■「ゴルトベルク変奏曲」アナリーゼ講座・最終回のお知らせ■
~2017年9月16日(土) Odysseusは、いよいよ大航海を終える~
2017.7.13 中村洋子
★先週7月8日は、「Goldberg-Variationenゴルトベルク変奏曲」の
第2期4回目(第9回)アナリーゼ講座でした。
★第25、26、27変奏について、お話いたしましたが、
「第25変奏」は、「Goldberg-Variationen」のHöhepunkt頂点の曲です。
チェンバロ1台で、≪ Matthäus-Passionマタイ受難曲 ≫と同じくらい
広大な世界を、描き切った作品です。
人類の宝、誇りである、とも言えます。
★講座では、この「第25変奏」が、
≪Matthäus-Passionマタイ受難曲≫のどの曲と対応し、
さらに、モティーフの相関関係すら読み取れることも
ご説明しました。
また、「第25変奏」の一音一音について、私が和音を付け、
それをピアノで実際に演奏し、直に聴いて頂きました。
★それによって分かることは、「第25変奏」における転調、
特に後半部分での「遠隔転調」の、重要さです。
この「遠隔転調」は、闇雲にただ遠い調に飛んでいる、
という転調では決してなく、その妙なる精緻さこそが、
「Goldberg-Variationen」全体設計の根幹を成している、
という事実です。
このことは、実は、≪Matthäus-Passionマタイ受難曲≫を
深く勉強することにより、より鮮明に理解できていきます。
★この「第25変奏」を始まりとする第25、26、27の
「3曲1セット」に続く、「第28、29、30変奏」は、
「Goldberg-Variationen」の大団円となります。
★Odysseusオデュッセウスは、いよいよ大航海を終え、
懐かしいPenelopeペネロペの待つ「旅の出発地」へと、
戻ります。
★9月16日の最終回アナリーゼ講座は、
「第28、29、30変奏」のアナリーゼ講座の後、
休憩をはさみ、
特別講座:≪「ゴルトベルク変奏曲」の源泉は、「平均律1巻」と
「インヴェンションとシンフォニア」にあり≫を、
開催いたします。
★Bachの「ゴルトベルク変奏曲」の着想は、
どこから湧き上がったのか、
その源泉を「平均律1巻」と「インヴェンションとシンフォニア」に、
探ります。
★「ゴルトベルク変奏曲」のCathedral大伽藍が、その姿を、
燦然と現すことでしょう。
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■Bach「ゴルトベルク変奏曲」アナリーゼ講座・最終回
第1部 ≪第28、29、30変奏≫
第2部 ≪「ゴルトベルク変奏曲」の源泉は、「平均律1巻」と
「インヴェンションとシンフォニア」にあり≫
■日時:2017、9月16日(土) 13:30 ~ 18:00
■エッサム本社ビル4F 「こだまホール」 (※従来と会場が異なります)
東京都千代田区神田須田町1-26-3 電話:03-3254-8787
(JR神田駅北口 徒歩3分 ※エッサム1、2号館ではありません)
■予約:アカデミアミュージック企画部 電話:03-3813-6757
E-mail :fuse@academia-music.com
http://www.academia-music.com/new/2017-07-10-113903.html
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バッハの音楽はなぜ美しく、私たちの心をとらえて離さないのか・・・
人類の宝「ゴルトベルク変奏曲」が、どういう構造で成り立っているか、
一見、単純に見えながら、複雑に組み合っているその「和声」と「対位法」を、
ピアノで弾きながら、詳しく分かりやすくご説明いたします。
第10回(第2期第5回)の講座では、
第1部 ・未来へと無限に開かれ、その予言のようにトリルが煌めく第28変奏
・オーケストラ的着想が、剛毅に次々と繰り出されていく第29変奏
・長い旅路の後、懐かしい主題(アリア)へと回帰していく第30変奏
の3つの変奏曲を掘り下げていきます。
(休憩)
第2部 ・特別講座
『ゴルトベルク変奏曲の源泉は、
均律1巻と、インヴェンションとシンフォニアにあり』
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・第28変奏 満天の星が一斉に輝き始めました。煌めくトリルは、アルト、テノール、
そして後半はソプラノにまで広がります。同時に、8分音符による神秘的な
半音階モティーフが現れます
・第29変奏 28番と一対になってこの偉大な変奏曲の大団円を迎えます。
左右交互に激しく奏される三和音や分散和音によるパッセージ。
駆け上がり駆け下りる音階。真夏の夜の壮大な花火のようです。
・第30変奏 バッハは「クォドリベット(滑稽な俗謡などを混ぜ合わせた曲)」と
書いています。 当時の通俗的な歌を二曲混ぜています。うち一曲は
「君のそばに、長い間いなかったね・・・ 」、あまりお上品とはいえない曲ですが、
バッハの手に掛りますと、こんなに気品に満ちた曲に変貌します。
「君」即ち「Aria アリア」にやっと帰りつきました。
第2部特別講座は、「ゴルトベルク変奏曲」全曲の総まとめです。
バッハは、「ゴルトベルク変奏曲」全30曲をどのような構想と意図により作曲したかを、
分かりやすくお話いたします。その源泉は、ほぼ20年前に完成された「平均律1巻」と
「インヴェンションとシンフォニア」に、さかのぼることができます。
■講師: 作曲家 中村 洋子
東京芸術大学作曲科卒。
・2008~15年、「インヴェンション・アナリーゼ講座」全15回を、東京で開催。
「平均律クラヴィーア曲集1、2巻アナリーゼ講座」全48回を、東京で開催。
自作品「Suite Nr.1~6 für Violoncello無伴奏チェロ組曲第1~6番」、
「10 Duette fur 2Violoncelli チェロ二重奏のための10の曲集」の楽譜を、
ベルリン、リース&エアラー社 (Ries & Erler Berlin) より出版。
「Regenbogen-Cellotrios 虹のチェロ三重奏曲集」、
「Zehn Phantasien fϋr Celloquartett(Band1,Nr.1-5)
チェロ四重奏のための10のファンタジー(第1巻、1~5番)」をドイツ・
ドルトムントのハウケハック社 Musikverlag Hauke Hack Dortmund
から出版。
・2014年、自作品「Suite Nr. 1~6 für Violoncello
無伴奏チェロ組曲第1~6番」のSACDを、Wolfgang Boettcher
ヴォルフガング・ベッチャー演奏で発表
disk UNION : GDRL 1001/1002)
・2016年、ブログ「音楽の大福帳」を書籍化した
≪クラシックの真実は大作曲家の自筆譜 にあり!≫
~バッハ、ショパンの自筆譜をアナリーゼすれば、曲の構造、
演奏法までも 分かる~ (DU BOOKS社)を出版。
・2016年、ベーレンライター出版社(Bärenreiter-Verlag)が刊行した
バッハ「ゴルトベルク変奏曲」Urtext原典版の「序文」の日本語訳と
「訳者による注釈」を担当。
CD『 Mars 夏日星』(ギター二重奏&ギター独奏)を発表。
(アカデミアミュージック、銀座・山野楽器2Fで販売中)
・2017年、ベーレンライター出版(Bärenreiter-Verlag)刊行のバッハ
平均律クラヴィーア曲集第1巻」Urtext原典版の
≪「前書き」日本語訳≫
≪「前書き」に対する訳者(中村洋子)注釈≫
≪バッハ自身が書いた「序文」の日本語訳≫
≪バッハ「序文」について訳者(中村洋子)による、
詳細な解釈と解説≫を担当。
(近日発売)
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