頭に浮かべて書きました。

この言葉は、真っ白に積もった霜のはかない美しさを、

花に譬えています。


★この楽譜は、

「Musikverlag  Ries & Erler  Berlin  リース&エアラー社」から、

出版されていますが、当然、日本語の表記はありません。

ただ、表紙はもの珍しいのか、漢字がデザインとして使われています。

http://shop.rieserler.de/index.php?cat=c90_Violoncello-solo-Violoncello-solo.html&sort=&XTCsid=a615a02d02b8c7474c8ec2e14b616e87&filter_id=729

http://shop.rieserler.de/product_info.php?info=p2917_suite-nr--2-fuer-violoncello-solo.html

http://www.academia-music.com/html/page1.html?s1=Nakamura%2CY.&sort=number3,number4,number5

http://www.academia-music.com/shopdetail/000000154722/


★「霜の花」をそのまま訳しても、ドイツ人には何のことか

分からないでしょう。

英語で「Frosty Flowers」としても、同様に意味をなしません。

そこで、いささか情緒には欠けますが、

「Frostige Nacht - Frosty Night」と、しました。

これが最も直截な訳といえましょう。


★霜が降るのは、しんしんと冷えた夜。

翌朝、美しい霜の花が咲き、朝日に輝きます。

それもつかの間です。

 

 

 
★是非、楽譜を見ながら、CDをお聴きください。

http://diskunion.net/diw/ct/list/0/72362809

http://diskunion.net/diw/ct/detail/1006437641

★出版された楽譜、それも自分の作品を手書きで写す、

ということは、なかなか面白い体験です。

 

 


Bachは65年の生涯で、出版された曲はごく僅かでした。

これにつきましては、私の平均律第1巻「解説書」の

18ページを、お読みください。

Bachが生前、自らの意思で出版した

「Goldberg-Variationen ゴルトベルク変奏曲」は、

 「Manuscript Autograph 自筆譜」が行方不明です。

同じく生前出版の「Italienisches Konzert イタリア協奏曲」も、

自筆譜は失われています。

二つとも、彫り師Engraverに渡した「自筆浄書譜」が、

不明ということです。


★作曲家は、自分の曲が出版されますと、安堵するものです。

たとえ自筆譜が不明でも、出版物により、その作品は確実に

生き残るからです。


★Bachがそうであったかは、断定できませんが、

出版により、その作品の生命が保証されたと、思うことは、

間違いではないでしょう。


★そのような見方からしますと、生前に出版されなかった

 「Wohltemperirte Clavier 平均律クラヴィーア曲集」の自筆譜を、

Bach本人、そして息子たち家族やお弟子さんたちは、

出版されるまでの約50年間、

どんな思いで大切に扱っていたかは、想像に難くありません。


★その自筆譜にこそ、平均律の心髄が宿ることは、

言うまでもないことです。

それをどう理解し、演奏や鑑賞に活かすかを、

今回出版されました、私の「解説書」に詳しく、書きました。

 

 

 

★私は、生活環境にクラシック音楽がほとんどない環境で、

育ちました。

しかし、1980年代ごろまでのNHK/FM放送は、現在と異なり、

クラシック音楽に対して、畏敬にも似た尊敬と愛情をもった方々が、

担当されていたと、思います。

クラシック音楽の放送時間もとても長く、歴史的な名演奏なども

熱意ある解説とともに時折、放送されていました。

それらを聴くことで、知らず知らずのうちに、

クラシック音楽の基礎的知識が、身についていきました。

服部幸三先生の「バロック音楽の楽しみ」や、

河本喜介先生の、フランス歌曲に対する、

愛情溢れたお話は、いまでも懐かしく、耳に焼き付いています。


★しかし、最近はどうでしょうか?

孫引きを淡々と読み上げるだけの、若い解説者のお話からは、

「クラシック音楽はなんて素晴らしいのだろう!」という、

情熱や感動は伝わってきません。

取り上げられる演奏家も、“いま売り出しの”という類ばかりです。

現代の若い世代の方々は、“どう勉強していいのか”

分からないのではないかと、心配になります。


クラシック音楽の魅力に、目と耳と心を奪われ、

もっと深く知りたい、学びたいという方に対し、

「独学」、つまり「自力」で、

平均律の勉強法が習得できることを願い、

私は平均律第1巻「解説書」を、書きました。


★ここで書きました、「自筆譜の読み方」を、ご自分で応用され、

是非Bachの圧倒的な、音楽の豊かさを味わっていただきたい、

と思います。

 

 


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■ベーレンライター平均律第1巻楽譜に添付の「解説書」を出版しました■

2017-11-11 19:22:46 | ■私の作品について■

■ベーレンライター平均律第1巻楽譜に添付の「解説書」を出版しました■
  ~「クラシックの真実は大作曲家の自筆譜にあり」も第3刷を刊行~
  ~来年1月から、新しい「平均律第1巻アナリーゼ講座」を開催~

            2017.11.11        中村洋子

 

 


★今月は、1日の「十三夜」に秋の月を愛で、7日ははや立冬」

11月も、もう半ばです。

銀杏の葉の黄金色と、ツワブキの花の黄とが、

天と地で呼応しています。


私が解説を書きました

  【ベーレンライター原典版  
    バッハ、平均律クラヴィーア曲集 第1巻
       日本語による詳細な解説付き楽譜】 が、

 このほど出版されました。  
      http://www.academia-music.com/
http://www.academia-music.com/shopdetail/000000177122/

 

 

 

★楽譜に添付されたこの「解説書」では、

まずは、Bachが自ら書き記した、わずか21行の【序文】を翻訳しました。

しかし、この「序文」は謎解きのような文章であるため、

そのまま訳しましても、Bachが言いたかったことを、

現代の私たちは、とうてい理解できないと思われます。


★この「序文」は、簡単に申しますと、

≪「平均律第1巻」がどのような曲集であるか≫、

を規定しているばかりか、

≪「調性」とは一体何であるのかを、Bachが定義している文章である≫、

と言うことができます。


★「解説書」では、どなたがお読みになっても、それを理解できるよう、

詳細に分析し、ご説明いたしました。

この試みは、これまで、あまり例がないと思います。

 

 


★これは、衒学や、

音楽学者の陥りがちな、重箱の隅をつつくような内容では

決して、ありません。


★この「序文」こそが、Bachを理解する出発点であり、

さらに、Bachのみならず、クラシック音楽の素晴らしい世界へと、

足を踏み入れることができる入口なのです。


★現在の日本で、“クラシック音楽” と言われる領域をみましても、

ケバケバしい、厚塗りの “クラシックもどき” が、

巷に、溢れています。

それらとBachの作品との距離は、月と地球ほどあるでしょう。


序文の意味を理解し、Bachと“クラシックもどき”との距離を

実感されますと、

「Bachを演奏することが、ますます楽しくなり、さらに、

鑑賞する際の、正しい道標にもなる」ことでしょう。

これは、Bachに限らず、クラシック音楽の名曲すべてについても、

同じことが言えるでしょう。

 

 


★「序文」の解説から導き出される結論は、

≪平均律第1巻は、全24曲ではない≫ということです。

では何曲なのでしょうか?


★≪平均律第1巻は、「1曲」なのです≫。

皆さまは、「Goldberg-Variationen ゴルトベルク変奏曲」を

「全30曲」、または「アリアと全30曲」とは、おっしゃらないでしょう。

「Goldberg-Variationen」は、「1曲」です。


★「ゴルトベルク変奏曲」という名前も、Bachがあずかり知らない、

後世のニックネームです。

正式には「Clavier- Übung クラヴィーア・ユーブング(練習曲集)」

四部作の最後の1巻です。

 http://www.academia-music.com/shopdetail/000000174751/ 

http://www.academia-music.com/shopdetail/000000174750/

http://www.academia-music.com/html/page1.html?q=%E3%82%B4%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%AF&sort=number3,number4,number5&searchbox=1

 

★第1、2、3には、それぞれ「1巻」、「2巻」、「3巻」と書かれていますが、

「ゴルトベルク変奏曲」については、Bachは何故か、

「第4巻」あるいは「最後の巻」とは記入していませんでした。


★engraver(彫版士)の彫り忘れを、完全には否定はできませんが、

四部作の最後という位置付けから、更に一歩飛躍して、

「集大成」として、あえて、「第4巻」としなかったのではないか

とも思います。

 

 


★お話を戻しますと、

平均律第1巻の「序文」に記された1722年からほぼ20年弱後の、

1741~42年に出版された「ゴルトベルク変奏曲」を勉強しますと、

「平均律第1巻」、そして「ゴルトベルク変奏曲」とほぼ同時期に完成した

「平均律第2巻」をも、明確に理解することができます。


★私は、2016~17年の2年間にわたり、

全10回「ゴルトベルク変奏曲・アナリーゼ講座」を開催し、

「ゴルトベルク変奏曲」を綿密に勉強することが、できました。


★それにより、平均律第1巻に対する見方が、これまでとは、

がらっと変わりました。

それが、今回出版しました「解説書」に、結実したとも言えます。


Bachは用意周到に、手抜き無く、

自分の生涯にわたる作曲の計画を練り、

たゆまぬ努力の上に、じっくり仕事を進めた人です。


★そのような視点で、Bachの作品群を勉強していきますと、

音楽学者による解説は滑稽なものが多いのです。

例えば、Bachの他の曲集について、

「この曲集は、書いた後、放置されていた作品を

寄せ集めて使っている」・・・など、可笑しさを通り越して、

憐みすら感じてしまいます。

これは、音楽学者の間で孫引きが繰り返された“定説”でも

あるのです。

 

 

 

 


★「大作曲家」が、どのように作曲を計画し、

作曲を積み重ねていくか、という工程を、

まるで分かっていないようです。

Bachは、その人の身の丈にあった「Bach像」しか、

示さないようです。


★私たちは、自分の「身の丈」を少しずつ、

Bachに近づけるよう、日々の努力が欠かせませんね。

Pablo Casals パブロ・カザルス(1876-1973) が、

毎朝、平均律を弾くことから一日を始めた、

この日課こそが、「身の丈」拡大の近道です。


★今回の「解説書」では、アルフレート・デュルの

「前書き」も、翻訳しました。

この「前書き」で示されたデュルの見解については、

説明不足の点も、かなり見受けられますため、

私は、それらの点について、詳細な「注釈」を施しました。


★例えば、デュルが「5度圏」と、一言だけ記述して済ませている

ところについても、この「5度圏」とはどういう意味なのか、

どなたでも理解できるよう、図も用いて説明し、

Bachが作曲していた当時、どんな意味があったのか

についても、踏み込んで書きました。


★また、17~20ページ(注17)では、

4番 cis-Moll 嬰ハ短調フーガを、Bach自筆譜から勉強しますと、

どんな発見があるのか、それが演奏や鑑賞に、どう役立つか、

具体的に譜例を用いて、詳しく解説しました。


★Bachが同型反復(ゼクエンツ)を、どう演奏して欲しいと、

望んでいたかも、これにより、分かってくることでしょう。


★この同型反復(ゼクエンツ)の扱いにつきましては、

21ページ(注18):7番 Es-Dur 変ホ長調の項でも、

更に発展させてご説明しました。


★これらを理解されますと、

Bachの「Manuscript Autograph  自筆譜 」 facsimile 読み方が、

知らず知らずのうちに、身につく思います。

秋の夜長に是非、じっくりお読みください。

 

 


★10月末には、私が昨年出版いたしました著書

≪クラシックの真実は大作曲家の「自筆譜」にあり
     ~バッハ、ショパンの自筆譜をアナリーゼすれば、
                  曲の構造、演奏法まで分かる~≫
                       (DU BOOKS刊)が、

「第3刷」の刊行となりました。

根強いご支持で、ジワジワと継続的にお買い求めいただいているようで、

とても嬉しいことです。


★来年1月からは、新たに「平均律第1巻アナリーゼ講座」も、

開催されます。
http://www.academia-music.com/new/2017-10-26-151213.html


★「Goldberg-Variationen ゴルトベルク変奏曲」から、逆照射された

「平均律第1巻」は、今度はどんな輝きを見せてくれるのでしょうか。

この講座を一番楽しみにしているのは、実は、私なのです。

 

 


※copyright © Yoko Nakamura    
             All Rights Reserved
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

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■ベーレンライター「平均律1巻」付属の解説書が間もなく刊行■

2017-08-11 14:35:03 | ■私の作品について■

■ベーレンライター「平均律1巻」付属の解説書が間もなく刊行■
~ 「ゴルトベルク変奏曲」アナリーゼ講座も、9月に最終回迎える ~
                2017.8.11   中村洋子

 

 


★≪蝶の舌 ゼンマイに似る 暑さかな≫
                     芥川龍之介

連日の酷暑、

蝶の舌のように、人の目も、グルグル眩暈を起こしそう。

この夏も、揚羽蝶は、柚子、橙、レモンなど柑橘の葉に、

卵を産みつけることに余念がありません。


★秋が来ないうちに、葉がまだ若く、

幼虫が食べられるような柔らかさのうちにと、

羽ばたきながら、真珠のような黄色い卵をさっと、くっつけます。

一瞬の早業。

人が近づいても逃げずに、本当に忙しそう。

その合間、ゼンマイの舌を伸ばし、水滴を啜る。

夏の一齣を、龍之介は鋭く切り取りました。



 

 


★夏の蝶ほどではないかもしれませんが、

私も、忙しい毎日です。

「新バッハ全集」を編纂しているドイツの出版社

 「Bärenreiter-Verlag ベーレンライター社」から出版されています

「平均律1巻」の楽譜に添付する解説を、私が担当することになり、

原稿は完成し、いま最終校正に入っています。


★この解説は、5項目から成ります。

①バッハが自分で書きました「序文」の日本語訳

②その「序文」が何を意味しているかという解説と、詳細な分析

③この楽譜に付けられている Alfred Dürr アルフレート・デュルによる
                  「Vorwort 前書き」の日本語訳

④その「Vorwort 前書き」に対する、私の詳しい注釈

⑤楽譜に付けられた「Fußnote 脚注」の日本語訳

 

★校正を繰り返すたびに、文章はより分かりやすく、

磨かれていくものですが、骨の折れる仕事です。


バッハ本人の謎めいた「序文」は、わずか1ページ21行に過ぎず、

また、デュルの「前書き」は、ドイツ語で4ページですが、

私の解釈や注釈は合計しますと、40ページを超えてしまいました。 

 

 

 


★私がこのお仕事を引き受けました理由は、

バッハの、この美しく偉大な曲集を理解するために、

巷に溢れる"衒学の海"に惑わされ、溺れることなく、

どうすれば、バッハの大宇宙に、素直に達することができるか・・・

それを、学者の論文の孫引きをするのでなく、

私自身の言葉で、訴えたかったからです。


★東京で以前に開催しました「平均律1&2巻」の

全曲アナリーゼ講座で、1&2巻の全48曲すべてについて、

私は、バッハの 「Manuscript Autograph 自筆譜」 facsimile

から、写譜しました。


バッハの肉声を、己がものとするためです。

今回は、ベーレンライター社から出版中の、

平均律1巻 「Manuscript Autograph 自筆譜」 facsimileを

更に深く、検討しました。


★私の「解説と注釈」では、私の手書き譜例も満載し、

どなたが手に取られても、納得の頂ける内容になっていると、

思います。


★例えば、擦り切れるほど孫引きされている

≪バッハは、紙を惜しんで五線譜の下の余白にまで書いている≫

つまり、"バッハは大変に吝嗇であった"、などの俗説に対しては、

バッハがどうして、余白にまで譜を書き込んだのかを分析し、

奇妙ともいえる楽譜のレイアウトは、

≪曲の構造そのものを指し示す≫ための、周到な設計」であったことを、

完全に、証明しました。


★これらをお読みいただけましたら、

バッハの自筆譜の読み方、解釈の方法が、

自ずと、身についていくことでしょう。

 

 

★40数ページといいましても、平均律という氷山の、

ほんの一かけらです。

しかし、その方法を身に付けますと、ご自分でバッハを解釈し、

演奏や鑑賞に生かすことができます。


★干からびたバッハの残骸ではなく、

お一人お一人の独自の、いまに生きる Bach像

打ち建てることができるのです。


★9月の刊行を目指し、もう一歩です。

さて、9月は16日(土)が、「Goldberg-Variationen ゴルトベルク変奏曲」

のアナリーゼ講座全10回の「最終回」です。

これも大団円です。


★今回は、全30変奏の最後の三つの変奏曲「Variatio 28、29、30」

の講座の後、特別講座を開催し、「Goldberg-Variationen」の

全体像に迫ります。

http://www.academia-music.com/new/2017-07-10-113903.html

 

 

 


★ここで、これまでお話してまいりました30の変奏曲全体を、

俯瞰することになります。

第30変奏は、有名な 「Quodlibet クオドリベット」

(滑稽な俗謡を混ぜ合わせた曲)です。

 

 


「君のそばに、長い間いなかったね・・・」

 

 

「この Ich bin so lang nicht bei dir ・・・」は、

突然に現れた訳ではありません。

 

 

★「Variatio9 第9変奏」の1小節目バス声部最後の音「d」に続く、

2小節目「g a h c¹d¹ ソ ラ シ ド レ」に、しっかりと顔を出しています。

 

 


★「Goldberg-Variationen」は、「3曲1セット」で作曲されていますが、

この「Variatio9 第9変奏」を含む第3セット(Variatio7、8、9)が、

なかなか曲者です。

「Variatio7 第7変奏」に、BACHが「tempo di Giga」と記した理由は、

平均律第1巻にも通じるものです。

その理由は、講座でご説明いたします。


★このお話は、10月25日(水)に開催の KAWAI 名古屋での

「平均律1巻第7番 Es-Dur  Prelude & Fuga」アナリーゼ講座

にも、つながっていきます。


★BACHの作品は、広大無辺の宇宙のような世界です。

そして、その一つ一つの作品、「平均律」、「ゴルトベルク変奏曲」・・・を、

光り輝く恒星に譬えるならば、その恒星は、お互いにつながり、

大星座を形成しているといえます。

 

 

 


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■スイスのチェリストが私の作品をレパートリーに、「もがみ川」が9月、山形で演奏■

2017-05-30 02:45:52 | ■私の作品について■

■スイスのチェリストが私の作品をレパートリーに、「もがみ川」が9月、
山形で演奏■

             2017.5.30    中村洋子

 

 


★アヤメ(菖蒲)やハナショウブ(花菖蒲)も咲き、

梅雨間近です。

5月30日は、旧暦の「端午」です。

なるほど五月の節句(端午)のゆかりの花が、

菖蒲である訳ですね。


★スイスやドイツ、日本から嬉しいお便りやお知らせが、

続いています。


★スイスのチェリストから、お手紙をいただきました。

実は二年前にも、ご丁寧なお手紙を頂いていたのですが、

差出人のお名前が、達筆な筆記体で書かれていましたので、

判読できず、残念ですがお返事できないままでした。


★日本でも、昔はお年を召した方の草書体が読めずに、

困ったことがよくありましたが、

いまは、その草書体をお書きになる方も珍しくなっていますね。

 

 


★2015年4月23日付けのスイスからの、そのお手紙には、

≪・・・先週、私はあなたの六曲の「無伴奏チェロ組曲」を、

楽譜を手にして、ミスター・Boettcher ・ベッチャーのCDで、

聴きました。

おめでとう、あなたは extrordinarily に作曲しましたね。

この音楽はとても fascinatedly 魅力的です。

・・・・・・私は、今週末フランスに行き、この秋の二つの異なった

コンサートプログラムの準備をします。

その後、私はあなたの音楽に集中します。

私はそれを、私のレパートリーにし、

次のシーズンに演奏するつもりです・・・・・・≫

という内容でした。


★お返事を出すことができませんでしたので、

さぞ、がっかりされていたことでしょう。


★二回目の2017年5月6日付けのお手紙には、

≪・・・もし、あなたが私のお手紙を受け取っていないのでしたら、

あなたの美しい音楽に、もう一度お礼を言いましょう・・・≫

という、心のこもったものでした。


★このように、自分の分身である作品が、異国で、

素晴らしい音楽家と「対話」し、「真の友」を得ていることは、

心からの喜びです。

 

 

 

https://twitter.com/ochaclassic/status/569805986912804864

 

 

ベルリンで4月、二人のギタリストのための「もがみ川」を、

「チェロとギター」で、演奏していただいたこともあります

このようなプログラムでした。

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Konzertsaal Platanenallee 16 Donnerstag,
 20. April 2017 Berlin

Crossover für Cello und Gitarre
        (チェロとギターのためのクロスオーバー)

■Heitor Villa-Lobos (1887-1959)
Bachianas Brasileiras No. 5
 Aria

■Robert de Visée (um 1660 -1732)
 Suite D-Dur

■Radamés Gnattali (1906-1988)
 Sonata

*Pause 休憩 *

■Walter Thomas Heyn (*1953)
 Drei Impromptus

■Guilherme Castro (*1956)
 Carioca Andaluz

■Antje Rößeler (*1989)
 En Dans

Yoko Nakamura
 Der Mogami Fluss(もがみ川)
 ・ Thema Lento Barcarolle(舟歌 レントで)
 ・ Var.1 fließend(第1変奏 流れるように)
 ・ Thema mit Ruhe(テーマ 安らいで)
 ・ Var. 2 (第2変奏)
 ・ Zwischenspiel(間奏曲),
 ・ Var.3 Wiegenlied(第3変奏 子守唄)
 ・ Var. 4 Furioso Vivo(第4変奏 荒々しく、生き生きと)

●Susanne Meves-Rößeler(ズザンネ・メーフィス・レセラー)
                           Violoncello

●Christian Kulke-Vandegen(クリスティアン・クルケ・ファンデゲン)
                           Gitarre

*アンコール*
★Yoko Nakamura
Choco Chip Cookie(チョコチップクッキー)

------------------------------------------------

実に立派なプログラムです。

この「もがみ川」「Choco Chip Cookie」は、

CD「夏日星」に収録されています。


★CDで、「もがみ川」を演奏されています尾尻雅弘さんが、

9月2日(土)に山形県にあります最上川美術館・真下慶治記念美術館で、
http://www.massimo-k.org/p_murayama/

やはりチェロとギターの二重奏で、「もがみ川」を、

演奏されることになりました。

詳しいことが分かりましたら、お知らせいたします。


★「もがみ川」の滔々と流れる様は、

チェロの深々とした音を連想させるのかもしれません。

『五月雨を集めて早し最上川』

 

 

★このCD「夏日星」は、以下で購入できます。

●アカデミア・ミュージック
http://www.academia-music.com/
http://www.academia-music.com/html/page1.html?q=%E5%A4%8F%E6%97%A5%E6%98%9F&sort=number3,number4,number5&searchbox=1
Tel.03-3813-6754  Fax.03-3818-4634

●銀座山野楽器 2Fクラシックフロア
http://www.yamano-music.co.jp/a/shops/ginza/

 


★6月14日、名古屋KAWAIで、

「平均律1巻6番 d-Moll アナリーゼ講座」を開催します。
http://shop.kawai.jp/nagoya/lecture/pdf/lecture20170614_nakamura.pdf

きょうは、その勉強をしていました。


★「Bärenreiter 平均律第1巻」の「前書き」の翻訳(中村洋子訳)と、

訳者・中村洋子による注釈が、近く出版予定ですが、

ここで、Bachが自分で書きました「序文」の意味を、

詳しく、解説しております。


Bachの「序文」は、スフィンクスの謎のように、

“分かりそうで分からない”存在でした。

その言わんとすることが、前回の名古屋アナリーゼ講座で、

≪平均律第1巻5番D-Dur≫の説明をしていますとき、

立ち込めていた霧がサーッと晴れていくように、

氷解していきました。

 

 


★東京、横浜に続く三度めの講座ですが、

今回は、テキストも一新し、Bachの「序文」を常に念頭におきつつ、

この素晴らしい6番d-Mollを、

“干からびた練習曲とフーガ”ではなく、いかに、生きた音楽として

演奏するかを、お話いたします。


★大作曲家Gabriel Fauré ガブリエル・フォーレ(1845-1924)が

校訂しました平均律第1巻にも、

「本当のBach」を弾く提案(サジェスション)が、満ち満ちています。

それをどう解き明かし、演奏に結び付けるかです。


スイスの未知のチェリストが、地球の裏側で、

私の音楽を暖かく迎え入れて下さいました。

音楽には、国境も時空も、軽く飛び越える力があります。


★Bachの音楽は、永遠に消えない、燃える生命体ですね。

 

 

 


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▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

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■銀座・山野楽器とヤマハで、私の著書とCDが大きく展示販売されています■

2017-04-19 23:58:32 | ■私の作品について■

■銀座・山野楽器とヤマハで、私の著書とCDが大きく展示販売されています■
~ドイツのハウケハック社から近く、私の「チェロ四重奏曲第2部」が出版~

                2017.4.19  中村洋子

 

 

★昨日は大風が吹き、花の嵐、まるで夏のような暑さでした。

春は穏やかなイメージが強いのですが、

実は、随分と不安定ですね。


★銀座の二つのお店で、

私の著書とCDを、大きく展示販売して頂いております。

銀座・「山野楽器本店」の2F クラシックCD売場では、

私のCD「夏日星」に、以下の立派な解説が添えられています。

 

 

★≪『無伴奏チェロ組曲』のSACD盤で、レコード芸術特選盤を獲得した
中村洋子氏による、ギター作品集。

情景描写に優れた『10のデュエット』から楽しく、のどかな愛らしさが香ってくる
『チョコチップクッキー』、風に乗って並んで走る様が爽快な『2台の自転車』と、
冒頭2曲から引き込まれます。

原曲はチェロのために書かれた作品ですが、
爪弾くギターならではの音色がどの楽曲でも活かされています。
『暑くけだるいインドの午後』では、ゆったりとした舞踊を想起させる世界観が
広がっている点も聴き所。

続いて、アルバムの題名にもなっている『夏日星』は10弦ギターのために
書かれた大作で、宮沢賢治の童話『双子の星』に触発されたもの。

全般的に1台のギターが紡ぐ壮大な宇宙のようでもあり、
“個”を見つめる厳粛さもあり、作曲者の『無伴奏チェロ組曲第5番』の原曲
でありながら、また異なる魅力を放つ屹立した佳品。

斎藤明子氏のソロが光っていて、2回登場する『赤目の蠍星』が印象深く、
この作品の核となっているような趣。

『最上川』では、『10のデュエット』同様、
2台のギターが醸す風合と響きが心地良く、川のうねりや囁きが
聴き手の身体に浸透してきます!≫


★曲を大変良く理解され、このような心温まるご紹介文を書いて頂き、

本当にうれしいことです。

 


★なお、山野楽器本店」3F 輸入楽譜売場では、

私の「伴奏チェロ組曲 第 1~6番」全6曲と、

「夏日星」の原曲である

「10 Duette fϋr 2 Violoncelli チェロ二重奏のための10の曲集」

(ともに「 Musikverlag Ries & Erler Berlin リース&エアラー社 」)

 が、展示販売されています。


 

 


★また、銀座・ヤマハ店の3階「楽譜・音楽書売場」では、

「アナリーゼ特集」が開催されており、

私の著書「クラシックの真実は大作曲家の自筆譜にあり」を、

平積みに、置いていただいております。


★この著書につきましては、読まれた方が、それをきっかけに、

作曲家の“生の叫び”とも言える「自筆譜」に、興味をもたれ、

勉強を深められる方が多いと、聞いております。

 

 

★例えば、Bach「平均律クラヴィーア曲集」の自筆譜にしましても、

大きな丸で黒々と書かれた全音符を見ますと、

その迫力は、現在の印刷された実用譜から、

決して伝わってきません。

実用譜では、全音符の符頭も、8分音符の符頭も、

同じ大きさに成らざるを得ません。


★自筆譜での、一番分かりやすい例として、

フーガやプレリュードの最後の音符は、全音符であることが多く、

その黒々とした大きな丸を見ますと、どれだけ力強く、

持続する音であるかが、一目で実感できるのです。


★また、Chopinのとても小さな音符で書かれた、

繊細な自筆譜を見ますと(それは、Schumannにも言えますが)、

この大天才がまだまだ若く、「老眼」とは無縁だった、

最盛期を迎えていた頃の作品であった、即ち、

本当に若くして亡くなってしまった、という感慨を、

覚えざるを得ません。

 

 


★そのようなことを思っていましたら、

ドイツのDortmund ドルトムントにあります音楽出版社

「Musikverlag Hauke Hack Dortmund ハウケハック社」から、

近く出版されます、私の「チェロ四重奏曲」第2部についての

ゲラ刷りと、それについての細かい質問が、舞い込みました。


★私の「Suite Nr.1、2、3、4、5、6 für Violoncello

無伴奏チェロ組曲 第 1、2、3、4、5、6番」と、

上記「夏日星」に収録されています二重奏の原曲「チェロ二重奏曲」は、

ベルリン「Musikverlag  Ries & Erler  Berlin  リース&エアラー社」

から、出版されていますが、この「ハウケハック社」からも、

既に、「Regenbogen-Cellotrios 虹のチェロ三重奏曲集」と、

「Zehn Phantasien fϋr Celloquartett(Band1,Nr.1-5)

チェロ四重奏のための10のファンタジー(第1巻、1~5番)」が、

出版されています。

この曲につきましては、ドイツのSchott社のホームページでも

紹介されています。
http://www.schott-musikpaedagogik.de/de_DE/material/instrument/um/current/showarticle,32865.html

https://www.google.co.jp/webhp?nord=1&gws_rd=ssl#q=Hauke+Hack+Yoko+Nakamura&nord=1&start=0&spf=1

 


 

今回の出版は、「Zehn Phantasien fϋr Celloquartett(Band1,Nr.1-5)

チェロ四重奏のための10のファンタジー(第1巻、1~5番)」に続く

「チェロ四重奏曲6~10番」です。


★Dortmund ドルトムントと言いますと、この間、

そのサッカーチームへのテロ事件があり、心を痛めていますが、

クラシック音楽がとても盛んな都市です。


★この「チェロ四重奏曲6~10番」は、2010年の作品ですので、

7年前になります。

きょう送られて来ましたゲラ刷りを眺めますと、

ここで、いつも私が講座や当ブログで問題にしています、

作曲家の意図は、自筆譜にあるのか、初版譜にあるのか、

あるいは、現在の実用譜が最も具現しているのか・・・

という問題が、私自身に降り掛かってきています。


★Hauke Hack ハウケハック社からのゲラ刷りを見ますと、

やはり、現在の私は、二つの点で直したい所が出て来ています。

一つは、当然ですが、単純ミスの訂正、

あるいは、向こうのエディターが提案してきました修正、

具体的には、「このテノール記号をバス記号の方が見やすいのでは?」

などです。


★その修正により、より良いものになりますので、当然、受け入れます。

やっかいなのは、もう一つの“現在の私が7年前の作品を推敲したい”

という気持ちです。

その「推敲」つまり「変更」が、7年前のオリジナルと比べ、

優れたものであるかどうか、この判断は容易にはつけられません







★そこで、皆さまから講座などでよく頂くご質問、

「自筆譜、初版譜、あるいは現在の実用譜のどれを、

採用すべきでしょうか?」に、行き当たります。


★その回答は、ケースバイケースとしか言いようがないのですが、

勉強方法としましては、取り組まれる曲の「自筆譜」ファクシミリが

あれば、まずは必ず入手します。

さらに、可能な限り「初版譜」とそれに類する譜にも、

目を通し、また、現在の定評ある「ベーレンライター版」、

「ヘンレ版」、「ヴィーン原典版」なども参照する・・・

最低限、これだけのことはするべきでしょう。


★上記の勉強をされた後、やはり、作曲家の自筆譜に則り、

演奏したいという欲求が、“沸々と”湧き上がりましたら、

プログラムにその旨を記載して演奏会を開くことは、

十分可能です。


★“権威ある出版社の楽譜に書かれてあるから、

その通りに弾きます”しかし“私は納得がどうもいきません”

と、不本意ながら演奏されるより、よほど説得力のある、

正直な演奏ができるのは、間違いないでしょう。

聴衆がすぐにそれを、感じとり、そして、何よりも、

喜んでいるのは、作曲家本人であろうと、思います。


★ゴールデンウイークも近づいて来ました。

銀ブラの折には、是非、山野楽器とヤマハを訪れ、

手に取って、ご覧になってください。

 






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■私のギター作品CD「夏日星」が銀座・山野楽器の推薦盤に■

2016-04-21 23:58:57 | ■私の作品について■

■私のギター作品CD「夏日星」が銀座・山野楽器の推薦盤に■
           2016.4.21    中村洋子

 

 


★4月15日に発売されました私のギター作品CD「夏日星」は、

おかげさまで、好評です。

銀座・山野楽器のクラシックフロア・「スタッフ推薦盤」に選ばれ、

「今月の必聴傾聴盤」として、以下のように紹介されました。

 

 

------------------------------------------------
★注目の作曲家、中村洋子氏のギター作品集。

中村洋子:夏日星

斎藤明子&尾尻雅弘(ギター)
YOKO NAKAMURA / NYBACH07

 
『無伴奏チェロ組曲』のSACD盤でレコード芸術特選盤を獲得した
中村洋子氏による、ギター作品集。
情景描写に優れた『10のデュエット』から、
楽しく、のどかな愛らしさが香ってくる『チョコチップクッキー』、
風に乗って並んで走る様が爽快な『2台の自転車』と、

冒頭の2曲から引き込まれます。
原曲はチェロのために書かれた作品ですが、

爪弾くギターならではの音色がどの楽曲でも活かされています。
『暑くけだるいインドの午後』では、ゆったりとした舞踊を
想起させる世界観が
広がっている点も聴き所。

続いて、アルバムの題名にもなっている『夏日星』は10弦ギターのために
書かれた大作で、宮沢賢治の童話『双子の星』に触発されたもの。
全般的に1台のギターが紡ぐ壮大な宇宙のようでもあり、
“個”を見つめる厳粛さもあり、作曲者の『無伴奏チェロ組第5番』の
原曲でありながら、
また異なる魅力を放つ屹立した佳品。

斎藤明子氏のソロが光っていて、2回登場する『赤眼の蠍星』が印象深く、
この作品の核となっているような趣。
『最上川』では『10のデュエット』同様、2台のギターが醸す風合と
響きが心地良く、
川のうねりや囁きが聴き手の身体に浸透してきます!

また、ジャケットは斎藤明子氏の父でイラストレーターの斎藤融氏に
よるもの。
1台及び2台のギターが織り成す雄大で繊細な世界が、

この1枚に凝縮されています!!(佐藤)

http://www.yamano-music.co.jp/a/shops/ginza/2f/selection

-------------------------------------------------------
★山野楽器さんの推薦文は、私の意図を

よく汲んで下さっています。


★また、CD「夏日星」をお聴きになって下さった方から、

早速、嬉しいお便りを頂きました。


★≪作品を拝聴する時、いつも影絵のような優しい光の世界が

浮かんできます≫と、書かれていました。

なんと詩的で美しい言葉でしょう!


★聴いて下さった方の心の美しさが、逆に、偲ばれます。

このCDの最初の曲は、「10 Duette für 2 Violoncelli」が原曲です。


★作曲家はどの曲も全力投球ですが、

この曲は、Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー先生と

お孫さんのために作曲しました。

先生とお孫さんが、仲良く和気あいあいと、

弾くことを楽しみながら、一時を過ごして頂きたいと思い、

ふっと肩の力を抜いて作曲しました。

Robert Schumann  ロベルト・シューマン (1810~1856) の、

「Kinderszenen  子供の情景 Op.15」を目指して作曲しました。

 

 


★ヨーロッパの子供のためのチェロコンテストで、

よく弾かれる一方、

大人の立派なチェリストが、コンサートでも演奏して下さる

理由が分かる気がします。

子供も弾くことができる“大人の曲”と言えます。


★≪優しい光≫といいますと、フェルメールの

「Girl with a Pearl Earring」を思い出します。

上記の感想にあります「優しい光の世界」が、

それなのかもしれません。

私の著書≪クラシックの真実は大作曲家の自筆譜にあり!≫の

P93を、ご覧ください。


★「夏日星」のCDは、山野楽器2FクラシックCD売場だけでなく、

ギターや試聴機コーナーでも、

ほぼ同じ内容のキャプションを付けて、

展示されているそうです。

是非、お出掛けください。


★九州の大震災など、悲しく辛いニュースの多い毎日です。

どうぞ、この曲を聴いてください。

シューマンの音楽につきましては、

「クラシック音楽の真実は大作曲家の自筆譜にあり!」の、

chapter8(P256)に、詳しく書きましたので、

どうぞ、お読みください。


★なお、このCDは、diskUNION 御茶ノ水クラシック館や、

diskUNION 吉祥寺、新宿のクラシック館でも発売中です。

ネット販売はいたしておりませんので、地方でご希望の方は、

山野楽器やdiskUNION にご注文ください、

http://www.yamano-music.co.jp/a/shops/ginza/2f/selection

http://diskunion.net/shop/ct/ocha_classic

http://diskunion.net/shop/ct/shinjuku_classic

http://diskunion.net/shop/ct/kichijyouji_classic

送っていただけます。

 

 


★おかげさまで、

「クラシック音楽の真実は大作曲家の自筆譜にあり!」は、

増刷となり、第2刷が発行されました。

心より、感謝申し上げます。


★「10 Duette für 2 Violoncelli」は、

「6 Suiten für Violoncello solo 無伴奏チェロ組曲 全6曲」同様、

『Musikverlag  Ries & Erler  Berlin  リース&エアラー社』 から、

楽譜が出版されています。

それらは、「アカデミアミュージック」で購入することができます

https://www.academia-music.com/academia/search.php?mode=detail&id=1501678989

https://www.academia-music.com/academia/s.php?mode=list&author=Nakamura,Y.&gname=%A5%C1%A5%A7%A5%ED

 

 

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■私の作品を収録したCD「夏日星」が発売されました■

2016-04-16 23:53:55 | ■私の作品について■

■私の作品を収録したCD「夏日星」が発売されました■

              2016.4.16 中村洋子

 


★熊本でのM7.3の大地震、

そして止まることなく連続して、いまも絶えず起きている余震、

さぞかし地元の皆さまは、不安と恐怖の時間を、

過ごされていることでしょう。

中央構造線に沿って、震源が東に移り、

これ以上、被害が拡大していかないことを、

ひたすら願っております。


私の作品を録音いたしました「CD」が、本日発売となりました。

「夏日星」というタイトルで、ギターによる演奏です


★「夏日星」は火星の和名です。

宮沢賢治が最も好きだったといわれる童話「双子の星」の、

清らかで美しい小宇宙を思い描きながら、作曲いたしました。

そのほか、二曲が収録されています。




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■10のデュエット  10 Duette (デュオ)

10 Duette は、2007年にチェリスト Wolfgang Boettcher
ヴォルフガング・ベッチャー先生とお孫さんのAnton
アントン君のために作曲した≪チェロのための10の二重奏曲≫です。

ドイツやスペインなど世界各地で、チェロコンクール参加曲としても、
よく演奏されています。
今回は、ギター演奏版です。
楽譜は、Ries & Erler・Berlin ベルリンのリース&エアラ―社が
≪Yoko Nakamura  10 Duette für 2 Violoncelli≫として出版。


➀チョコチップクッキー: お母さんが焼いてます、とってもいい香り
     Choco Chip Cookie   Schokoplätzchen 

② 二台の自転車: 車輪がクルクル回ります、心地よい午後の青空
     Two Bicycles  Zwei Fahrräder

③ 雪に埋もれた小さな教会: 讃美歌がかすかに聞こえてきます
      A small church in the snow  Kleine Kirche im Schnee

④ スペインのお祭り: 大人も子供も軽快に足を踏み鳴らします
     Spanish Festival  Ein spanisches Fest

⑤ 暑くけだるいインドの午後: 蓮の花咲く池、孔雀がゆっくり舞います
      Peacock's Sarabande in Indian Lotos Garden
      Pfauen - Sarabande im indischen lotoshain

⑥二匹のコオロギ: 秋の庭の片隅でチェロを合奏しています
      A Cello Performance by Two Crickets
     Zwei Grillen beim Cellospiel       

⑦ 静夜: 星がキラキラと瞬きます
       Stars in a Calm Night  Sterne in ruhiger Nacht

⑧ 夏の夜明け: 海辺から太陽が昇り始め、浜辺には雄大な波
        Dawn by the Seashore in Summer 
        Sommerliche Morgendämmerung am Meer

⑨ 秋: 紅葉し始めた樹々の彼方から、狩りの角笛が聞こえます
        Autumn Dance  Herbsttanz
 
⑩ ドデカフォニックダンス:
       Dodecaphonic Dance Tanz in Dodecaphonie
   12音技法(Dodecaphonic)の曲です、
   1オクターブの中にあるすべての音が、分け隔てなく“スター”として
 活躍します


■夏日星 Mars

宮沢賢治の童話「双子の星」の、清らかで美しい小宇宙を思い描きながら
作曲いたしました。
「夏日星」とは、火星の和名です。
心が洗われるようなすがすがしさをもつ童話です。
あらすじは<スギナのような可愛い水晶のお宮で、“空の星めぐりの歌”
にあわせ、
一晩中、銀の笛を吹く双子の童子。

ある日、青石の泉に冒険に出掛けます。
蠍と大烏が醜い喧嘩をしてともに深い傷を負いますが、
童子の限りなく優しい献身によって救われます>。
賢治が最も好きだった童話だったともいわれます。
お金や権力の争いは、いつの世でも絶えないようですが、醜いですね。

この曲は、私≪無伴奏チェロ組第5番 Suite Nr.5 für Violoncello solo≫
(2011年作曲、2012年Wolfgang Boettcher
 ヴォルフガング・ベッチャーによりドイツWitten で初演)の原曲です。
2005年、10弦ギターのために作曲され、斎藤明子さんが初演しました。
チェロ版の≪無伴奏チェロ組第5番≫ は、Ries & Erler・Berlin 
ベルリンのリース&エアラ―社から楽譜が出版されています。
SACD ≪中村洋子「無伴奏チェロ組曲 第二巻」(GDRL-1002)
Wolfgang Boettcher演奏≫に、収録されています。

⑪ スギナのような二つ星 The Twins
⑫ 火取虫(燈蛾) A Moth Flattering around a Light
⑬ 天の河原 The Milky Way
⑭ スピカ Spica
⑮ 赤眼の蠍星 Antares
⑯ 夏の月 Mountains in Moonlight
⑰ 赤眼の蠍星 Antares  
⑱黄金日車(ひまわり) Sunflower



■最上川  The Mogami River (デュオ)

俳人松尾芭蕉(1644-1694)の「奥の細道」に触発され、
芭蕉の世界を縦横に構築しました。
テーマは、クラシックのバルカローレ(舟歌)の形式です。
波と舟の揺れを模した単純な伴奏を繰り返すのが特徴です。
最上川上流の繊細な流れが変奏によって勢いづき、
岩に当たって泡立ちます。
次に静かな「子守唄」、川のおおらかさ、懐の深さを表現します。
間断なく五月雨が降り、霧に煙った川が滔々と流れます。
芭蕉は夜の帳が下りた旅籠で、昼間の光景を行灯の下でしたためます。
ゆっくりとした音が時を刻みます。
最後の変奏は「暑き日を海に入たる(いれたる)最上川」。
盛暑の焦げるような暑さ、激しい動きの変拍子で
クライマックスを迎えます。

                                       

⑲主題: Theme 
     雄大な最上川が滔々と静かに流れます
⑳第1変奏曲: Variation 1 
     最上川の源流、湧水が集まり、やがて大河となり、
     水しぶきを上げて激しく河岸に打ち付けます
㉑主題: Theme 
     夜、漆黒の川面をさらさらと流れる川
㉒第2変奏曲: Variation 2  
     五月雨、さみだれを集めて早し最上川
㉓旅の夜に: Night on the journey
     芭蕉は旅の夜、筆を置き仄かな行灯の明かりを眺めます。
㉔第3変奏曲: Variation 3  
     静かな夜、最上川の流れが子守唄となります。
㉕暑き日: Torrid day 
     暑き日を海に入たる最上川、焦げるような炎暑、
     夕日を海に押し流すような最上川の威力。




--------------------------------------------
★演奏は、10弦ギター・斎藤明子さん(10 Duette、夏日星、最上川)、   
     7弦ギター・尾尻雅弘さん(10 Duette、最上川) 

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●斎藤明子
1967年東京に生まれ、4歳よりギターを始める。
慶應義塾中等部、女子高等学校卒業。在学中、
15才でデビューリサイタルを開催し、翌年スペイン
音楽を学ぶため1年間渡西。
一流の音楽家が直接生きた音楽を教えるカリキュラム
を提唱し注目された大東音楽アカデミーにて、ソルフェージュ、
和声学、アナリーゼを中村洋子氏に学ぶ。
スイス政府支給の留学金を得てバーゼル音楽院に学び
演奏家資格を取得。その間ヨーロッパ各地で音楽体験を積む。

 

第2回スペインギター音楽コンクール第1位、
第30回東京国際ギターコンクール第1位、
1989年ミュンヘン国際音楽コンクールギター部門ファイナリストとなり
奨学金を授与されるほか、国内外の数々のコンクールで優勝、入賞。
アイルランド、ギリシャ、ウィーン、ニューヨークなどでリサイタル、
国際的な評価を得る。1992年に帰国。独奏、オーケストラとの共演、
室内楽演奏、ラジオ、テレビ番組への出演などで活動するほか、
ソニーミュージックから3枚のCDを発表。
2005年から中村作品を収めたDVD「七星晶々」、
CD「星の林に月の船」に参加。
1997年から軽井沢に移住。そこでの生活や価値観の
変換を綴った「軽井沢 八風の里便り」を2010年に出版。
2011年、近隣在住のクラシックの演奏家5名でムージ
カ・エマセネポーを立ち上げ、信州からの独自の音楽
文化の発信に努めている。日本ジュニア・ギター・教育協会会長。
公式ホームページ:http://www.akikosaito.jp/

 


●尾尻雅弘
バークリー音楽院にてジャズ・ギターを学ぶ。
その後マンハッタン音楽学校にてクラシカル・ギターを
マヌエル・バルエコ氏に師事。

在学中、第29回パリ国際ギターコンクールにて第3位、
及びアンドレス・セゴヴィア賞を受賞。
1992年、日本フィルハーモニー管弦楽団との『アランフェス協奏曲』で
日本デビュー。

2004年、メキシコで行われたGFA・ギター・フェスティヴァルには
巨匠ジョン・ウィリアムスらと共に招待され演奏会、講習会を行う。
2007年軽井沢・大賀ホールにて20年ぶりの共演となるジャズ・ピアニスト
小曽根真とのデュオ・コンサートを行なう。
2012年メキシコ・サラマンカでのギター・フェスティヴァルにて演奏会、
マスタークラス、コンクール審査を行う。
2013年5月ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンに参加。
最新CD「ソロ・ギター・アドヴェンチャー JAZZ」をリリース、
レコード芸術誌、特選盤に選ばれる。
また国際映画祭での受賞作品、今村昌平監督「うなぎ」(1997)、
太宰治原作/根岸吉太郎監督「ヴィヨンの妻」(2009)、
田中光敏監督「利休にたずねよ」(2013)などの劇中音楽のギター演奏も担当する。
公式ホームページ:http://www.ojiri.com/

 

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★販売は、Disk UNION 御茶ノ水クラシック館、
       銀座「山野楽器」本店2FクラシックCD売場
       18日から、Disk UNION 新宿および
              吉祥寺のクラシック館でも販売。

★定価 ¥2000 + 税
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★同じ弦楽器でも、チェロは弓を擦る楽器、ギターは弾く楽器。

チェロは、音の持続ができ、その間に音色などの変化をつけることが

可能ですが、ギターは、弾いたらその後は音を加工できません。

ピアノに似ているともいえます。

同じ曲がチェロとギターでどう変化しているか、聴き比べることも

楽しいと思います。


★「10のデュエット」は、分かりやすく楽しめる曲集ですが、

最後の≪ドデカフォニックダンス≫は、12音技法の曲です。

実をいいますと、12音技法を使う、いわゆる現代音楽風に書くことは、

私にとって、大変に楽なのです。


調性で書くことは、ある意味“難易度”が高いのです。

調性で書くことは、何故、西洋楽器を使って作曲するか、

ということに直結するのです。


★ピアノなど鍵盤楽器は、西洋の音階システムによって作られた楽器です。

ギターにもフレットがあり、同様に西洋の音階システムに則っています。

楽器そのものの構造に則った音楽の形態であると、いえます。

そして、いかに調性を効果的に使うかということの為に、

≪和声、対位法≫が存在し、さらに、

和声、対位法の「禁じ手」も厳然として、存在してくるのです。


調性から離れた音楽技法、さらに、

“取締り“のない“無法地帯”の≪無調≫の世界に行きますと、

その自由度が大きいだけに、“自由を手なずける”技というものを、

獲得することは、至難の技ともいえます。

 

 


20~21世紀にかけ、それを本当に手なずけた作曲家は

ごく僅かで、恐らく、10人もいないでしょう。


★“無調を手なずけた本物の作曲家”以外の、

大多数の作曲家による無調の現代音楽を聴き、

“もう、現代音楽はゴリゴリだ”と、

現代音楽に嫌悪感を抱いたり、

クラシック音楽そのものさえ、敬遠するようになったり、

クラシック音楽から“逃亡”してしまった音楽愛好家が

いかに多いか、というお話になっていくでしょう。


調性の≪和声、対位法≫を厳密に習得した後、

無調の世界に入るのはいいのですが、

最初から、調性を使わずに作曲していきますと、

たとえ、もてはやされたとしても、その人の土台はどこにあるか、

ということになります。


★現代音楽の世界でも流行は厳然とあり、

小器用に模倣してある種の作風をつくっても、

その流行が終わった後、途方に暮れる、

ということになりかねません。

 

 

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■私の「無伴奏チェロ組曲第3番」がドイツWittenで全曲初演されました■

2016-04-14 18:33:24 | ■私の作品について■

■私の「無伴奏チェロ組曲第3番」がドイツWittenで全曲初演されました■
            2016.4.14  中村洋子

 

 


★以前お知らせいたしましたが、Bachの誕生日「3月21日」に、

Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー先生が、

私の「Suite für Violoncello solo Nr.3 無伴奏チェロ組曲 第3番」の

「全曲初演」をしてくださいました。


★ドイツ 「Witten ヴィッテン」の「Emmaus-Kirche」での

Cellokonzert チェロのソロコンサートでした。

先生から「プログラムなどを、直ぐに郵便で送りました」

という連絡があり、ジリジリと待っておりましたが、昨日やっと到着。

多分、ドイツ国内の事情と思われますが、3週間以上もかかりました。

 

 

 

  
★先生のお手紙に「私は、Mannheim マンハイム、 Berlin ベルリン、

Witten ヴィッテン、 Glambeck グランベックで、

あなたの無伴奏チェロ組曲をすべて、初演しました」と、

書かれていました。


★プログラムの裏の、プロフィール欄末尾に、

私のチェロ組曲3番、第1楽章最後のモティーフが、

先生の手書きで、描かれていました。

 

 

★ここは、チェロの最低音「C」を含む和音から、

非常に高い「cis³」までの4オクターブを一気に駆け上り、

もう一度 ff で最低音の「C」で終わるところです。

技巧的に、大変難しいところですが、

“僕は成し遂げたよ”という、喜びと高揚感が

漂ってくる手書き譜です。

 

 


★プロフィールは次のように、書かれています。

   Wolfgang Boettcherは、ドイツの非常に優れたチェリスト達の中での
長老です。彼は、Berliner Philharmonikerベルリンフィルハーモニーの
ソロチェリストでした。「12Cellisten der Berliner Philharmoniker
ベルリンフィル12人のチェリストたち」と「Brandis-Quartett
ブランディス・カルテット」の創設メンバーであり、さらに、「Hizacker Sommerlichen Musiktage ヒッツァッカー夏の音楽祭」(戦後ドイツ初の室内楽による音楽祭)の、芸術監督、ベルリン芸術大学の教授も務めました。彼のクラスから、名声あるチェリストがたぃさん輩出しています。
 著名な作曲家たちが、Boettcherのために作品を書きました。その作曲家たちは、Alibert Reimann アルベルト・ライマン、Giselher Klebe ギーセラー・クレーベ、Hans Vogt ハンス・フォークトなどです。
  また、たくさんの作品の初演もしています。それらは Klebeクレーベ、 
Reimann ライマン、Riehm リーム、Kichner キルヒナー、Dutilleux デュティーユ、
Nakamura 中村洋子の作品です。
  Boettcherは、バイエルン芸術院会員で、彼は全世界でコンサートや
マスタークラスを開き、たくさんの国際コンクールの審査員も積極的務めています。
 彼は近年、日本にもたびたび演奏に赴き、そこで中村の曲と出逢うだけでなく、天皇や、天皇とともにいらっしゃる美智子皇后と一緒に皇居で、音楽を楽しみます。中村は、たくさんの曲を Boettcherに献呈しています。

 

 

 

★プログラム


・Bach 「無伴奏チェロ組曲第2番」
・Yoko Nakamura 中村洋子「無伴奏チェロ組曲第3番」
・György Kurtág クルターク「四つの小品」
・Bach 「無伴奏チェロ組曲第3番」

 

 


★Yoko Nakamura「無伴奏チェロ組曲第3番」は、これまで、

各楽章が Boettcher ベッチャー先生により各地で演奏されてきましたが、

今回、満を持して全曲を初演されました。

「教会は満席で、とてもいい雰囲気に包まれて演奏できました」と、

書かれていました。


★間もなく、私の作品をGuitarで録音しました「CD」が発表になります。

「夏日星」という題名のCDですが、その中に、

「10 Duette für 2 Violoncelli チェロ二重奏のための10の曲集」 

が、収録されています。

この曲は、 Boettcher ベッチャー先生とお孫さんのために書きました。

「Musikverlag  Ries & Erler  Berlin  リース&エアラー社」から、

出版され、世界中で好評です。

特に、若いチェリストのためのコンクールなどでよく演奏されています。


★今回は、斎藤明子さんと尾尻雅弘さんによる二台ギターです。

Boettcher ベッチャー先生も「ギターで聴くのが楽しみ」と

おっしゃっています。


★また、CDのタイトルの「夏日星」は、「無伴奏チェロ組曲第5番」の

原曲となった曲で、斎藤明子さんが10弦ギターで独奏します。

 

 

 

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■私の著書が重版へ、夕刊フジと月刊Musicianが書評欄で紹介■

2016-04-11 02:35:16 | ■私の作品について■

■私の著書が重版へ、夕刊フジと月刊Musicianが書評欄で紹介■
~グレン・グールドのゴルトベルク変奏曲Fingeringについて~
          2016.4.11    中村洋子

 

 


私の著書≪クラシックの真実は大作曲家の自筆譜にあり!≫が、

重版されることになりました。

皆さまがこの本を、暖かく受け入れて下さったおかげと、

お礼申し上げます。


★また、3月23日の夕刊フジ書評欄に『自筆譜から楽曲分析』

という見出しの紹介記事が掲載されました。

月刊「Musician」4月号でも『自筆譜から真摯に学ぶために』と題して、

大きく紹介されました。

いずれも、大変好意的な評価を頂いております。


★夕刊フジ『自筆譜から楽曲分析』

≪作曲家である著者は現在、ピアノの先生やクラシック愛好家、音大生を
対象とした「アナリーゼ講座」を開催している。アナリーゼとは「楽曲の構造を
分析する」学問。本書は著者が自身のブログ「音楽の大福帳」の中から
より重要と思われるアナリーゼについての記事を抜き出し、加筆したもの。
  クラシックを知れば知るほど、どのような仕組みで素晴らしい音楽ができたか
知りたいと思うのは自然なこと。その構造を分析するのがアナリーゼ。本書には
手書きの譜面がふんだんに使われ、バッハやショパンが実際に弾いていた譜面
を通して、作者の意図、全体の構成、さらにはどう演奏すればいいかが説かれて
いる。音大生の多くが理解できていないといわれる「和声」や「対位法」も、本書を
読むことで分かりやすくなることだろう。
 歴史的名演奏を収録したCDの紹介なども掲載され、さらなるクラシックの楽しみ
が広がる一冊だ。 DU BOOKS 2500円+税≫

 

 


★「Musician」4月号『自筆譜から真摯に学ぶために』

≪バッハを根源とするクラシック音楽をより深く理解し、味わうために欠かせない
「和声」「対位法」。本書では、バッハ、モーツァルト、ショパンなど大作曲家が自らの
手で記した自筆譜の分析を通して、和声や対位法をどのように学ぶべきかを説く。
 主な内容は「『エリーゼのために』の手書き草稿は、声部ごとに符尾の方向を変えて
いる」「一生忘れない暗譜の方法」「バッハ・インヴェンション第1番の『3連符』がもつ
重い意味」「ChopinのPolonaise-Fantasie幻想ポロネーズを自筆譜から読み込む」
など、ピアノ曲を中心に手書きの譜例を豊富に交えながら、弾き方や解釈の違いに
ついて丁寧に解説。
 美しく浄書された出版楽譜からは伝わってこない「作曲家ならではの意図」を
自筆楽譜から読み取るべきと力説するだけに、特に演奏、指導する人にとっては
大いに参考になるだろう。作曲家である著者のブログ「音楽の大福帳」を書籍化
したものだが、時には、フィギュアスケートや映画鑑賞まで幅広く話題にしている
辺りにも著者の関心の広さ、教養の深さがにじみ出ている。
中村洋子著/DU BOOKS   2016年3月発行  2500円+税 ≫

 

 


★私の知り合いの方で、この本をお求めになり、

帰る途中の電車で、思わず読みふけってしまいました、

とおっしゃってくださった方もいます。


★また、一冊だけでなく二冊求め、一冊をピアノの譜面立てにいつも

置いている、という方もたくさんいらっしゃるようです。

最近の電車内は、若い人だけでなくお年を召された方までも

携帯やPCに食い入るように

見入っている方が本当に多いです。

以前は大人の方までが、漫画本を広げているのが一つの光景でしたが、

それも過去の風景となってしまいました。


★私は、このごろ紙の本を読むことが、ますますいとおしくなりました。

ネットで簡単に取り寄せるのではなく、大きな書店に出向き、

じっくり眺めるのが、大好きです。

紙に印刷された文字を目で追う喜びは、また格別です。

かつて、皇后の美智子様が

“一番なりたいのは透明人間です。

神田の古本屋さんを自由に歩いて見て回りたい”という趣旨のことを、

おっしゃっていたのが、心に残っています。

 

 


ピアノの譜面立てに置いて読んで下さる方のことを考えますと、

その行為は、私の本を素材として頭の中で長い時間かけて反芻し、

その結果、自分のものとしたうえで、

自分の思考をさらに、深められつつある過程であると思います。

私の考え方を出発点としているものの、

自ら湧き上がってくる、自らの音楽となっているはずです。

これこそが、私が望んでいることです。


★9日の Bach「Goldberg-Variationenゴルトベルク変奏曲」

アナリーゼ講座で、Glenn Gould グレン・グールドの

ゴルトベルク変奏曲のFingeringについても、

少し触れました。


GouldのFingeringは、ある意味とても正統的です。

Julius Röntgen ユリウス・レントゲン (1855-1932)や、

Edwin Fischer エドウィン・フィッシャー(1886-1960)、

Bartók Béla バルトーク(1881-1945)のBach作品に対する 、

さらには、Claude  Debussy  クロード・ドビュッシー (1862-1918)の

Chopin作品へのFingeringと異なることは、

全く、ありません。


GouldのFingeringも、またアナリーゼとなっています。

Debussy、Röntgen、Fischer、Bartókと連綿と続く

歴史の延長線上に、正統に位置します。

 

 


★私の講座に参加されている方が、

GouldグールドのFingeringを、ご覧になりますと、

ハタと、膝を打たれるのではないでしょうか。


★ゴルトベルク変奏曲アナリーゼ講座の2回目以降でも、

GouldグールドのFingeringについて、

少しずつその見方を、お話するつもりでおります。


要するに、西洋クラシック音楽は、音で思索する、

音の構造物なのです。

それは、一瞬の線香花火のように、

エクスタシーを呼び起こす感覚的なもの追い求めることとは、

異なります。


私の本をピアノの譜面立てに置かれて思索される方は、

私から離れ、自分の音楽を大きく発展させていると思います。

同様に、GouldのFingeringを学ぶことは、

Gouldと同じ演奏をすることではなく、

それを手掛かりとして、ご自分のゴルトベルク変奏曲を

創り出すべく、模索するのです。

 

 


現在の日本の音楽書は、ハウツーものがほとんどです。

こうすれば簡単に直ぐに、効果が現れるというものが、

求められているようです。

考えながら音楽を勉強するということとは、

随分、距離があるようです。


自分で苦労して、自分の音楽を創り上げることが、

「面倒でつらい」と思うか、あるいは、

考え、思索することこそが、「自分の音楽をする」、

「音楽生活」であるという態度を選択するかは、

ご自身なのです。


★本の重版のお話から脱線してしまいましたが、

「銀座ヤマハ店」でも、この本は、3月の音楽書ランキングで

第4位になったそうです。
http://www.yamahamusic.jp/shop/ginza/special/musicbook_ranking.html

≪前回より順位を上げてランクイン!≫と案内され、

新刊書、月間ランキング、音楽書のそれぞれの棚に

並べられています。


銀座「山野楽器」2Fの≪女性作曲家特集コーナ―≫と、

3Fの音楽書コーナーにも、この本が置いてあります。

また、近く発表します私の作品のCD「夏日星」を、

山野楽器さんも取り扱って頂くことになりました。


★私の大好きな銀座から、書店が次々と姿を消し、

とても寂しいのですが、

老舗の楽器店さんが頑張って、暖かい手を差し伸べて

くださっていることは、大変うれしく、

感謝の気持ちで、一杯です。

 

 

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